残暑お見舞い申し上げます。
ホッケやスイカの入った氷のプレゼント。ありがとうございました。
ことしの東海地方は、雨が多く記録的な日照不足だったとはいえ、私たち北極圏出身のホッキョクグマや、近くの園舎にいる南極圏がふるさとのペンギンにとっては、やはりヘナヘナ、グッタリの日々でした。やっと朝夕の気温が下がってきましたが日中の残暑は厳しく、この水彩画のようにプールサイドに寄りかかり、冬の訪れを夢見てしのいでいる状態です。
それはともかく、私たちホッキョクグマが最も心配しているのは、地球の「温暖化」と「環境汚染」です。
オスが600キロ、メスが300キロもある私たちは、地球上で最大の肉食獣です。生きるためには1週間に1頭のアザラシを食べなければなりません。
地球の温暖化で氷が溶けてアザラシが捕れなくなれば、現在22,000頭ほどと推定されるホッキョクグマは真っ先に絶滅する、と言われています。
漏れ聞くところによれば、北極圏の氷は年毎に減っていて現在のまま温暖化が進むと、2050年の北極の結氷面積は1900年代の80%に減少すると予想されています。
また、大気中に放出される二酸化炭素の量が現在の2倍にまで上昇すると、夏の間に氷が解ける量は大幅に増え、北極圏なのに約5ヶ月間も氷が解けたままになる、との試算もあるそうです。
また別の調査では近年、氷が減るにつれて比較的南に棲むホッキョクグマの生息数も減っていると聞いています。
さらに環境汚染も深刻です。世界のあちこちの農薬やダイオキシン類などの化学物質が気流に乗って、北極圏の環境を急速に悪化させています。
海水に混入した化学物質は動物・植物プランクトンを通して魚へ。その魚を食べるアザラシへ、そしてアザラシを食べるホッキョクグマへと繋がっていくのです。
こうした食物連鎖によって、すでにホッキョクグマの体内や血中からPCBなどの化学物質が検出されている、との報告が相次いでいます。
アメリカ、ロシア、ノルウエー、デンマークが、私たちホッキョクグマの保護に関する国際協定を結んで努力してくれている、と聞いています。
また、環境を悪化させないために残留性有機汚染物質の製造・使用・輸出入を禁止・制限するストックホルム条約に日本を含む179カ国とEUが締結していることにも期待しています。
地球の温暖化と環境汚染から守るために、みなさんの一層の努力をお願いいたします。