万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

二つの”慰安婦問題”-アメリカの”債務奴隷説”と韓国の”強制連行説”

2013年04月27日 16時00分13秒 | 国際政治
 ”慰安婦”問題について、アメリカが韓国の言い分を擁護してきたことを、これまで訝しく感じてきたのですが、最近になって、当ブログに寄せられたコメントから、両国の間に認識や批判点に著しい違いがあることに気が付きました。韓国は、”慰安婦”を、日本軍に強制連行された20万人の一般朝鮮人女性達であると主張する一方で、アメリカは、”債務奴隷”と見なしているようなのです。

 債務奴隷とは、借金の形に奴隷的拘束を課されている人々を意味しており、債務を完済するまで、強制労働を強いられます。純粋な身分上の奴隷とは異なりますが、近代以降、国際社会においても債務奴隷に対する批判が強まり、1926年には奴隷条約が成立しています。日本国もまた、留保条件付きながらこの条約に加盟しました。”慰安婦”については、親の前借りにより、子女が斡旋業者に引き渡された事例があり、この側面だけを見ますと、”債務奴隷”=セクシャル・スレイヴァリーとする見方も成立しそうにも見えます(因みに、英語版のウィキペディアでは、日本国では、事実誤認が甚だしいと批判されている1995年の国連の人権委員会の報告に依拠しながら、歴史家や研究者の説として、日本軍が恐ろしく残忍であったように説明されている…)。しかしながら、定義としては、移動の自由や接客拒否があれば、”債務奴隷”とは見なされないそうです。”慰安婦”の場合には、多額の報酬、債務返済後の廃業、一時帰国の許可、接客拒否が当時の資料や調査書に記録されておりますので、条約上の債務奴隷の範疇に入るかどうかは疑問なとことです。また、日本軍の場合は民営であり、朝鮮半島で”債務奴隷”を集めたのは朝鮮人事業者でした。この点から、直接的な責任が問われるとするならば、それは、朝鮮人事業者となります(当時、日本政府は、悪質事業者の取り締まりを実施していた…)。そして、先の戦争の”慰安婦”を債務奴隷としますと、韓国もまた、自らの過去を断罪せざるを得なくなります。戦後の朝鮮戦争において、民営どころか、率先して公営の制度を設けたのは―韓国軍の組織としての慰安隊―、韓国政府なのですから。

 米韓両国の主張の違いは、どうやら、韓国側の暗い過去に原因があるようです。こうして、長年の謎の一端が解けたのですが、少なくとも、韓国は、朝鮮半島における日本軍による強制連行説が捏造であることを、正直に認めるべきです。”強制連行説”は、日本国に対する誣告、並びに、名誉棄損の罪となるのですから。

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コメント (4)
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