風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽描き水彩画「風の游子展出品作から(4)「東山動物園の仲間たち・ライオンとゴリラ」

2015-05-30 09:21:08 | アート・文化

    

          
                   

グループ展「第8回風の游子展」(6月2日~7日・名古屋市民ギャラリー)の開催が迫りました。ぜひ、お越しをお待ちしております。

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僕の出品作紹介の締めくくりは、ブログに連載している「東山動物園の仲間たち」の作品から選んだものです。

この動物シリーズは昨年7月1日から始め、月に1~2枚掲載してきました。
本来の生息地とは大違いの環境で過ごす動物たちの表情や仕草を描くことで、人間と地球のこれからに関心を深めたい、が動機です。

動物園は昼間だけの開園など、制約も多いので一端を垣間見るだけですが、園舎の前で彼らを見つめる自分の頬が緩んでいるのに気づきます。やはり人間も仲間なのだと改めて感じます。
一方で、人間の欲望によって彼らが殺されたり、生息地が開発などで狭められ、多くが「絶滅危惧種」にあるのを知らされます。
つい先日もアフリカで角目当ての密猟者からサイを守るために、サイの角を切り落としているニュースを見ました。サイの角はやがて再生しますが、密猟者に狙われる期間を少しでも減らそうというわけです。

ここに掲載した2枚のうち1枚は、シリーズのトップバッターを務めた「ライオン一家のお父さん」です。
彼はゆったりと園庭の散歩や寝そべっている毎日ですが、時おり辺りに響き渡る吼え声をあげると、周りの動物たちに緊張感が走るのを感じます。絵のタイトルも「東山の帝王」としました。

もう1枚は最近の作品で、タイトルは「ゴリラ、きゅうりを食らう」です。
僕はこれまで動物園のゴリラの食事は、バナナなど高価な果物中心なんだろうな、といった程度でした。
ところが、東山動物園ではバナナなどの果物が多かった食事を、数年前から試行錯誤を重ねて安価で手に入りやすい白菜やニンジン、キュウリなど野菜中心に切り替えたそうです。類人猿舎の中に入るとメニューの実物が展示してあります。
オランウータンやチンパンジーもほぼ似たようなメニューです。
こんなことを知っただけでも、動物シリーズを描くのが楽しくなりました。

              
      













 





 


楽描き水彩画「風の游子展出品作から(3)「表現の幅を広めて描いたドックと古窯の作品」

2015-05-28 10:37:28 | アート・文化

 
     
              造船所構内の衣紋掛けに並んだ作業服

      
             登り窯の焼成室出入り口

絵を描くことを学び始めて数年後には、僕も同じ題材を描く場合の表現幅が随分広がりました。
一本の木でも、離れて見た姿だけでなく、根っこや木の肌、盛りがった部分、苔むした様子だけを描いたり、枝の広がり方に絞って描くといった具合です。今回掲載したのはそんな2枚です。

衣紋掛けに作業服が並ぶ風景は、瀬戸内海のドックで取材したものです。
この日訪ねた中型のドックは、完成した船の引渡しを終え、次の建造にかかるまで「休憩状態」でした。
人影がありません。ドック特有の金属音も聞こえません。大型クレーンは止まり、機械や工具類も定位置に収まっています。
この方がスケッチするには安全だし、じっくり観察することができます。でも、動きや騒音がないのはやはり物足りません。

構内を歩いていて目に止まったのが、作業場の壁の衣紋掛けに並んだ作業服でした。休みのドックを表現するにはぴったりだと思いました。
作業服に付着した油や塗料が、作業の大変さを物語っています。襟にある黒い線などは、騒音の中でもひと目で分かる役職の印でしょうか。

もう1枚はブログにも掲載したことがある登り窯の一部、焼成室の出入り口です。いくつかの焼成室がイモムシ状に並ぶ姿は魅力的ですが、そのひとつだけを切り取って描きました。
どっしり組まれたレンガの色、分厚く凸凹の粘土の壁、隙間のあちこちにある吹き出した黒鉛や火焔の跡。何千もの焼き物を生み出した古窯の年輪を見るようです。






 


楽描き水彩画「定年後13回目を迎えた個展=佐藤英機さんの水彩画展を拝見」

2015-05-26 17:01:07 | アート・文化

              
     
           

毎年この時期に名古屋・栄の名古屋市民ギャラリー開かれるのを楽しみにしている佐藤英機さん(名古屋在住)の水彩画展が26日から始まり、早速拝見してきました。31日まで。

水彩画を定年後の趣味に選んだ佐藤さんは翌年から個展を企画。あちこち旅をしながら描いた作品を発表しており、ことし13回目になりました。

「早春から晩秋までの風景」と題した今回の出品作は、8号から10号サイズの約30点。京都・実相寺の床に、新緑のモミジと紅のモミジが映る風景や、長崎の軍艦島をペンでデッサンすることで鉛筆デッサンとは全く違う印象に仕上げた作品などが並んでいます。

 

   

        








楽描き水彩画「風の游子展出品作から(2)ルーブル美術館でのひとこま」

2015-05-23 06:54:13 | アート・文化

            

今回の絵のタイトルは「ルーブルで究める」です。2013年12月に訪れたパリのルーブル美術館で、展示作品を画家が模写している様子を描きました。
サイズは40号Fです。

ヨーロッパの美術館と日本の美術館を比べて決定的に違うのは、鑑賞者と美術館との距離感だという声をよく耳にします。
名だたる名画がいっぱいのルーブル美術館のフロアでは、作品を前にイーゼルを置いて絵筆を走らせる風景があちこちに。

スケッチブックを手に彫刻と向き合う数十人の子どもたち、デッサンに夢中の画学生らしい若者たちの姿もあります。
そんな様子を一般客が囲みます。絵筆の動きにうなづき、見られている側も嬉しそうです。モチベーションも高まるのでしょう。洋画会の巨匠・黒田清輝らにもこんな時代があったようです。

もちろん、模写には美術館の許可が必要です。
でも、人種や国籍、性別、年齢などの区別はありません。認められれば、入場料なしで一定期間を毎日のようにホンモノに向き合って描けるなんて素晴らしいですね。

       

 

 


楽描き水彩画「風の游子展出品作から(1)高知城公園の野外将棋の風景」

2015-05-20 16:30:59 | アート・文化

        
                     高知城の公園で毎日、将棋盤を囲む男たち

6月2日(火)から7日(日)まで、名古屋・栄の名古屋市民ギャラリー7階で開くグループ展「第8回風の游子展」に僕が出品する愚作の中から、何枚かを数回に分けて掲載させていただきます。


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第1回は野外将棋の風景です。

ここは高知城の公園の一角。天気予報が終日雨でない限り、毎日朝から男たちが集まってきます。
商店街のオヤジ、年金暮らしの高齢者、仕事が休みの青年・・・とさまざま。共通するのは「将棋が大好き」。10卓ほどで、いつもの自称「名人戦」「棋聖戦」「王将戦」が繰り広げられます。

蝉しぐれの中で聞こえてくる「パシッ」「ピシッ」の音
「王手」「もう一丁」。そんな声も飛んできます。

「絵のタイトルは「きょうも一局・名人戦」。サイズは50号Fです。

        




楽描き水彩画・東山動物園の仲間たち「東山の村長さん・アフリカゾウ」

2015-05-18 08:50:21 | アート・文化

        

体長6㍍から7・5㍍、体重は大きいのは10トンも。ライオンが数頭で挑んでも・・・。アフリカゾウはまさに陸上動物では最大の実力者です。

東山動物園のゾウは、このところ可愛い「サクラちゃん」のいるアジアゾウに人気を奪われた形ですが、アフリカゾウはそんなことはお構いなし。
アジアゾウよりひと回り大きな巨体と耳を揺らしながら、園舎の庭で砂遊びや散歩を楽しんでいます。
絵は砂浴びのあと、ゆったりと歩く様子です。

牙もアフリカゾウはオス・メスともありますが、アジアゾウのメスは無いかあっても小さいとか。背中や正面からの頭の形などにも相違があるようです。

描くために長い鼻をつぶさに観察していて、改めてシワの多さに驚きました。横ジワだけでなく、縦ジマが無数にあるのです。
アコーデオンのような伸び縮みだけでなく、器用に物を掴んだり、持ち上げたり、左右に揺さぶったりできることがよく分かりました。

アフリカゾウ、アジアゾウとも急速に生息数が減っています。干ばつや森林草原の開発などで生息圏が狭められ、象牙目当ての密猟もいまだ絶えないからです。
最近も東南アジアの港で大量の象牙の密輸が摘発された、と報じられていました。何度も耳にし、目にする同様のニュース。悲しいことです。

 

 

 

 


楽書き雑記「ヒナゲシを訪ねて愛知牧場へ」

2015-05-16 17:00:39 | 日記・エッセイ・コラム

    

「愛知牧場(愛知県日進市)で、ヒナゲシが満開」と聞いて、ひと走り出かけてきました。この牧場には時おり訪れ馬や乳牛、羊などをスケッチするなどしています。

シャーレイポピーとか虞美人草(ぐびじんそう)などの別名もあるというヒナゲシは、薄い花弁が風に揺れる姿がいいですね。牧場の一角、3000平方メートルの畑に咲く赤、白、ピンク、それにオレンジなど、その数約3万株とか
迷路になっていてちょっぴり童心に戻って歩いてみましたが、カメラに収めているうちに出口に来ていました。

ここに来たもうひとつのお目当ては、起伏のある畑地で行われる農作業の風景でした。あいにく農作業は休みの日とあってかないませんでしたが、いずれ大型農業機械が動き回る姿を絵にしてみたいと思っています。

      

    

                    








楽描き水彩画「自然石そのままの石積み=国宝・犬山城の石垣」

2015-05-13 19:56:52 | 催し

        
         さまざまな大きさ、形、色。自然石のままの石積み

現存する日本最古の天守で知られる国宝・犬山城(愛知県犬山市)の石垣です。
近くの名古屋城や大阪城と違って、集めてきた自然石を加工せずに積んだ石組み。さまざまな大きさや形、色の石が見事に組み合わされた姿にしばし見とれました。

築城は室町時代。豊臣秀吉が生まれたとされている1537年(天文6年)、織田信長の叔父にあたる織田信康が築き、戦国の世を生き抜いてきました。

木曽川のほとりの高さ100メートル足らずのところにある平山城ですが、石垣は峻険な山中にある強固な山城を思わせます。
 
自然石をそのまま積み上げることから始まった石垣造りは、石工たちによる石組みの方式が権力争いの歴史とともに発達してきました。
石の角や表面を叩き落としたり、削ることによって隙間を少なくし、反りを入れるなど、より高く敵が登りにくい強固な構造に。さらに巨岩の使用や、形や石の種類をできるだけ揃えるなど、戦いの防御だけでなく、見た目にも優美で、権力の偉容を誇る城の礎になってきた石垣。
そんな歴史を思いつつ描きました。




楽描き水彩画・東山動物園の仲間たち「脱走なんかじゃないよ。遊びたかっただけさ、とマレーグマ君」

2015-05-10 07:35:37 | 日記・エッセイ・コラム

                        
        「下りてみたいなあ」。身を乗り出すマレーグマ君
        
      
  「何か楽しいことはないかなあ」。 園庭のあちらこちらを動き回っています

ニュースでご存じの方も多いと思いますが、先の子どもの日の5日、名古屋の東山動物園であった「マレーグマ脱走未遂事件」。騒ぎを起こした主役かどうかははっきりしませんが、マレーグマ3頭のうちの1頭を描いてみました。

マレーグマはマレー半島など東南アジアに生息。マレーではマレー語で「高いところに座るのが大好きな者」という意味の名前で呼ばれているとか。

おとなでも体長が100~150センチほどでクマ科の中では一番小さなクマですが、手の爪が鎌のように曲がっているのが特徴。この手と足を使った得意の木登りなど、動き回るのが好きなようです。

僕が東山動物園を訪れた時も、夜行性とは思えぬほど園庭をあちこち動き回っていました。
時には深い堀の底を淵の上から身を乗り出して「下りてみたいな。どう下りればいいのかなあ」と覗き込む様子も。
絵はその場面を描いたものです。大きな手で堀の縁を掴み、一見不自然に見える足の位置や向きでバランスをとっているようですが、見ていてハラハラしたほどです。

今回の脱走騒ぎは3歳のオスの「マーチン」君(体長約80センチ)が、高さ5メートルほどの飼育施設の壁をよじ登ったことから起きたようですが、壁には出っ張りがあちこちに。遊園地などで子どもたちの人気が高いクライミングウオールみたいです。

子どもの日で来訪者の大半が子どもたちとあって、マーチン君も格好のいいところを見せたかったのかもしれません。

動物園では壁面の出っ張りをなくすそうですが、マーチン君は「せっかく面白い遊びを見つけたのに」とがっかりするでしょうね。




楽描き水彩画「ご来場・ご来観をお待ちします。6月2日から風景水彩画『第8回風の游子展』を開催」

2015-05-08 09:01:40 | アート・文化

        

                
    
      
風景水彩画仲間でのグループ展「風の游子展」を、ことしも6月2日(火)から7日(日)まで、名古屋・栄の名古屋市民ギャラリー7階で開きます。

ご覧のような案内はがきも出来上がり、メンバーそれぞれが「どれを見ていただこうか」と作品選びを進めているところです。

名古屋のカルチャーセンターにある風景水彩画講座で学ぶうち、「教室展の他にも成果を見ていただく機会を設けよう」と教室の有志6人で企画。ことし8回目です。
「定年後に初めて絵筆をとった」メンバーばかりですが「継続は力」の証明でしょうか。自己満足の段階から、少しずつ「うまくなったね」のお言葉をいただけるようになりました。

出展するのは、各自8枚プラスマイナス2枚。教室のスケッチ会やそれぞれが日ごろ描いた作品の中から「自信作」を発表させていただきます。


楽書き雑記「夢の清流への一里塚=8日から名古屋・堀川のフラワーフェスティバル」

2015-05-05 19:12:06 | 催し

     

    
     納屋橋の上下流の両岸を飾るフラワーバスケット
  
名古屋の都心を貫く運河・堀川の納屋橋を挟んだ両岸を舞台に「堀川フラワーフェスティバル2015」が、8日から5月23日(土)までの日程で催されます。
長年の夢である「清流の堀川」にはほど遠いのが現状ですが、こうした催しを繰り返すことで、堀川浄化の足取りが少しでも早まればいいですね。

堀川は徳川家康の命を受けた福島正則によって1611年、資材運搬用の水路として伊勢湾―名古屋城間に開通させたのが始まりと言われています。
以後、上流の庄内川方向へと掘削が進み、ほぼ現在のルートになったようです。

しかし、庄内川の水が一部流れ込んではいるものの、源流が無いので運河の水質は悪化の一途。工場廃水や生活排水が流れ込んで川底には大量のヘドロが溜まり、1960年代の堀川は「悪臭川」「死の川」などと揶揄されるほどでした。

近年は浚渫や川を汚さない啓蒙活動など、名古屋市や市民団体などの取り組みによって少しずつ浄化。
数年前からは上流でも遡上したボラの群れや、それを狙う水鳥たちの姿を見かけるまでになりました。僕も6年前に水彩画教室のスケッチ会に出かけた堀川上流で、そんな光景をカメラに収めています。
しかし今回、冒頭に掲載した納屋橋の装飾花の写真を撮る際も、川面からの臭いを感じました。

木曽川からの導水の社会実験も行われてきました。導水によって伊勢湾に流れ込む大量のヘドロが漁場を汚染してしまうのを防ぐにどうすればいいかなど、課題は大きいでしょうが英知を絞って欲しいものです。
大動脈の血液が流れず汚れたままでは、健康な都市とは言えませんから。

フラワーフェスティバルでは、日本ハンギングバスケット協会愛知県支部と市民らの協力で花々が飾られた納屋橋周辺で、週末を中心にゴンドラ船やクルーズ船の運航、デジタルフォトコンテスト、コンサートなどなどが企画されています。

        

           
         ㊤遡上してきたボラと思われる魚の群れで水面が盛り上がるほど
         ㊦そんな魚を狙う水鳥
                 (いずれも、2009年に堀川上流で撮影したものです)





       























 




楽書き雑記「名古屋市農業センターでゴールデンウィークフェア」

2015-05-02 12:39:36 | 催し

        
             親子連れでいっぱい。木陰でお弁当を広げて

大型連休も後半へ。行楽地はどこも大賑わいですが、時おり訪れる名古屋・天白区の市農業センターでも、2日から「ゴールデンウィークフェア」が始まりました。
入園無料、駐車場も無料。親子連れに楽しいプログラムが用意されています。6日まで。

同センターはことし開設50周年。公募していた愛称は「dela(でら)ふぁーむ」と決まりました。delicious(おいしい)、enjoy(楽しい)、learn(学ぶ)、agriculture(農業)の頭文字を組み合わせたようです。
なるほど。僕も公募を知っていろいろ考えてみましたが、これは思いつきませんでした。
そういえば、名古屋弁には「すごく」とか「とても」を意味する「でら」という言葉があって「でらうまい」なんて言いますものね。

ゴールデンウィークフェアも、愛称にちなんでヒツジの毛刈りや野菜の収穫体験、スタンプラリー、遊具などが親子で楽しむ企画が並び、家畜舎では今年生まれたヒツジや乳牛、ブタの赤ちゃんたちも迎えてくれます。

この農業センターは700本もが咲き誇る枝垂れ梅が有名ですが、今の時期は通る人もほとんどない梅園の奥の方を歩いていて、何本かに梅の実がたわわにぶら下がっているのに気づきました。花の後は実がなるのは当たり前なのに、ちょっと驚くほどの光景です。
「枝垂れ梅の実は食べられますか」「梅干にでもされるのですか」
こんな質問にセンターの職員が笑いながら答えてくれました。

「花を鑑賞する梅の実は種が大きく、果肉の部分は薄いのです。梅干にはちょっと・・・。実は自然に落ちるのにまかせています」
残念。「しだれ梅ぼし」ができれば、名古屋コーチンや乳製品と並ぶ売店のヒット商品になるのに・・・。

     
       8匹の子ぶたたち。生後40日余です

       
               生後約3ヶ月の2頭の乳牛


        
       農業センターでは12年ぶりに誕生したという
       生後40日ほどのひつじ                             
  

           
                    枝垂れ梅にたわわになる梅の実