ビールの空き缶が素敵な絵になる――。こんなアルミ缶アートの第13回作品展(主催・NPO法人CAN缶アートG)が名古屋・栄の愛知芸術文化センター地下2階にあるアートスペースX室で開かれています。5月6日まで。
アルミ缶を何個も使って動物や建築物などを形作った立体作品は見たことがありますが、今回のような平面の絵画作品を見たのは初めて。
「500㍉リットルの缶ビールを切り開いてアルミ板にします。そこに絵を描き、凹凸をつけて色を塗ります。絵の具は何でも結構。マジックでもいいですよ。凹凸を打ち込む器具も、使えなくなったボールペンだって大丈夫です」と教えてもらいました。
簡単なようですが、初心者だとアルミ缶を切り開いたりする際に怪我をしかねないので、やっぱり経験者の指導を受けたほうが良さそうです。
会場には動物やアニメのキャラクター、それに環境問題や大震災からの復興を唱えるハガキ大の作品がずらり。
一般の部、子供たちを含む学生の部に分けて、来場者がお気に入りの作品をそれぞれ3点ずつ投票する趣向も設けています。
僕のような初心者にこのアートの素晴らしさが伝われば、と何点かを紹介しようと思いましたが「作品の掲載はご遠慮ください」とのことでした。ゴールデンウイーク。興味のある方は会場へどうぞ。
きょうは、この球でどんな遊びをするかな
ゴリラに続いて、今度は類人猿舎で並んで過ごすオランウータンを、ゴリラと同じ10号サイズで描いてみました。
木の上で暮らす最大の動物。生息地は、ゴリラなど他の大型類人猿がアフリカ大陸なのに対し、オランウータンは東南アジアのスマトラ島とボルネオ島の熱帯雨林に生息、スマトラオランウータンとボルネオオランウータンの2つに種別されています。また、古くから「森の人」の愛称で親しまれていますよね。
東山動物園にいるのはスマトラオランウータンです。
園の類人猿舎の奥には、オランウータンについての親切で詳しい説明が掲示されており、それを一読してオランウータンを見ることができました。
その説明などによれば、オランウータンは樹上を渡り歩いて一生の大半を過ごします。そのために腕が足より2倍ほども長いのが特徴です。
食べ物は木に実る果物が中心。葉や樹皮、昆虫などを口にすることもあります。
東山動物園での食事は野菜が中心。野生のオランウータンの大好物である甘いドリアンはなく、ここではリンゴです。自然界よりも全体量としては少なめです。
でも、これは食費の面もありますが、実はメタボ対策なのです。
自然界では果実の生育具合が気候変動などで大きく変わります。このためオランウータンは、果実が豊富な時に思い切り食べて不作に備えようとする習性を身につけてきました。でも、動物園では食べ物はいつもあります。それに運動不足になりがちだし、環境への対応も楽です。
しかし、これでは結果的に太ってしまいます。そこでメタボ対策が必要というわけです。
寿命はまだよく分かっていませんが、数少ないデータでは少なく見積もってもオスが58歳以上、メスが53歳以上にはなると見られています。8~10歳で群れから離れ、単独で過ごします。
しかし、動物園ではそうはいかないので、できるだけ早めに他の動物園へ嫁がせたり婿入りさせているそうです。
類人猿ですからゴリラやチンパンジーと同様、血液型もあります。オランウータンのABO方式血液型はA、B、O、ABとか。人間と同じですね。
オスのオランウータンにはのど袋があり、吠える声は大音響となって800~1000メートル先まで届きます。
かつては10万頭とみられた生息数は、樹木の伐採、開墾、密猟などによって減る一方。現在はボルネオオランウータンが5万6000頭、スマトラオランウータンは7500頭ほどになっています。
オランウータンといえば、先日見た「春の院展」で、同人で日本美術院の理事長でもある松尾敏男さんの「森の人」と題する作品を拝見しました。
オランウータンがバナナなどの横で正面を向いた絵です。解説の中で松尾さんは「隣に座っていても気にならないようなところに魅力を感じた」と制作の動機を書いています。
一緒に見ていた絵仲間のひとりから「しあわせそう」とのつぶやきが聞こえました。僕も少しでもそんな風に描きたいとは思ったのですが、技量はもちろん、オランウータンとの会話も見る心もまだまだ・・・ですね。
描いたのは、オランウータンがぶら下がった球を見ながら「きょうは、この球でどんな遊びをするかな」と考えている様子です。下にあるのはズタズタになった麻袋で、これをからだに羽織って遊ぶのも好きなようです。
オランウータンの食事メニュー。はかりの
針は2・6キロをさしています
第70回春の院展・松尾敏男さんの作品「森の人」
(日本美術院の図録から)
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開催中の名古屋・東山動物園春祭りの主役をつとめている「ニシローランドゴリラ」です(サイズは10号)。
類人猿の仲間では最も大きな体です。今朝(4月21日)のNHKニュースに、アメリカの動物園でゴリラが観客と隔てているガラスに突進する様子が出ていました。迫力十分です。
でも、僕は描いているうちにいかつい顔や巨体からは想像できない柔和さと暖かさ、そして風格さえ感じました。
描いたのは、東山動物園で暮らすゴリラ一家の父親で18歳になるシャバーニがキュウリをかじっている様子です。
先のブログ(3月21日掲載)でも書いたとおり、東山動物園では以前はバナナを主食にしていましたが数年前からキュウリやトマト、ナス、ハクサイなど野菜中心にしているそうです。
東山動物園の類人猿舎には、ゴリラの食事内容を展示してあり、親子連れの会話が聞こえます。
「ゴリラさんは、好き嫌いをしないんだね」
「ニンジンも、セロリも。カリフラワーだって平気だよ」
黒い巨体、毛むくじゃらの大きな手、大きな口に、緑の一本のキュウリ。
朝日新聞社の語彙・読解力検定の広告に掲載されている、ゴリラがバナナを夢中で食べている写真と同様、自分が描いた絵なのに見ていて楽しくなります。
いずれまたゴリラ家族を描きたいと思っています。親子のくつろぐシーンや、シャバーニの背中がおとなのオス特有の銀色に光るシルバーバックもいいですね。
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ゴリラの食事内容です。はかりの針は5・5
キロをさしています。
動物園と一体となった名古屋の東山植物園。久しぶりに出向いてみると「今の主役は私たちです」とばかりに、ほぼ満開になったシャクナゲが迎えてくれました。
新緑の道を進んだ先にある「しゃくなげの森」。赤や白、ピンク、赤紫、深紅など、さまざまなシャクナゲが華やかに咲き誇ります。その数150種、940本。
例年よりやや遅れての開花だったようですが、遅咲き種以外は見事に咲きそろっています。
ゴールデンウイークが明けるころまで楽しめるそうです。
「ふわくの会」展という一風変わった会の絵画展が、名古屋市博物館で19日まで開かれています。
「絵の具もジャンルも自由。人に惑わされることなく、描くことが好きであれば」
こんな思いで絵の道を歩む同志たちが、年に1度作品を持ち寄って見てもらいたいとの企画で、今回が5回目です。
会としての教室やスケッチ会はありません。だから講師もいません。決まりといえば展覧会の会場費として年会費3000円、出展作品は6~30号を3点以内、ということぐらいです。
油彩、水彩、日本画、アクリル、パステル、鉛筆・・・。
風景、人物、静物・・・。
今回持ち寄った14人の絵もさまざまです。出品者のひとりで、僕が学ぶ水彩画教室の仲間である富岡僉治さんはアクリル絵。教室の大半が透明水彩を使う中でアクリルを大胆に使った作品に挑戦しています。
作品をひと通り拝見して、絵の具の違いをあまり感じないことに気づきました。同じように水彩画や油彩画、日本画などが一緒になった 絵画展を見ることは多いのですが、違和感のためか落ち着かないことがあります。
「ふわくの会」展にあまりそれを感じないのは、それぞれが絵の具を使いこなしているので調和がとれているからではないか、と考えた次第です。
「春の院展」の名古屋展が、名古屋の松坂屋美術館で催されています。「春の院展」は、ちょうど70回目。いわば記念展にふさわしい作品の数々に出会え、とくに僕が出かけた初日は、愛知県立芸大で教鞭をとったことのある同人で代表理事の田渕俊夫さんによるトークショーもあって楽しめました。4月19日まで。
同人と受賞作品、この地方の入選者の作品を中心に約130点を展示。東京展と比べれば少ないですが、近年めっきり力をつけた愛知県立芸大で学んだ作家が51人もいて、巡回展のなかではレベルが高いといえるでしょう。
トークショーの場になった展示コーナーは、田渕ファンらでびっしり。絵筆をとる人も少なくないようで、田渕さんは「日本美術院の綱領にも『芸術の自由研究を主とす 教師なし先輩あり 教習なし研究あり』とあるように、自分も常に反省とそれ以上の作品制作に向かっています」と創作活動の姿勢を披露。
「(教室などで)絵の基本を学ぶのはいいが、先生が好むように描こうとか審査員がこの人だから、といった考えではダメ」「描いた作品に満足せず、自分に厳しく向きあって研究を重ねることが大切」などと話しました。
このあと、展示作品のいくつかを回りながら解説。とくに、若手の作家の絵を取り上げ「この表現はすばらしい」「こうした試みも大切なこと」などと話しかけていました。
僕の通う水彩画教室で学ぶ86歳の「同級生」の孫で、愛知県立芸大生の時に入選し、この春に美術研究科を修了した平田望さんの作品の前でも「彼は若い作家だが、何かが生まれる感じがする。何かをつかもうとしている」と期待の言葉を込めて評価していました。
同人らの作品以外で僕が気に留めた作品の一部を掲載します。
もちろん、作品の評価ではありません。若手作家として注目していたり、自分の水彩画づくりの参考にできれば、と思った作品です。
※いずれも、日本美術院の図録に掲載されたものです。
鏡映 岸本浩希 淹留(えんりゅう) 高木友明
隔つもの 手塚 華 秘密の部屋 平田望
Clown 川島 優 日々(にちにち) 江藤紀世
17歳(じゅうなな)・春 玄 奨励賞 山田 伸
古田年寿
電柱のない通り
電柱のある通り
水彩画教室のスケッチ会で、国宝・犬山城(愛知県犬山市)の城下町へ行ってきました。「総構え」と呼ばれる堀などで防御線が設けられたこの城下町は、戦火を浴びることがなかったために、いにしえの姿を比較的留めていることで知られています。
雨が降ったり止んだりの中を、名鉄犬山駅から歩いて10分ほどでメーンの本町通りへ。宿場町や街道沿いの街と同様、歴史のある商家や古民家、飲食店、土産物店などが並び、観光シーズンの週末の賑わいが想像できます。
犬山城へ続く800メートルほどの通りを歩いていて気づきました。
電柱が目に入らないのです。電線が地中に埋設されて電柱がないので、より城下町らしく、すっきりしています。
無電柱化は三重県伊勢市内や埼玉県川越市内で試みた結果、観光客が激増したとことで知られています。犬山の城下町では2009年に実施されました。
近年では観光地だけでなく、幹線道路や新しい住宅団地などでも進められています。
でも、欧米の街並みに比べれば、日本では都市部でもまだまだ。各都道府県の無電柱化率は数パーセントでしょう。また、無電柱化された通りを一歩離れると、電柱が立ち並んでいるのが実態です。犬山も例外ではありません。
無電柱化は景観がよくなるだけでなく、歩道が広くなって安全性が高まり、地震や台風などの災害にも強い街づくりにつながります。
国土交通省では、東京オリンピックをにらんで都内の無電柱化率アップに本腰を入れる構えのようです。それを東京だけに終わらせないのはもちろん、無電柱化の実施箇所を点や線から面に広げる施策を期待したいものです。
この日はあいにくの雨模様。直前まで満開だった桜も散り急ぐ通りを、こんなことを考えつつ絵になりそうな風景をカメラに収めてきました。
約150年前建築の旧磯部邸 サクラの花びらでびっしり
石段にもサクラの花びらが 旧家を彩る鉢植えの花々
裏口まで吹き抜けた漬物屋さん 古民家の風景
犬山城の石垣(1) 犬山城の石垣(2)
神社の境内には恋人たちの願いと誓い 馬の蹄鉄が埋め込まれた玄関
城下町から見た犬山城
満開のサクラが山を駆け上がって行くようです
雑木林を彩るコバノミツバツツジ
豊田市東部にある鞍ケ池公園。豊かな自然と起伏に富んだ広大な敷地に、
子どもたちの遊び場や小規模の動物園、観光牧場などがあり、市内だけでなく近郊から大勢の家族連れがやって来ます。
僕も、四季折々の花々などを訪ねて何度か出かけており、今回はサクラとツツジを絵にしてみました。
サクラは約1500本。多くがソメイヨシノですが、他に珍しい約25種70本の桜園もあります。
描いたのは、小高い雑木の山を登るように何本ものサクラが咲く風景。よく見ると竜の姿のようです。
描き終えると、いつも考えるのがどんな画題にするか・・・。まず思い浮かんだのは「駆け上がるサクラ」でした。でも、いまひとつの感じです。
そこで、思いついたのは「昇竜桜(しょうりゅうざくら)」。ご当地がホームの中日ドラゴンズが、今シーズンのコンセプトにしている「昇竜」にちなんでつけてみました。
絵のサイズは10号です。
サクラとともに欠かせないのは、雑木林で鮮やかに咲くツツジです。
ミツバツツジの仲間である「コバノミツバツツジ」という品種のようです。薄紫や紅紫の花があちこちに咲いています。
サクラもツツジも点描画というほどではありませんが、オペラやローズマダーに、コバルトブルーやビリジャンヒュー、イエローオーカーなどを混ぜ合わせたりして、筆先で落とすようにしながら塗り重ねました。
JRセントラルタワーズ(ツインタワー)を背景に
背景にミッドランドスクエア
名古屋国際センター前で 桜の向こうにはクレーンが
満開の桜、さくら、サクラ。都心のビル街も例外ではありません。
200メートル級ビルの建設ラッシュが続く名古屋駅周辺でも、桜が春の彩を添えています。カメラで切り取ってきました。
名古屋駅から東へ伸びる桜通。名称とは裏腹に通りの街路樹はイチョウが中心ですが、桜も何本か。
まず、ミッドランドスクエア前で咲く1本を、超高層ビルラッシュの先駆けとなったJRセントラルタワーズ(名駅ツインタワー)を入れて・・・。カメラの角度を変えると、背景にはJRゲートタワーを建設中のクレーンが入りました。
通りの向かいで建設が進む旧大名古屋ビルヂング前にも咲いている桜を、今度はミッドランドスクエアを入れて1枚。
ほんの1分ほど歩いたジュンク堂書店の名古屋店がある交差点にも数本。ユニモール地下街の出入り口も桜が覆います。
さらに東へ歩くと、30年ほど前に名古屋における100㍍超えビルの先陣を切った名古屋国際センター前交差点にも何本かあり、センターや高速道路を入れてパチリ。
桜通の名称に少しでも近づけようとの思いからでしょうか、通りでは植えてまもない桜の若木も見かけました。