日に日に激化する日韓対立に業を煮やしたのか、両国の同盟国であるアメリカが、日韓対立を緩和させるための仲介案を両国政府に提示したと報じられております。詳しい内容は不明なのですが、同仲介案によって、果たして日韓関係は改善されるのでしょうか。
同報道に依りますと、アメリカが提示した仲介案では、日本国政府に対しては、日韓両政府の交渉期間中という条件付きで、輸出措置において優遇を与える「ホワイト国」から韓国を除外する手続きの停止を求めているそうです。つまり、対日提案は、事実上の対韓輸出規制強化措置の延期となりますが、仲介案である以上、一方の当事国にのみ妥協や譲歩を求めることはあり得ません。そこで対韓提案として推測されるのは、(1)イランや北朝鮮といった第三国に対する輸出規制の強化、並びに、(2)所謂‘徴用工訴訟’において賠償命令を受けた日本企業の資産売却の停止、あるいは、調停委員会の設置、もしくは、ICJへの共同提訴への合意の二つです。日本国政府としては、この二つの提案内容を全て無条件に韓国側が飲むのであれば、あるいは、「ホワイト国」からの除外を思い止まるかもしれません。しかしながら、事はそれ程に簡単には解決しないように思えます。
日本国政府は、今般の対韓輸出規制の強化について、公式には安全保障上の懸念を理由として挙げてきました。このため、アメリカは、始めから韓国側に対して(1)の提案こそすれ、(2)については言及していない可能性もあります。アメリカとしての最大の懸念は、韓国を経由したイラン、北朝鮮、並びに、中ロといった諸国に対する軍事転用可能な日本製ハイテク素材の流出ですので、(2)の問題に対する関心は相対的に低いかもしれません。あるいは、たとえアメリカが(2)を仲介案に含めたとしても、韓国側は、上記の日本国政府の説明を理由として受け入れを拒絶する可能性もあります。
それでは、仮に、アメリカの仲介の結果、(1)の条件のみで日韓両国が合意に達した場合、即ち、日本国側が「ホワイト国」からの除外を止める一方で、韓国側は、輸出管理の徹底を図るという線で交渉が纏まった場合、どのような事態が起きるのでしょうか。この場合、(2)の問題が積み残されますので、日韓関係の悪化を防ぐ効果は期待できません。とりわけ、韓国側が日本企業の資産売却に着手すれば、日本国政府のみならず、世論の対韓感情はさらに悪化することでしょう。つまり、(1)のみによる解決は、仲介者であるアメリカの意図とは逆に日韓関係をさらに拗らせる結果を招くのです。また、合意成立後も、韓国側が輸出管理の厳格化を怠った場合には、日米両国から韓国政府は信頼を失い、交渉の努力は水泡に帰することとなりましょう(結局、「ホワイト国」から除外される…)。
その一方で、仲介案に(2)が含まれており、かつ、韓国政府がこの提案を受け入れるとしますと、今度は、反日に凝り固まっている韓国側の世論にヒステリックなまでの‘逆切れ’が起きるかもしれません。この結果、文政権の支持率はさらに低下し、次期大統領選挙を待たずして退陣に追い込まれる可能性もないわけではありません(文大統領にとりましてはリスクの高い賭け…)。韓国世論の反日感情は、日本側の肩を持ったとして、仲介役を引き受けたアメリカにも向けられかねないのです(トランプ大統領にとりましてもリスクの高い賭け…)。
なお、もう一つの可能性として指摘し得る点は、そもそも同仲介案は合意を想定したものではなく‘時間稼ぎ’に過ぎないのではないか、とする疑いです。何故ならば、今般の日本国政府の措置は、対話では埒が明かないことが分かりすぎる程分かった結果であるからです。時間を稼ぎたい理由がどこにあるのか不明なものの、アメリカの政界にも様々な勢力が蠢いておりますので、あるいは、中国や韓国等と利益を共にする団体によるロビー活動の結果なのかも知れません(日本製素材の輸出先諸国等…)。
以上に、安全保障、並びに、所謂‘徴用工訴訟’の二点からアメリカの仲介案についてその行く先を推測してみましたが、その行く先には暗雲が立ち込めているように思えます(もっとも、菅官房長官は、仲介案の存在を否定している…)。同仲介案については日韓両国に署名を迫っているとも報じられているものの、韓国政府が合意に拘束されるとは限りませんので、日本国政府は、慎重には慎重を期して臨むべきではないかと思うのです。
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同報道に依りますと、アメリカが提示した仲介案では、日本国政府に対しては、日韓両政府の交渉期間中という条件付きで、輸出措置において優遇を与える「ホワイト国」から韓国を除外する手続きの停止を求めているそうです。つまり、対日提案は、事実上の対韓輸出規制強化措置の延期となりますが、仲介案である以上、一方の当事国にのみ妥協や譲歩を求めることはあり得ません。そこで対韓提案として推測されるのは、(1)イランや北朝鮮といった第三国に対する輸出規制の強化、並びに、(2)所謂‘徴用工訴訟’において賠償命令を受けた日本企業の資産売却の停止、あるいは、調停委員会の設置、もしくは、ICJへの共同提訴への合意の二つです。日本国政府としては、この二つの提案内容を全て無条件に韓国側が飲むのであれば、あるいは、「ホワイト国」からの除外を思い止まるかもしれません。しかしながら、事はそれ程に簡単には解決しないように思えます。
日本国政府は、今般の対韓輸出規制の強化について、公式には安全保障上の懸念を理由として挙げてきました。このため、アメリカは、始めから韓国側に対して(1)の提案こそすれ、(2)については言及していない可能性もあります。アメリカとしての最大の懸念は、韓国を経由したイラン、北朝鮮、並びに、中ロといった諸国に対する軍事転用可能な日本製ハイテク素材の流出ですので、(2)の問題に対する関心は相対的に低いかもしれません。あるいは、たとえアメリカが(2)を仲介案に含めたとしても、韓国側は、上記の日本国政府の説明を理由として受け入れを拒絶する可能性もあります。
それでは、仮に、アメリカの仲介の結果、(1)の条件のみで日韓両国が合意に達した場合、即ち、日本国側が「ホワイト国」からの除外を止める一方で、韓国側は、輸出管理の徹底を図るという線で交渉が纏まった場合、どのような事態が起きるのでしょうか。この場合、(2)の問題が積み残されますので、日韓関係の悪化を防ぐ効果は期待できません。とりわけ、韓国側が日本企業の資産売却に着手すれば、日本国政府のみならず、世論の対韓感情はさらに悪化することでしょう。つまり、(1)のみによる解決は、仲介者であるアメリカの意図とは逆に日韓関係をさらに拗らせる結果を招くのです。また、合意成立後も、韓国側が輸出管理の厳格化を怠った場合には、日米両国から韓国政府は信頼を失い、交渉の努力は水泡に帰することとなりましょう(結局、「ホワイト国」から除外される…)。
その一方で、仲介案に(2)が含まれており、かつ、韓国政府がこの提案を受け入れるとしますと、今度は、反日に凝り固まっている韓国側の世論にヒステリックなまでの‘逆切れ’が起きるかもしれません。この結果、文政権の支持率はさらに低下し、次期大統領選挙を待たずして退陣に追い込まれる可能性もないわけではありません(文大統領にとりましてはリスクの高い賭け…)。韓国世論の反日感情は、日本側の肩を持ったとして、仲介役を引き受けたアメリカにも向けられかねないのです(トランプ大統領にとりましてもリスクの高い賭け…)。
なお、もう一つの可能性として指摘し得る点は、そもそも同仲介案は合意を想定したものではなく‘時間稼ぎ’に過ぎないのではないか、とする疑いです。何故ならば、今般の日本国政府の措置は、対話では埒が明かないことが分かりすぎる程分かった結果であるからです。時間を稼ぎたい理由がどこにあるのか不明なものの、アメリカの政界にも様々な勢力が蠢いておりますので、あるいは、中国や韓国等と利益を共にする団体によるロビー活動の結果なのかも知れません(日本製素材の輸出先諸国等…)。
以上に、安全保障、並びに、所謂‘徴用工訴訟’の二点からアメリカの仲介案についてその行く先を推測してみましたが、その行く先には暗雲が立ち込めているように思えます(もっとも、菅官房長官は、仲介案の存在を否定している…)。同仲介案については日韓両国に署名を迫っているとも報じられているものの、韓国政府が合意に拘束されるとは限りませんので、日本国政府は、慎重には慎重を期して臨むべきではないかと思うのです。
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