万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の”報復示唆”―国連安保理・ICJへの提訴準備を

2012年09月11日 15時29分35秒 | アジア
温首相、「半歩も譲らぬ」 中国側、報復措置も示唆(朝日新聞) - goo ニュース
 日本国政府による尖閣諸島国有化決定に対して、中国政府は、”報復措置”も辞さぬ強硬な態度で臨むと公言しています。尖閣諸島沖には、既に、中国の海洋監視船が姿を見せたとも報じられています。おそらく、尖閣諸島を東京都が購入したとしても、同様の事態が発生したことでしょう。

 尖閣諸島をめぐり、一触即発の事態に至った以上、この問題は、国際紛争化したに等しくなります。中国側は、国際法で禁じられている武力による威嚇を既に実行し、さらには、直接的な武力行使に踏み込む可能性もあるからです。つまり、日本国側は、(1)中国側の先制攻撃を、自衛隊、あるいは、日米同盟軍を以って実力で侵略を排除する、(2)国連安保理に中国側の一連の行動を平和と安全に対する脅威として訴える、あるいは、(3)ICJに提訴するなど、事態の展開に沿った対応措置を急がなければならないのです。時間の余裕があれば、尖閣諸島を自国領と信じ込んでいる中国国民を納得させるためにも、(3)の方法が望ましく、中国が、話し合い解決を求めているならば、その席で、ICJへの共同付託を提案することもできます。もっとも、中国側が先制攻撃を行った場合には、(1)と(2)を同時に遂行する必要があります。武力衝突の事態もあり得るわけですから、日本国政府は、安保理への提訴の可能性を、早急に国連や常任並びに非常任国に伝達すべきです。常任理事国であっても、紛争当事国である場合には、棄権しなければなりませんので、中国は、評決に加わることはできません(国連憲章第27条)。

 中国は、日本国側に全責任を押し付けたいようですが、国際紛争ともなれば、中国は、一方的に日本国を”侵略者”として糾弾できなくなる一方で、逆に、自らが、国際社会から”侵略者”と認定される可能性が高まります。尖閣危機への対応は、政府の的確な状況判断と、迅速な行動にもかかっていると思うのです。

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コメント (2)
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