風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「日展Ⅱ題 ①Yさん、初入選の快挙②日展の信頼回復に期待」

2014-01-29 21:25:09 | アート・文化

名古屋の愛知県美術館で29日開幕した第45回日展東海展に行ってきました。水彩画を通じて知り合い、洋画部門で初入選したYさんの作品を見る楽しみと、不正疑惑で信頼を失った日展のこれからに期待をかけての鑑賞でした。日展東海展は2月16日)まで。

僕がYさんを知ったのは4年前。レベルの高い水彩画の公募展に挑戦しようと、名古屋での作品研究会(勉強会)に出掛けた会場で出会いました。同年輩。画歴も同じようなものだったようですが、作品の風景画を拝見して出来のすごさに驚いたものです。

Yさんは、その公募展で初入選。その上、何と奨励賞を獲得しました。

Yさんは言いました。「僕は日展を目標にしています」「だから、もっと大きな作品を描く勉強をしなければ・・・」

翌年も別の公募展で入賞。構図はもちろん、巧みな光と陰、彩色の風景画を前に、「スケッチに出かけて夢中になり、帰り着くことができるかどうか不安になりました」とYさん。改めてYさんの創作に賭ける意気込みと努力のすごさを知らされました。

そして今回、日展の洋画部門で初入選。

トントン拍子というか、見事な三段跳びというべきか。一般的に水彩画で洋画部門に挑戦するのは大変といわれるだけに、驚くというより、敬服する次第です。
今後のYさんの一層の飛躍を祈りたいものです。

日展の信頼回復に期待)

「今後の・・・」といえば、日展に対する信頼を一日も早く回復することでしょう。

「とうとうマスコミに取り上げられたね」

昨秋、日展の不正疑惑を取り上げた朝日新聞の調査記事を読んだ友人や絵仲間の何人かが呟いた言葉です。

「これはやり玉にあがった書の部門だけの問題ではないよ」「僕も聞いたことがある。先生に(カネを)いくら出したとか、落選したのにカネを返してくれなかったと、ひと悶着あったとか」「芸術作品に対する評価は主観的になりやすいから、こんなことが付きまとうのかな」「いろんな団体や会派の力関係もあるそうだし」――など、など。

僕は定年後に絵を趣味にしたものの、それまでも今も芸術作品については全くの門外漢です。でも、日展には東京展が国立新美術館に移る以前から、見聞を広めるため毎年のように鑑賞に出かけています。

そんな僕でも、日展をめぐる良からぬ話は部門を問わず耳にしてきました。やっかみや面白半分の噂話があるにしても、公募展の最高峰といわれる日展が不信感に覆われていることを残念に思っていたのです。

日展内部でも、信頼回復の努力がなされていると思います。この種の問題の克服は、組織の歴史と伝統があればあるだけ大変でしょう。

でも、日展以上の歴史と伝統のある大相撲が、八百長問題で陥った危機から内部浄化の努力もあって着実に立ち直り、信頼感を回復しつつあることを僕は感じています。

これからも日展の鑑賞を楽しみにします。

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楽書き雑記「土佐の生んだ詩人たちをテーマに、高知学芸高校同窓会でミニ講演会

2014-01-25 23:05:00 | 日記・エッセイ・コラム

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「高知の詩人たち」と題したミニ講演会に耳を傾けてきました。卒業した高知学芸高校の中部支部同窓会の例会。講師も聴講者も同窓会員という内輪の集いですが、講演会後の席もこのテーマを肴に楽しいひとときでした。

講師は森田明さん。僕より1期下ですが、東大大学院を出てドイツのボン大学に留学、名古屋市立大学国際文学科の教授などを務めた才人。とりわけゲーテやハイネ、ヘッセら多くの詩人を生んだドイツ文学の研究に打ち込んできたそうです。

また、高知=土佐は板垣退助らによって明治初期にから中期にかけて展開された自由民権運動を生み育てた地域だけに、政治運動や社会運動、労働運動家だけでなく、詩や小説など文学の世界でも多くの逸材を生み出しました。
詩の世界では岡本弥太、大江満雄、槇村浩(まきむらこう=本名・吉田豊道)、上田秋夫、島崎曙海、片山敏彦ら。民権思想を広めた植木枝盛も近代詩の先駆けだったと言われています。

森田さんはこの中から岡本弥太、槇村浩を取り上げました。

岡本は成人してから詩を書き始め、小学校の教員をしながら同人誌の発行や全国の詩人とのやりとりなどで、自らの詩の精神を掘り下げていきました。

詩集「瀧」が高い評価を受け、「東の宮沢賢治、西の岡本弥太」ともいわれたのですが、43歳で亡くなりました。岡本が生まれた香南市にある岡本の詩碑は、親しかった高村光太郎の揮毫によるものです。

槇村は
3歳の時、医師の書を読みこなし、当時の新聞に「神童現わる」と報じられたといわれています。また、10歳の時には高知を訪れた皇族に話す役割を与えられた席で、進行役の「それではアレクサンダーの話を・・・」の言葉に「その名前の人は世界に何人もいます。どのアレクサンダーですか」と返し、アレクサンダー3世の大遠征をテーマに原稿なしで話した、との逸話も残っているそうです。
この大変な才能で詩の世界に飛び込んだ槇村は、プロレタリア詩家として反戦活動に傾注し、反戦詩を次々に発表。理想と正義感溢れる詩は高く評価されましたが、獄中で病に会い26歳で亡くなりました。

森田さんは、2人の詩を朗読しながら、それぞれの生い立ちや詩に対する考え方、歩んだ軌跡などを解説。「岩手県が生んだ宮沢賢治にしても、詩で生活するのは厳しい。なのに、高知では多くの詩人を生んだ。あえてゼニにならない道を歩もうとするのは、土佐人らしいですね」と話しました。


楽描き風景水彩画「作品の描き直し考」

2014-01-21 10:58:31 | アート・文化

皆さんは自分の描いた絵に不満があり、描き直したことがありませんか。僕はたびたびあります。でも、そのほとんどは気になった部分は直っても、前作よりも勢いがなく迫力の乏しい作品になってしまうのです。

何故でしょう。

いろいろあるでしょうが、僕はモチベーションの変化が一番大きいと思います。最初の作品を手がけた時の「これを描きたい。難しそうだけど描いてやろう」といった動機が、描き直しの時になると失せているのです。「描きたい」よりも「失敗作だから描き直さねば」といった動機になっているのです。


だから、初めの作品で気になった部分の形や色を描き直すことに傾注する一方で、気にならなかったところは軽く仕上げてしまいがちなのです。
1本の木でも、最初は現物の木肌の形、色、陰などを思い出したり、写真を克明に見てデッサンしたり彩色したのに、2作目となると直す部分以外は前作を模写するように進めている自分に気づくことがあります。

その結果、作品は安定したように見えても、面白さがなくなるのでしょう。
だから僕は、公募展用に40号~50号の作品を描くために、8号~10号で下絵を描く場合でも、できるだけ構図や色などの注意点をメモ的に描くだけにしています。


ここに掲載したのは最近、描き直しを試みた絵です。㊤が描き直した絵、㊦が最初の絵です。
昨年秋のスケッチ会で宿泊した奥三河の湯谷温泉のホテルで見て描いた絵(昨年11月16日更新のブログ「トビの乱舞」)を描き直してみました。

失敗を避けるため、大きさを前作が10号だったのを20号にしました。構図ではトビを2羽増やしました。描いている間も、ホテルの対岸から空中のエサを目掛け100羽近いトビの群れが飛んできて、目前でバサッ、バサッと激しい羽音をたてながら争う迫力に、思わず頭に手をやってしゃがみ込みそうになった光景を思い起こしながら筆を進めました。
前作にとらわれないように、前作を見ないで描くようにもしてみました。

題名も「肉片をめぐるトンビの争い」と変えました。トビをトンビとしたのは、子供のころから歌などで親しみのある呼び名だからです。争いから逃げるように飛ぶ右下のトンビの口には、奪い取った肉片を咥えさせました。逃げているのではない、というわけです。

描き直しが成功したかどうか。一部の羽が、最初の作品の方が伸びのびしているところもあるようです。でも、全体的に迫力は衰えていない、と自画自賛し、今度の教室展に出す予定です。


※教室展「第15回風景水彩画KAZEの会作品展」は、2月4日(火)から9日(日)まで、名古屋・栄の中区役所7階にある名古屋市民ギャラリー第2展示室で開きます。ご高覧、お待ちしています。

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        (描き直した「肉片をめぐるトンビの争い)

          
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             (前作の「トビの乱舞)
   


楽書き雑記「超高層ビル建設ラッシュの名古屋」

2014-01-17 08:53:15 | 日記・エッセイ・コラム

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久々に名古屋にやってきた友人たちが驚くのが、巨大なクレーンが林立する名古屋駅周辺の光景です。2027年にリニア中央新幹線が東京―名古屋で開業するのをにらんで進められる再開発。名古屋の玄関がどんどん様変わりしています。

200㍍級の超高層ビルが次々建つ、まさに100年に1度といわれる再開発事業です。
1999年開業したJRセントラルタワーズ(51階建て・245㍍と53階建て・226㍍の2棟)や、06年から07にかけて完成・開業したミッドランドスクエア(46階建て・230㍍)などを再開発のステップとすれば、現在進んでいるのはホップ、そしてリニア開業直前までに行われるだろう総仕上げがジャンプといえるでしょうか。

現在、基礎工事が進むのは、2015年秋から年末にかけて完成が予定されるビル。
そのひとつ、「名古屋駅新ビル」は地上46階、地下6階、高さ約220㍍。レスロラン街、ホテル、家電量販店、書店などが入り、すでにある2棟のJRセントラルタワーズと接続されるそうです。
この地下ではリニアの駅ができる予定です。

名前のユニークさもあって親しまれてきた名古屋駅前の「大名古屋ビルヂング」も建て替え中。地上34階、地下4階、高さ約180㍍。駐車場も設けられ、飲食店などのほか5階以上はオフィスが入る予定です。

旧名古屋中央郵便局跡地では、日本郵政の新ビルが建設中です。地上40階、地下3階、高さ約195㍍。郵便局のほか商業施設やオフィスが入居。バスターミナルと直結、名古屋駅や地下鉄、近鉄、名鉄駅とも地下通路などで結ばれます。

名古屋では名古屋駅前だけでなく、都心の栄地区や伏見地区でも劇場や大型商業施設などの建て替え・再開発が計画されています。かつて「白い街」言われた名古屋。どう呼ばれることになるでしょう。








水彩画教室展「KAZEの会」の作品展 2月4日から

2014-01-13 12:48:14 | インポート

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僕が学ぶ朝日カルチャーセンター名古屋にある水彩画教室の作品展が、2月4日(火)から9日(日)まで、名古屋・栄の名古屋市民ギャラリー7階の第2展示室で開かれます。「KAZEの会作品展」といい、年1回開催。今年15回目です。

1年間に4回ある「お出かけスケッチ」で描いた作品や日ごろ自宅で描いている作品の中から、21人が各自合わせて3点・30号以内を原則として出展します。


旧国鉄稲沢操車場で今年初めての水彩画教室スケッチ会

2014-01-09 09:27:13 | アート・文化

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僕が学ぶ水彩画教室の今年初めてのスケッチ会として、愛知県稲沢市の旧国鉄稲沢操車場へ行ってきました。僕は、少年時代を終発着駅のある町で過ごしたこと、勤め人としての最初の任地が操車場のある「国鉄の街」だったこともあって、蒸気機関車が吹き上げる煤煙、どこまでも響く汽笛、何本も伸びる線路など、脳裏にはセピア色の風景とともに石炭の匂いが懐かしくよみがえります。

物流の柱として、日本経済の発展を率いてきた鉄道の貨物輸送。各地にその輸送基地となる操車場がありました。
ウィキペディアなどによれば、旧稲沢操車場は1925年(大正14年)、名古屋駅の機能を当時の稲沢駅校内へ移すかたちで誕生し、全長5.85キロ㍍、最大幅160㍍、敷地21万6000平方㍍。東海道線や中央線を走る列車の輸送基地で、関東の新鶴見操車場、関西の吹田操車場と並ぶ我が国三大操車場のひとつでした。
しかし、1970年代の貨物列車からトラック輸送へ、機関車が石炭から電気・ディーゼルへと移り変わる中で、1986年(昭和61年)に輸送基地を解除されました。今の稲沢駅は、旅客列車もごく一部の快速を除いて各駅停車しか止まりません。

この日は、あいにくの雨。それに構内へ勝手に立ち入ることはできないこともあって、当時のあった蒸気機関車に石炭や水を供給する施設、機関車の向きを変える転車台、車輪の滑り止め砂置き場などの面影を探すのは難しいようでした。

でも、ホームや陸橋に立って、幾筋も伸びる線路、出番を待つ貨物列車の気動車などを見ながら操車場の往時を偲んでいると、「絵になる風景」をいくつか拾うことができました。

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日本水彩名古屋支部小品展始まる

2014-01-06 22:28:37 | アート・文化


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名古屋市内のカルチャーセンターや生涯学習センターなどで学ぶ人たちの発表の場として知られる名古屋市民ギャラリーの展示室が、ことしも7日からオープン。わが国の水彩画界をリードする日本水彩画会の第56回名古屋支部小品展も幕開けしました。12日まで。

名古屋市民ギャラリーは、名古屋の都心・栄の中区役所朝日生命共同ビル7、8階の全フロアに設けた計11の展示室からなっています。交通の便がよく、利用料金がリーズナブルで、展示スペースも絵画、写真、書、工芸などの発表に最適。日本水彩名古屋支部小品展はじめ、僕が通う水彩画教室の教室展、仲間とのグループ展もここで開かれています。

日本水彩名古屋支部の小品展では国内外の風景、静物、人物などを描いた8号以内の作品100余点を展示。サイズは小さいながらも、各自の今年の創作活動に対する意欲がうかがえる作品ばかりです。
今週の市民ギャラリーではこの他に、ペン字の線や色彩、デッサンなどの美しさを知る展覧会、全日本児童美術展、高年大学卒業生による第1回鯱雲水墨会作品展など。ギャラリーの念頭のを飾るにふさわしい傑作が並んでいます。


7日から日本水彩名古屋支部展

2014-01-03 17:35:42 | アート・文化

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名古屋・栄にある名古屋市民ギャラリー7階の第1・第2展示室で、松の内開けの7日(火)から、第56回日本水彩名古屋支部小品展が開かれます。12日(日)まで。
出展作品は8号以内。サイズは小さくても、今年の創作活動にかける意気込みが伝わってくる作品ばかりです。寒い日々が続きますが、出展者の一人としても、ぜひご高覧をお待ちしています。

          

              


新年のごあいさつ

2014-01-01 08:03:25 | 日記・エッセイ・コラム

  

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明けましておめでとうございます。

 
気楽にエッセーやコラム、水彩画などが掲載できれば、と昨年春スタートさせたこのブログ。
 
っといい話や絵を掲載できないか、の思いを抱きつつ、無理のない更新に努めます。
温かく見守ってください。

 ※午年のごあいさつに使用した絵は、水彩画教室のスケッチ会で描いた作品です。


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