万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

対中融和外交こそ元凶では

2012年09月20日 16時08分35秒 | 国際政治
国際社会も危惧する日本の右傾化と政治主導外交 深刻な日中関係を安定軌道に戻すための「4原則」(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
本日、ディッチレー財団が主催した国際会議に出席した際の感想として、外務省の元アジア局長であった田中均氏が執筆した記事が、ネット上に掲載されておりました。

 記事の内容を要約しますと、(1)日中関係の重要性の再認識(2)中国の不安定な国内事情への配慮(3)日中間のパイプの強化(4)多国間枠組みの活用、の4原則を軸に、対中関係を再構築せよ、というものです(全く、国際法の遵守には触れていない…)。しかしながら、この主張、結果と原因が”あべこべ”なのではないかと思うのです。現実には、これらの原則を追求してきた結果が、対日強硬策と反日暴動なのではないでしょうか。鳩山元首相に至っては、この4原則の忠実なる実行者であるばかりか、”日本国は日本人だけのものではない”という”開放発言”にまで踏み込んでいます。こうした、従来の迎合主義的、あるいは、事なかれ主義的な外交のあり方が、中国の覇権主義を助長したと考えられるのです。先進国間で有効な外交手法は対中政策では通用せず、氏が主張するように、”話し合い”や”人脈造り”を重視しますと、日本国は、中国に取り込まれ、身動きがとれなくなるかもしれません。日中間の頻繁な会談や豊富な人脈は、無理難題を日本国に押し付け、中国が日本国を縛る頸木となるのです。これでは、属国化の奨励に他なりません。

 西欧とは違い、アジアでは、主権平等の原則さえ怪しい限りであり、大国意識を持つようになった中国は、他国の主権など無視して、平気で相手国の法的な権利を踏みにじるろうとします。日本国政府が、21世紀にすべきことは、中国中心の華夷秩序の形成に手を貸すことではなく、アジアに主権平等と法の支配を確立することにあります。融和主義的な政策は、アジアに禍しかもたらさないのですから、日本国政府は、軍事力をバックに据えながら、国際法秩序の構築を軸としたアジア外交への転換を図るべきと思うのです。

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コメント (6)
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