万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

目指すべきは”原発事故リスクゼロ”では

2012年09月13日 15時39分57秒 | 日本経済
原発ゼロ「30年代」明記へ 核燃サイクル見直し先送り(朝日新聞) - goo ニュース
 昨日、政府の「エネルギー・環境会議」において、2030年代に原発ゼロを目指す政府原案が凡そ決まったと報じられました。原子力協定を結んでいるアメリカ政府への説明の後、明日にも正式に決定されるそうですが、原発ゼロでは、産業と国民生活への打撃が大きく、何としてもこの方針だけは、撤回していただきたいものです(次期政権に期待するしかないかもしれない…)。

 政界では、国民世論は反・脱原発に傾いているとする見方が有力なようです。しかしながら、政界が”世論”と見なしているのは組織票であり、一般の国民が、それほど熱心に反・脱原発を支持しているとは思えません。電力料金の値上がりは、即、自らの生活にも響くのですから、諸手を挙げて賛成する人がいるとしますと、それは、パラノイックな人か、あるいは、相当に自虐的な人です(あるいは、自己利益のため?)。現実の世論が、必ずしも、反・脱原発ではないとしますと、次期総選挙では、原発事故リスクゼロを政策に掲げることも、一案ではないかと思うのです。民主党政権の原発ゼロ案を実現するには、100兆円ものコストがかかるそうです。その何分の一でも、原子炉の安全性の強化のための研究・技術開発に投じれば、将来、日本国は、安全、安定、安価の三拍子揃った電力を大量に手にすることができます。第4世代型原子炉である高速増殖炉「もんじゅ」には、半世紀もの間に2兆円もの経費が費やされたとして批判を受けていますが、原発ゼロのコストと比較しますと、それほど高額でもありません。実際に、メルトダウンを起こさない、まさしく事故リスクゼロの原子炉も研究途上にあるそうです。

 コスト上昇という重荷を背負いながら、暗澹とした気持ちで原発ゼロへの道を逆戻りするよりも、原発事故リスクゼロへの道を歩む方が、産業や国民生活を圧迫し、国力を衰亡させることなく、将来の展望を開くこともできます。そしてその過程で開発された技術は、エネルギー問題解決の切り札となるかもしれないのです。

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コメント (6)
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