風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽描き水彩画「東山植物園の雑木林で出会った『どっきりアート』の彫塑」

2015-09-29 06:50:59 | アート・文化

          
               雑木林に踏み込むと、現れた彫塑のアート

「何これ?」「これで絵のつもりなの?」
あきれを通り越して、お叱りを受けるかもしれません。
描いたのは、名古屋の東山植物園の雑木林で出会った彫塑のひとつです。

神社で見かける「狛犬(こまいぬ)」のような彫塑があるのは、ビオトープ近くの散策道沿い。足を踏み入れると、動物や鳥をモチーフに木や石、石膏などを彫り、刻んだ作品に出会います。
これらが設置されたいきさつや作家らについては知りません。でも、結構楽しませてくれます。

撮ってきた写真を前に「形も着色も面白いので何とかなるだろう」と10号大の絵にとりかかったのですが、予期した以上に大変でした。

彫塑の作家が学生であれ、プロであれ、創作に当たっては木漏れ日が漏れる林の様子や作品と出くわした人の感動、また作品が長い歳月や風雨によってどう変貌していくか、なども考えたことでしょう。
作品を目にした人の「?!」の表情も思い浮かべながらの作業だったかもしれません。

「こんな個性あふれる作品を絵にするなんて、やっぱり無理」と投げ出しかけたほどです。
結局、細部にはこだわらず、僕自身が薄暗い林の中で直面した時のドッキリ感と楽しさを出せれば、と描きあげたのですが・・・。

 


楽書き雑記「同じ木に、キンモクセイとギンモクセイの揃い咲き=名古屋・荒子川公園」

2015-09-26 17:13:08 | 日記・エッセイ・コラム


       
      花の4分の3がキンモクセイ、4分の1がギンモクセイの木

 
 オレンジ色のキンモクセイと薄い黄色のギンモクセイが同じ木に
 
                           根元は同じです

宅街住の小路を歩くと、芳香に包まれる季節になりました。

香りの主はキンモクセイ(金木犀)。我が家のキンモクセイも、数日前からこんもりした深緑の葉の間にびっしりと小さなオレンジの花をのぞかせています。

ところで、モクセイにはキンだけでなくギンもあるのに、庭樹では少数派のようです。「やっぱり銀より金」ということでしょうか。
「金と銀が一緒に咲いているモクセイがある」とネットで知り、名古屋駅から名古屋港の金城ふ頭を結ぶ第3セクターの「あおなみ線」で「荒子川公園」に出かけてきました。

公園管理事務所がある「荒子川ガーデンプラザ」裏の日本庭園に、それはありました。
強い芳香を放つ高さ6~7メートルの木。葉の間からのぞく花を見ると、キンモクセイ特有のオレンジ色の花に加え、やや少数派ながら薄い黄色の花がいくつかの塊になって存在を示しています。
ギンモクセイはもう少し白いのでは、と思いましたが、このように黄色がかったのもあるようです。

根元に目をやると、同じところから幹が3本。つまり、同じ根の株というわけです。枝が縦横に込み入っているので、どの枝にギンモクセイが咲いているのか見分けできません。
香りの違いをかぎ分けることもできませんでしたが、それぞれ咲いている枝の葉の色を比べると、深緑のキンモクセイに対し、ギンモクセイの枝の葉はやや黄緑に見えました。

「記録がないので、接木がされたとか、突然変異なのか、原因は分かりません」。事所の広報担当さんの話ですが、この種の話は分からない方がいいですね。
分からないから話題になり、僕のように見物に出かけて楽しめるのですから。










楽描き水彩画「散策路を2枚=名古屋の東山植物園と京都の哲学の道」

2015-09-23 07:01:11 | 催し

空も風もすっかり秋。どこかへ出かけたいですね。
散策するもよし。スケッチブックを開くのもよし・・・。
2枚の散策路を描きました。
               
≪名古屋・東山植物園≫
緑のトンネルを歩くコースにある階段状の坂道を描きました。
ほとんどが自然林からなる植物園は約27ヘクタール。お花畑や岐阜県白川村から移築した合掌造や日本庭園、ビオトープなどを結ぶ、健脚向けから車いすの人たちも楽しめるコースが何本かあります。

「日本の音100選」にも選ばれた緑陰の散策路。木々の間を飛び交う小鳥の鳴き声や小さな流れのせせらぎ、風の音が聞こえてきます。
絵のモチーフとしては平凡ですが、自然林のさまざまな緑の色、濃い緑の中の陰、朽ちようとしている落ち葉の色付けを楽しみました。

     
    

≪京都・哲学の道≫
哲学者・西田幾多郎が思索にふけったこちらは、数え切れないほどある京都の散策路の中でも定番の一本。
疎水沿いに続く道をゆったり歩く。疲れたらティータイムを過ごすのもよし。「日本の道100選」に選ばれたのはうなずけます。

浅い川面に映る桜や紅葉もいいですが、緑が映り込むこの時期もなかなかのもの。銀閣寺なども待っています。
描くにあたっては、絵ハガキなどでよく見かける哲学の道の風景をちょっとだけ変えてみようと、手前に桜の古木を持ってきました。

  













楽書き雑記「300万本の彼岸花=新実南吉のふるさとでも満開へ」

2015-09-19 19:13:17 | 日記・エッセイ・コラム

  
    
          

   

「ごんぎつね」の童話作家・新実南吉のふるさと、愛知県半田市の矢勝川堤防へ彼岸花を見に出かけてきました。その数は何と300万本。

「少し早かったですね。23日ごろになれば満開でしたのに」。守る会の方は申し訳なさそうに言われましたが、これで十分。色鮮やかな彼岸花を咲かせようと続けている堤防の下草刈りなど地道な活動に拍手したい思いです。

名鉄河和線「半田口」で下車、徒歩5分ほどで半田市岩滑(やなべ)地区の矢勝川堤に着くと、写真のような光景が広がりました。1・5キロほどの両岸の堤防に、彼岸花で赤い帯や文様が描かれています。

新実南吉顕彰会のホームページによると、彼岸花の風景の始まりは25年ほど前。顕彰会の広報部長だった小栗大造さんが「南吉が散策を楽しんだ堤防をキャンバスにして「ごんぎつね」にも出てくる彼岸花で真っ赤な絵を描こう」と発案。

堤防を覆っていたクズやススキを刈り取り、彼岸花の球根を植え続ける小栗さんの姿に、地域住民がひとり、ふたりと呼応。「矢勝川の環境を守る会」に発展し、今では全国有数の彼岸花の群生地になっています。

彼岸花の季節には「ごんの秋祭り」も開催。ことしも9月19日から10月4日までの日程で、新実南吉記念館や矢勝川堤を舞台に楽しいイベントが企画されています。
また、名鉄河和線を河和に向けてもうひと駅(住吉町駅)行けば、旧カブトビールの赤レンガ建物も待ってます。この大型連休、いかがです?

   

         

     
      近くの神社の林にも







楽書き雑記「趣味人たちの発表の秋=名古屋の区民美術展もスタート」

2015-09-18 16:07:02 | アート・文化

                     

    

               
                
絵画や写真などを趣味にする人たちが、Ⅰ年間の「成果」を発表する区民展や市民展、町民展などの季節になりました。晩秋にかけて相次いで催され、日本画、洋画、書、写真、工芸などの部門で傑作が披露されます。

出品者には若い人もいますが、多くは勤めや家事のピークを終え第2の人生をこれらの趣味で過ごそうと、カルチャーセンターや高年大学、街の塾などで「還暦からの手習い」をしている人たち。僕も、そのひとりです。
公募展や各種美術団体展のような完成度の高い作品は少ないですが、丹精を込めた作品ばかりです。

名古屋市熱田区の第66回民美術展と第62回区民書道展(いずれも18~20日、区役所7階の講堂)を拝見してきました。

熱田区の場合、区民美術展の部門は日本画、洋画、写真、工芸、彫刻の5部門。それぞれ独自の手法で制作に当たった個性的な作品が並んでいます。

※このページには、一般公募の中から、各部門で市長賞(書道部門は2点)を受けた作品を、上から日本画、洋画、写真、工芸、彫刻、書道の順で掲載しました。
会場の照明などが映り込んだりして申し訳ありません。実物はもっときれいです。

             

                     

          
          







楽書き雑記「あふれる意欲と情熱=名古屋の市立高校作品展」

2015-09-15 17:02:36 | アート・文化

       
       

        

   

名古屋市内に17校ある市立高校の生徒たちが部活動や授業で創作した絵画、写真、書道、家庭部門の作品展が、市民ギャラリー栄の全室を使って20日(日)まで催されています。第68回名古屋市教育祭・高等学校展覧会。高校は半世紀前に卒業した僕も、作品に込められた生徒たちの意欲と情熱を感じてきました。

僕はこの展覧会では、ほとんどの作品に添付された作者のコメントに目を通しながら見て回るのを楽しみにしています。そこには、創作の意図や思い、苦労したところ、喜びや反省などが率直に書いてあるからです。

「文字の意味を考えながら書き、文字の価値観を知りました」「難しくて心が折れそうになっても、先生が褒めてくれて書くことができました」
これらは書道で初めて大きな全紙に挑戦した生徒らのコメントです。

今回の教育祭のポスターになった長さが1㍍近くもありそうな大きな靴は、段ボール製。
作者は「自分のシューズをモデルにしたが、設計図がないので構造を考えながら形にした。少しいびつなところもできたけど、段ボールの質感を出せたと思います」とコメントしています。

また、今年も大きな共同作品が目を引き付けてくれます。
名古屋市立工業高校の「名古屋百景」と題するタテ1.8㍍、ヨコ4㍍の作品。
ニヤ板に名古屋城やテレビ塔、ツインタワーなどを彫刻刀で彫って描き、ローラーなどを使って色づけしています。
添え書きには「名古屋の名所って結構派手ですね。派手は下品なイメージという方もおられるかもしれませんが、気持ちが明るくなっていいと思います」。

昨年は大きく「夢」と書いた山田高校書道部の今年のお題は「舞」。
いいですね。みんな夢のある未来に向かって、大きく舞い上がってください。   
  

     

                   

         

  















楽書き雑記「ふるさとの味と自慢が大集合=名古屋で全国県人会まつり」

2015-09-12 15:02:08 | 催し

  
    好天に恵まれた「ふるさと全国県人会まつり」   

     
    高知の「よさこい鳴子踊り」もにぎやかに

              
        ふるさとのニューを知る読売新聞の県版

名古屋を中心に東海地方にある県人会が、故郷の特産品の販売や観光PRをする「ふるさと全国県人会まつり2015」が12.13両日の日程で、名古屋・久屋大通公園にある久屋広場で開催。
僕もさっそく出かけ、転勤などでできたいくつかの「心のふるさと」も合わせて楽しんできました。

びっしりと並んだテント張りのブースには、それぞれ自慢の酒や菓子、麺類、串焼きなどがずらり。ブースの前に設けられたテーブルでは、ジュースやワインを手にお国訛りで盛り上がるグループも。

ステージでは民謡や踊りも。僕のふるさと・高知県人会の「よさこい鳴子踊り」も披露、観客たちの喝采を浴びていました。
また、掲示された読売新聞の各県版に目を通し、郷土の新しいニュースを知ることができました。







楽描き水彩画「台船が係留された瀬戸内の風景=架橋工事や港湾作業の脇役たち」

2015-09-08 07:52:26 | アート・文化

 

瀬戸内海のしまなみ海道が結ぶ島のひとつ、尾道市の生口島(瀬戸田)で出会った風景を描きました。
しまなみ海道や瀬戸大橋、鳴門海峡大橋・大鳴門橋など本四架橋工事でも活躍した台船たちが係留されているところです。

台船は幅が広く平べったい箱形。港湾整備や架橋工事などの現場で、海上に停泊して甲板に作業するクレーンや杭打機、発電機なの設置場所になったり、工事現場へ建設機材や資材を運んだりします。
建造する大型船のブロックや大型部品をドックへ運搬することもあるようです。

エンジンなど自力で航行する装置はないので、現場へはタグボートに曳航されて向かいます。
船体の自重も軽いから、機材や資材を積んでいないときは浅瀬の浜に乗り上げた状態でも係留できるようです。

船台に掛けられたハシゴ、充電・給油ホースのような管が「まだまだ現役」を思わせますが、船体にも甲板にも赤さびが目立ちます。特に手前の台船はかなりの老朽船でしょう。
往年の活躍ぶりを思いながら描きました。作品は50号Fです。







楽描き水彩画「8日から日本水彩名古屋支部秋季展」

2015-09-06 08:34:38 | アート・文化

                    

日本水彩画会名古屋支部の秋季展が9月8日(火)から13日(日)まで、名古屋・瑞穂通り市大病院南にある名古屋市博物館3階のギャラリーで開かれます。今年がちょうど30回目。入場無料。

会員・会友が20号、一般は20~50号の丹精込めた作品が並びます。
博物館は、地下鉄桜通線「桜山」下車、4番出口から徒歩5分です。


楽描き水彩画「小さな花壇を占領する『トラノオ』の花」

2015-09-04 07:58:03 | アート・文化

          

いま、自宅の小さな庭に咲く花の主役を描きました。
「トラノオ」です。

ネットでトラノオを検索すると、2つの植物が出てきます。「サンスベリア」とも呼ばれる観葉植物のトラノオと、この花壇で咲くトラノオです。

トラのしっぽのような形の花穂。種類によって白やピンク、紫などの花が穂の下から先端に向かって次々に咲いていきます。
花期は7~8月のようですが、我が家の庭は日当たりが良くないせいかやや遅れ気味に咲き、その代わり秋が深まるころになっても咲き続けています。


多年草で精力旺盛。根から芽が伸びて増え、背丈が1メートルほどになって、周りの低木や草花を包み込み、占領状態になります。
弱ってきたシャクヤクを掘り起こしたところ、シャクヤクの根と根の間にトラノオの根がびっしりと入り込んでいました。

数年おきにクワでトラノオを根っこごと掘って減らすのですが、たちまち元通りになっています。


楽書き雑記「酔芙蓉=名古屋・鶴舞公園のスイフヨウ園でも開花が始まる」

2015-09-01 06:13:45 | 日記・エッセイ・コラム

 

         

      
    写真は正午ごろ。ちょっぴりピンクに染まり始めたところです

朝早く咲いた直径12センチほどの白い花が、次第にピンクに染まり、赤みを増して、夕方にはしぼんでしまう1日花・スイフヨウ。
柔らかく薄い花弁としとやかな姿は、お酒をちょっと飲んで頬を染めた女性みたい。漢字で「酔芙蓉」と書くのはぴったりですね。

ちなみに花言葉を見ると、「繊細な美」「しとやかな恋人」とありました。なるほど。

名古屋・鶴舞公園にある「スイフヨウ園」を訪ねました。
ここには背丈が80センチぐらいの若木から3メール近い成木まで、60株ほどの酔芙蓉を10月上旬まで鑑賞できます。

予期した通り少し時期が早く、写真のように数輪が咲いた株もありましたが、多くは1、2輪か蕾だけ。でも、この花の場合は花数が少ない方が気品や風情を感じる、と僕は思いました。

酔芙蓉と聞いて、ことし6月に亡くなった直木賞作家・高橋治が1985年に発表、テレビドラマ化もされた小説「風の盆恋歌」を思い浮かべる方が少なくないでしょう。

富山県南部の八尾町。この山間の町を舞台に、運命的な出会いをした男女が毎年3日間(9月1~3日)の祭り「おわら風の盆」に逢瀬を重ねる忍び合う恋。
幻想的な踊り、哀調を帯びた胡弓の音色と旋律。そして控えめに花開き、やがて妖艶にも思える酔芙蓉が、狂おしい愛の物語に引き込んでくれます。

僕も仕事で八尾町をこの時期に訪ねたことがあります。
民家の軒下や小さな庭で咲く酔芙蓉に出会い、なぜか胸が騒いだものです。