先日、日本国政府は、韓国に対する素材輸出の規制を強化する方針を公表しました。その理由としては、マスメディア等では所謂‘徴用工訴訟’における韓国側の過激な対応に対する報復とする見方が有力でしたが、日本国政府の説明に依りますと、安全保障上の懸念が主因とされています。ハイテク素材は、大量破壊兵器のみならず、生物化学兵器の製造にも使われますので、中東諸国や北朝鮮などへの流出を恐れたのでしょう。
日本国政府が実施する具体的な政策は、信頼性の高い諸国にのみ与えてきた優遇措置、すなわち、‘ホワイト国’の認定を取り消すことですので、禁輸とまでには至っていません。中国もまた‘ホワイト国’ではありませんので、中国並みの待遇に戻されたということのようです。とは申しますものの、米中貿易戦争の煽りも受けてさしものサムスン電子といった大手企業も苦境にある中での規制強化なだけに韓国側の反発も強く、対抗措置を採る構えを見せています。ところが韓国政府、何故か、同問題について二つの政策を同時進行させようとしているのです。
第一のアプローチは、日本国政府の措置を不当としてWTOに訴えるというものです。福島原子力発電所の事故を根拠に日本産水産物の一部に対して韓国政府が実施してきた禁輸措置をめぐる日韓間の争いにおいて、先日、韓国側はWTOの場で事実上の‘勝訴’を勝ち取っています。おそらく、韓国政府は、自国の影響力が及びやすいWTOが舞台であれば‘二匹目のどじょう’も狙える、即ち、日本国による規制強化を止めさせることができると考えたのでしょう。もっとも、識者の見解では、‘ホワイト国’の認定は、WTO加盟国に課された義務ではなく加盟国の専権となりますので、韓国側が勝訴する見込みは薄いそうです。
第二のアプローチは、アメリカのトランプ大統領への仲裁依頼です。トランプ大統領は、文在寅大統領から仲裁を頼まれたことをツウィッターで明らかにしており、当事国である日韓両国間での解決が望ましいものの、仲裁役を務めるのはやぶさかではないようです。大統領選挙を前にした外交上の実績造りの一環かもしれませんが、少なくとも韓国側は、アメリカに頼み込めば、自国に有利な解決に導くことができると考えたようです。とは言いますものの、このケースでは、トランプ大統領が韓国側に立って日本国政府に政策変更を迫る形にならざるを得ず、日本国政府側がアメリカへの仲介依頼に二の足を踏むことでしょう。また、韓国側も、仲裁の過程で韓国側の不適切な輸出管理の実態が明らかになれば、アメリカから厳しい追及を受けるかもしれません(むしろ、アメリカ側が日本国に対して安全保障の観点から対韓輸出規制の強化を求めたとする説もある…)。
仮に、両者が別々の解決案を示した場合、韓国は、一体、どうのように対処するつもりなのでしょうか。トランプ大統領の仲裁案を採ってWTOの判断を無視すれば、WTO体制崩壊の引き金を引きますし、逆に、WTOの判断に従ってトランプ大統領の仲裁案を蔑にすれば、同大統領の面子を潰してしまいます。あるいは、WTOでの解決を半ば諦めたからこそ、トランプ大統領に仲裁を依頼したのでしょうか。何れに致しましても、韓国政府の行動は理解に苦しむのです。
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日本国政府が実施する具体的な政策は、信頼性の高い諸国にのみ与えてきた優遇措置、すなわち、‘ホワイト国’の認定を取り消すことですので、禁輸とまでには至っていません。中国もまた‘ホワイト国’ではありませんので、中国並みの待遇に戻されたということのようです。とは申しますものの、米中貿易戦争の煽りも受けてさしものサムスン電子といった大手企業も苦境にある中での規制強化なだけに韓国側の反発も強く、対抗措置を採る構えを見せています。ところが韓国政府、何故か、同問題について二つの政策を同時進行させようとしているのです。
第一のアプローチは、日本国政府の措置を不当としてWTOに訴えるというものです。福島原子力発電所の事故を根拠に日本産水産物の一部に対して韓国政府が実施してきた禁輸措置をめぐる日韓間の争いにおいて、先日、韓国側はWTOの場で事実上の‘勝訴’を勝ち取っています。おそらく、韓国政府は、自国の影響力が及びやすいWTOが舞台であれば‘二匹目のどじょう’も狙える、即ち、日本国による規制強化を止めさせることができると考えたのでしょう。もっとも、識者の見解では、‘ホワイト国’の認定は、WTO加盟国に課された義務ではなく加盟国の専権となりますので、韓国側が勝訴する見込みは薄いそうです。
第二のアプローチは、アメリカのトランプ大統領への仲裁依頼です。トランプ大統領は、文在寅大統領から仲裁を頼まれたことをツウィッターで明らかにしており、当事国である日韓両国間での解決が望ましいものの、仲裁役を務めるのはやぶさかではないようです。大統領選挙を前にした外交上の実績造りの一環かもしれませんが、少なくとも韓国側は、アメリカに頼み込めば、自国に有利な解決に導くことができると考えたようです。とは言いますものの、このケースでは、トランプ大統領が韓国側に立って日本国政府に政策変更を迫る形にならざるを得ず、日本国政府側がアメリカへの仲介依頼に二の足を踏むことでしょう。また、韓国側も、仲裁の過程で韓国側の不適切な輸出管理の実態が明らかになれば、アメリカから厳しい追及を受けるかもしれません(むしろ、アメリカ側が日本国に対して安全保障の観点から対韓輸出規制の強化を求めたとする説もある…)。
仮に、両者が別々の解決案を示した場合、韓国は、一体、どうのように対処するつもりなのでしょうか。トランプ大統領の仲裁案を採ってWTOの判断を無視すれば、WTO体制崩壊の引き金を引きますし、逆に、WTOの判断に従ってトランプ大統領の仲裁案を蔑にすれば、同大統領の面子を潰してしまいます。あるいは、WTOでの解決を半ば諦めたからこそ、トランプ大統領に仲裁を依頼したのでしょうか。何れに致しましても、韓国政府の行動は理解に苦しむのです。
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