万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

幻の中国漁船大船団―沈黙する不可解な日本国政府

2012年09月18日 15時46分36秒 | アジア
漁業監視船、尖閣の接続水域に…漁船団は未確認(読売新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島周辺海域に向けて1000隻もの中国漁船が、中国当局の漁業監視船を伴い、出航したというニュースに、日本国では衝撃が走ることになりました。すわ、平成の元寇かと…。中国では、反日運動に連動して日中開戦論が高揚しており、尖閣諸島沖での両国の偶発的な武力衝突もあり得たからです。

 ところが、何時になっても中国漁船の大船団は、尖閣諸島沖に現れないのです。仮に、中国政府の公表通りであれば、大船団は、既に現地に到着しているはずですが、確認されているのは、中国側の漁業監視船のみです。中国政府が公表する数字は、常に一ケタ違うとも言われていますので、あるいは、100隻ほどの小船団であったか、あるいは、元から大船団など存在していなかった可能性すらあります(あるいは、既にUターン?)。狐につままれたようなお話なのですが、実のところ、この大船団の真相は、既に日本政府は掴んでいるはずです。昔とは違い、東シナ海の上空には監視衛星が周回しており、1000隻もの船団であれば、容易にその姿も航行位置もキャッチすることができるからです。日本の衛星ではなくとも、同盟国であるアメリカから、情報提供を受けているかもしれません。

 日本国政府としては、この大船団が実在するならば、国際社会に向けて中国の無謀な行為として発信し、一方、大船団が実は幻であるならば、中国政府が”偽情報”を流したとして咎めることができます。どちらにしましても、国際社会から非難を受けるのは中国ですし、日本国民も正確な情報を得ることができます。にも拘わらず、日本国政府が、この中国漁船大船団について沈黙を決め込んでいることは、中国を庇うが如くであり、極めて不可解な行動に思われるのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


 にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする