万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ISISと共産軍との共通性-古くて新しい問題

2014年09月24日 15時23分07秒 | 国際政治
シリア空爆最大規模、「世界が結束」米強調(読売新聞) - goo ニュース
 古今東西の歴史書の多くは、武装した一団が暴力で勢力範囲を広げ、やがて国家を建設するというストーリーを語っています。近現代においても、武力による建国は過去に葬り去れてはおらず、今なおも国際社会を揺るがしています。

 昨日、アメリカのオバマ大統領は、イスラム原理主義武装勢力であるISISを壊滅に追い込むために、シリア空爆の実施を表明しました。中東では、ISISに占領された地域が広がっており、ISISは、支配地域の住民に対してあたかも”国家”の如くに振る舞っています。現代における武装勢力の存在を考えるとき、看過できないのは共産軍の存在です。共産軍とは、共産主義を信奉する人々が結集し、武力を手に共産国家建設のために闘った武装勢力です。ISISはイスラム原理主義の組織ですが、宗教とイデオロギーの違いはあるものの、両者とも、特定の思想を紐帯として暴力を手段に国家権力を掌握しようとしたことにおいて共通しています。どちらも、正規の軍隊ではないにも拘わらず…。中華人民共和国は、1949年10月に、共産軍である人民解放軍が、中華民国軍との内戦に勝利して建国した国です。共産軍との共通性を考えますと、ISISは、決して侮れない存在なのではないかと思うのです。アメリカと共に中東諸国が結束してISISとの戦いを表明しているのも、おそらく、歴史上の前例を怖れてのことかもしれません。

 武装勢力による国家建設の問題は、古くて新しい問題です。現在、ISISに対しては武力制圧が選択されましたが、今後とも、国際社会は、こうした問題にどのように対処すべきか、知恵を絞ってゆく必要があるのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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