万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

迅速なNATO-急ぐべき中国包囲網の形成

2014年09月06日 15時43分44秒 | 国際政治
ロシア対抗へ緊急部隊創設=サイバー攻撃も集団防衛対象に―NATO首脳会議(時事通信) - goo ニュース
 ウクライナ紛争を機に深まったロシアとの緊張に対応すべく、NATOの首脳会議では、新たに緊急部隊の創設が決定されたと報じられています。この素早さと比較しますと、中国の脅威に対するアジアでの動きは遅すぎるように思えます。

 そもそも、NATOが結成されたのは、第二次世界大戦が終結してからわずか4年後のことです。ソ連邦の脅威に対して、西側諸国はいち早く行動を開始したのであり、そこには、一切の理想や楽観主義を排した安全保障に対する現実的な感覚を見出すことができます。この鋭敏な感覚は、幾度となく戦争を繰り返してきたヨーロッパの歴史において培われてきたのでしょう。その一方で、アジアに視線を移しますと、21世紀に至り、露骨なまでに領土拡張主義と自民族優越主義-”中国の夢”-を唱える国が出現したにもかかわらず、軍事大国を抑えるための目立った動きはありませんでした。冷戦期を通してNATOが曲がりなりにもソ連邦に対する抑止力を働かせたことを考慮しますと、アジアには、未だに地域的な安全保障の枠組みがなく、この意味において、中国に対して脆弱な状況にあります。

 先日、インドのモディ首相が来日し、日印関係の強化に向けた動きが始まりましたが、アメリカ、オーストラリア、東南アジア諸国等による中国包囲網の形成は、アジアの平和の礎となるはずです。安全保障においては、時間が決定的な意味を持つこともあるのですから、脅威への対応には迅速さが必要なのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする