名古屋・栄の愛知県美術館で2月15日(日)まで開催している「改組 新 第1回日展」の東海展を見てきました。
不正疑惑問題を機に「一からの出直し」を誓って再スタートした日展。僕のような素人には、5部門(日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書)の作品に、日展の覚悟のほどがどのように反映されているかは理解できませんでしたが、連日のように訪れる数多い日展ファンのためにも、元来た道に戻ることのないよう祈るばかりです。
日展のホームページによれば、出直し策の一環として各部門とも外部からの審査員を2,3人ずつ入れたり、審査員による「事前審査」をやめたそうです。審査会場にはビデオカメラを入れたことも報告されています。
一方で、今回の応募点数は、全体で前回に比べて1割ほど減ったようです。愛想が尽きたのか、改革の行方を見てみようということなのかは定かではありませんが、日展幹部としては再スタートの出端をくじかれた思いでしょう。
そんな中で、ある部門では新入選が倍増したといいます。審査員氏は、ベテランが力みすぎたり委縮し、新入選者は入落を意識せず、素直に伸び伸びした・・・と書いていますが、これも改革効果と言えるかもしれません。
日展が今後どうなるかは分かりませんが、僕は日展よりさらに歴史と伝統のある大相撲を思い浮かべます。
八百長問題で急落した大相撲人気が、今や見事に回復しました。連日のガチンコ勝負に多くの相撲ファンが戻り、女性ファンも増えて、先の初場所でも満員御礼の垂れ幕が毎日の風景になっていましたね。
もちろん、角界と芸術の世界を同じ土俵で論じるのは無理があるのは承知しています。でも、日本相撲協会が危機感を持って改革に取り組んだ結果であることは否定できないでしょう。
日展も相当な覚悟で組織や制度の改革に努めたと思いますが、さらに重要なのは意識改革でしょう。巷間に飛び交った日展不信の要因を思うと、それは日展組織の核である会員はもちろん、日展入選を目指す側にも求められます。
勝手ですが、日展の歴史や応募資格なども知らずに「こんな作品展になれば」と、いささか乱暴な感じもする考えをいくつか。
・日本画と洋画の一本化。それぞれが切磋琢磨して極めていくのが本来でしょう。しかし、各地の展覧会場で観客の「これ、どっち?」の声を耳にすると、ついそう思ってしまいます。
・展示作品に短いプロフィールや制作意図などのコメントを添付する。制作意図の添付は院展の同人で試みられていますが、作家や作品に対する親近感がわき、僕は楽しみにしています。絵に説明はいらない、との意見はあるでしょうが。
・観覧者へのアンケート。恣意的な声はあるでしょう。でも、改革へのヒントも掴めるはずです。
・外国人アーテイストへの門戸解放への努力。つまりオープン形式です。すごい彫刻や絵画、書が出てくるでしょう。
・審査会の公開。
・次世代のアーテイストの発掘・育成に一層力を入れる。