万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

習主席「民族浄化政策は正しい」と総括?

2014年09月30日 16時23分10秒 | アジア
「民族政策は正しい」と総括=敵対勢力の浸透に警戒も―中国(時事通信) - goo ニュース
 香港で民主派デモが発生している中、中国の習近平主席は、建国以来の共産党による「民族政策は正しかった」と総括した報じられています。この総括に同意する国は、中国以外は殆ど存在しないのではないでしょうか。

 中国が65年間にわたって遂行してきた”民族政策”なるものが、今日、国際条約で禁じられている”民族浄化政策”であったことは疑いなきことです。中国政府の武力弾圧を受けて犠牲となったチベット人やウイグル人等の数知れず、現在では、一部、漢民族との婚姻奨励政策といったソフト路線が見られるものの、これもまた巧妙な”民族浄化政策”であることには変わりはありません。中国国内では、情報統制が徹底されていますので、苛烈を極めた異民族弾圧の実態を知る国民も限られているのでしょうが、少なくとも、中国共産党の幹部は、この事実を知りすぎるほど知っているはずです。胡錦濤前主席はチベット、そして、習近平現主席はウイグルに対する弾圧政策の張本人であると共に、その功績が認められて主席の座に上り詰めたのですから…。「民族政策は正しかった」とする発言は、100%の自己評価でしかないのです。そしてそれは、”邪魔者や抵抗する者を暴力で排除することは正しい”とする中国共産党の価値観を表してもいます。中国にとって、”正しさの基準”とは、マキャベリズム以上に徹底した合目的性にあり、共産党支配の徹底のためには、道徳も倫理も合法性も問われないのです。

 習主席の自己礼賛は、人類の未来に対する暴慢な”宣戦布告”でもあります。香港では、将来を憂いた多数の若者達が民主派デモに参加しておりますが、中国の台頭による民族浄化の是認、法を無視した暴力主義の蔓延、そして経済力にものを言わせた賄賂による内政干渉は、全ての諸国から未来を奪います。香港での抵抗運動は、我々一人一人にとっても、決して他人事ではないと思うのです。

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コメント (2)
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