昨日7月5日、NHKでは夜9時の『ニュース9』において、深刻な人権侵害が国際的な批判を浴びているウイグル問題を扱っておりました。日本在住のウイグル人の方が登場し、中国当局による非道な仕打ちを訴えるという構成であり、同問題について実情を知らない国民が多い中、同報道はウイグル問題の理解を深める上で有意義な報道ではありました。しかしながら、一つ気に掛かったのは、NHKキャスターの一言です。それは、‘一つの中国’という言葉です。
同番組は、中国によるウイグル人に対する非人道的な行為を批判しつつも、中国の顔色をも窺っていたように思えます。中国配慮の現れが‘一つの中国’の言葉であり、現在の中国の領域を一体と見なせば、ウイグル人の独自性を認めたり、独立運動を弾圧するのも致し方ない、とも解されます。台湾問題にあっても、中国は、しばしば‘一つの中国’を強調してきました。乃ち、この言葉こそ、中国にとりましては、台湾のみならず、香港の本土化、並びに、チベットやウイグルの独立を押さえつけ、国際社会からの批判をかわす‘魔法の杖’なのです。この杖を一振りすれば、あらゆる批判者の口を噤ませることができると信じているのでしょう。案の定、NHKまでもが、この言葉を持ち出すことで、中国当局のウイグル弾圧をあたかも当然の事の如くに擁護しているのです。
しかしながら、‘一つの中国’の言葉の意味を深く探りますと、同国の倒錯した思考が浮かび上がってまいります。それは、たとえ軍事侵攻や詐術によって他国の独立を奪い、自らの支配下に置いたとしても、違いをなくして‘一つ’にすれば’許されるという恐るべき論理です。そして、この侵略正当化の理論に基づけば、支配下に置かれた側の独自の文化や伝統は支配する側のものに強制的に置き換えられてしまうのです。かくして、中国は、‘再教育施設’という名の強制収容所を設け、ウイグル人の内面にまで踏み込み、‘一つの中国’を押し付けています。自らの侵略を正当化するために…。
このような自己正当化は、果たして許されるのでしょうか。今日にあっては、国連憲章にも謳われているように、民族自決や主権平等は国際社会の基本原則です。チベットもウイグルも国際法を突き詰めれば、中国の侵略行為、あるいは、不法占領であることは疑いようもありません。第二次世界大戦にあって、日本国を侵略国として糾弾したのは当の中国であったにも拘わらず、その中国が、今度は自ら他国を不法に自国に併合しながら‘一つの中国’を以ってその犯罪性を糊塗しようとしているのです。
この論法が通用するならば、今後、中国が日本国を支配するに至った場合にも、‘一つの中国’を掲げ、異民族をも包摂する偉大な国家として自画自賛することでしょう。日本全国津々浦々に至るまで、中国支配に抵抗する日本人に共産主義を植えるつけるための‘再教育施設’が建設されたとしても…。国民国家体系を基礎とし、国家、及び、民族の独立性の相互尊重を義務付ける国際法に照らせば、‘一つの中国’こそ主権や自決権の簒奪を許す犯罪者側の詭弁であり、国際社会における危険思想と言えるのではないかと思うのです。
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しかしながら、‘一つの中国’の言葉の意味を深く探りますと、同国の倒錯した思考が浮かび上がってまいります。それは、たとえ軍事侵攻や詐術によって他国の独立を奪い、自らの支配下に置いたとしても、違いをなくして‘一つ’にすれば’許されるという恐るべき論理です。そして、この侵略正当化の理論に基づけば、支配下に置かれた側の独自の文化や伝統は支配する側のものに強制的に置き換えられてしまうのです。かくして、中国は、‘再教育施設’という名の強制収容所を設け、ウイグル人の内面にまで踏み込み、‘一つの中国’を押し付けています。自らの侵略を正当化するために…。
このような自己正当化は、果たして許されるのでしょうか。今日にあっては、国連憲章にも謳われているように、民族自決や主権平等は国際社会の基本原則です。チベットもウイグルも国際法を突き詰めれば、中国の侵略行為、あるいは、不法占領であることは疑いようもありません。第二次世界大戦にあって、日本国を侵略国として糾弾したのは当の中国であったにも拘わらず、その中国が、今度は自ら他国を不法に自国に併合しながら‘一つの中国’を以ってその犯罪性を糊塗しようとしているのです。
この論法が通用するならば、今後、中国が日本国を支配するに至った場合にも、‘一つの中国’を掲げ、異民族をも包摂する偉大な国家として自画自賛することでしょう。日本全国津々浦々に至るまで、中国支配に抵抗する日本人に共産主義を植えるつけるための‘再教育施設’が建設されたとしても…。国民国家体系を基礎とし、国家、及び、民族の独立性の相互尊重を義務付ける国際法に照らせば、‘一つの中国’こそ主権や自決権の簒奪を許す犯罪者側の詭弁であり、国際社会における危険思想と言えるのではないかと思うのです。
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