風景写真が得意な伊藤とよ子さん
人物スナップを撮りまくる小谷和子さん
「88歳の大先輩がこんなに素晴らしい写真を撮れるとは・・・。絵の愚作を重ねる僕も『年のせい』なんかにしてはいられないな」
名古屋・栄の名古屋市民ギャラリー栄で開かれている、写真の「米寿2人展」(約35点を展示)を拝見しての率直な感想でした。18日(日)まで。
伊藤とよ子さん=春日井市高蔵寺在住=と、小谷和子さん=名古屋市北区在住=。写真教室などを通して知り合った2人です。
伊藤さんは風景、小谷さんはスナップと分野は違いますが、ファインダーを覗き、シャッターを押し続ける中で親友になり、初めての2人展を開いたそうです。
伊藤さんが写真に凝りだしたのは、病院勤めを辞めた65歳から。あちこちを歩くのが好きだったので、写真を趣味にと一眼レフを購入、写真教室にも入って街に飛び出しました。
「とにかく、楽しくて」。メキメキと力をつけ、あちこちの写真展で入賞、現在に至っているそうです。
伊藤さんのこだわりは、じっくり構えて一度のシャッターチャンスで決めること、それにフィルムを使うこと。
じっくり見て、切り取る構図を決めると、出来上がる1枚を頭に描きながら、露出補正やホワイトバランス、ISO感度などを調整してシャッターを押します。あくまで基本を大切に、ということでしょう。
動く風景でも連写モードにはしません。
フィルムは36枚撮り。年間300本も撮ることがあるそうです。
一方、人物を題材にするスナップ写真が得意な小谷さんがカメラに夢中になりだしたのは30年ほど前。写真を趣味にする兄を見ているうち「私もやりたい」となったとか。
スナップ写真を選んだのは「動きがあるし、表情の変化などを捉えるのが面白いから」。でも、カメラを意識されると、どうしても不自然になります。
[じっと自然体になるのを待ちます。時間がかかるし、満足できる写真はなかなか撮れません]
「でも、だから面白いのです。簡単に撮れたら面白くないでしょ」
小谷さんもデジタルではなく、フィルム専門。連写はしないそうです。「数えたことはないけど、36枚撮りフィルムを年に200本以上使っていますかね」
2人ともご主人を亡くしています。
「だけど、写真仲間のみなさんの作品に学び、毎日が楽しくい。ボケてる暇はありません」と伊藤さん。
「私は最近、転んで足の骨を折りましたが、もう歩けるメドがたちました。みなさんに助けられ幸せです。早く撮影に出かけなければ」と、車椅子で会場にやってきた小谷さん。
今回の展覧会も、案内ハガキや作品名カードの製作、飾り付け、会場の受付など、すべて仲間のみなさんがやってくれています。
そのひとり、82歳の須賀泰彰さんは話します。
「伊藤さんの風景、小谷さんのスナップと、双方の分野から学ばせてもらっています。それに何より、88歳を感じさせないエネルギーには大いに刺激され、私も頑張らねばと思いますよ」
※ お二人の作品を掲載しましたが、僕の撮影技術が不足しているため、一部にハレーションを起こしたり、展示会場の明かりが入ってしまったものがあります。お二人にお詫びするとともに、実際の展示作品はもっと素晴らしい写真であることを申し添えます。
【伊藤さんの作品】
漁場Ⅰ 乙女
漁場Ⅱ 白い傘
夢ごこち
【小谷さんの作品】
招き猫Ⅰ
トリックアートⅡ 日向ひょっとこⅡ
川面を見つめて どじょうすくいⅡ