万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

スコットランドの住民投票―チベットやウイグルには希望の光では?

2014年09月20日 15時59分04秒 | 国際政治
スコットランド首相辞意「前進している」 サモンド流、他国にも波(産経新聞) - goo ニュース
 スコットランドで実施された独立を問う住民投票は、反対多数による英国残留という結果を以って幕を閉じました。チベットやウイグルなど、国内に分離・独立問題を抱える中国は、独立否定の結果に安堵しているのではないか、との見解もありますが、そうとも言えないのではないかと思うのです。

 分離・独立問題に対してイギリスが選択した方法は、住民に独立の是非を問うという最も民主的に正当な方法でした。スコットランドで多数を以って独立が否定されたことは、イギリスとの連合をスコットランド人自らが選択したことを意味しています。そして、イギリスがこの方法を選択したことは、今日にあって、異民族から武力で主権を奪い、強制的に支配下に置く覇権主義的な手法が、正当性を失っていることを示しています。スコットランドで試みられた民主的な手法は、たとえ独立が実現しなかったとしても、イギリスの手法と比較されることで、中国のチベット、並びに、ウイグルに対する弾圧の不当性が際立つことになります。中国も、民族自決の原則を尊重し、チベット人やウイグル人に対して自己決定の自由を認めるべき、とする批判の声は、中国政府にとりましては相当に耳痛いはずです。残酷極まりない手法で異民族を従属させ、縛り付けている国は、たとえ経済大国となっても、国際社会どころか、アジアのリーダーにさえなれないと…。

 民主的な住民投票によって独立できる可能性が見えてきたことは、チベットやウイグルにとりましては、希望の光となりましょう。国際社会は、国際法で禁じられている民族浄化を現実に実行している中国に対して、民主的住民投票の早期実施を求めてゆくべきではないかと思うのです。

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コメント (4)
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