風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽描き風景水彩画「枝垂れ梅を描く」

2014-02-27 17:49:26 | アート・文化


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名古屋市農業センターの「しだれ梅まつり」初日(25日)に出かけて、花を咲かせていた数少ない1本を描いてみました。まだ2、3分咲きといったところですが満開にはない面白さがあると思ったからです。

これまで梅を描いた経験はあまりありません。今回は近くから描くことにしましたが、花は判を押すように5片の花びらを描いていけばいいや、なんて考えていたら、この梅は八重咲き。結構時間がかかりました。

小さな花ひとつでも、花弁の色は部位によって随分違いますね。それも光の当たり方で全く違って見えます。細密画を描くわけではないにしても、ボリュウム感や遠近感も出るようにと取り組んでみました。幹や枝も古木のような面白さはありませんが、あちこちから伸びる枝をできるだけ多く入れました。

開花がやや遅いようですが、テレビの天気予報でも言っていたとおり、27日朝からの「催花雨(さいかう=さまざまな花の開花を促す雨という意味の気象用語」もあって、枝垂れ梅の蕾も開くことでしょう。


「見ごろはしばらく先に=「しだれ梅まつり」開幕」

2014-02-25 23:26:16 | 日記・エッセイ・コラム

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(蕾のままの木がほとんどの中で、こんなに開いたのも)

700本の枝垂れ梅がそろう名古屋市農業センターの「しだれ梅まつり」(3月23日まで)が開幕、初日の2月25日午後に出かけてきました。予想通りほとんどの木は蕾のままでしたが、写真のような早咲き種が数本、迎えてくれました。

「先週末の天候が良かったのでもう少し期待したのですが・・・。でも、遅かった昨年よりは早いようですよ」とセンターの職員。見ごろになるのは? 今週末は無理でも、その次の週末なら期待できそうですね。

その代わり、というわけではありませんが、50本のロウバイがまだ芳香を漂わせています。枝垂れ梅の根元ではスイセンもご覧の通りです。

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楽書き雑記「陶芸で世界への夢 名古屋造形大卒業展から」

2014-02-22 16:21:44 | アート・文化

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美術館のギャラリーでは、芸術系の学部・学科のある大学や高校の「卒業記念展」が真っ盛りです。若さと持てる力をぶっつけ、今後の可能性を秘めた学びの成果。こちらが年をとったせいもあるでしょうが、彼らのこれからに素直に声援を送りたくなります。

鑑賞に出かけた名古屋の愛知県美術館での「第21回名古屋造形大学卒展」(2月18日~23日)で、そんな思いをした作品のひとつを紹介します。

「ぜひ、こちらも見てください」。展示コーナーを渡り歩く途中で、ひとりの男子学生、鈴木優作さん(22)から声が掛かりました。

展示コーナーとは少し離れてある大きな窓ガラスに仕切られたスペースを見ると、瓶(かめ)というべきか壺というべきか、大小24個の作品が並んでいました。作品は色付けされ、絵や模様が描かれています。

――何でできているのですか?

「触ってみてください」の言葉に、触ると同時に指で弾いてみました。高い音が響きます。

――金属製ですか?

「いえ、陶製です。土器を素焼きした後、銅とマンガンの釉薬をかけて、陶器用の絵の具で色を付け、絵や模様を描いて焼きました」
――たくさんありますね。時間がかかったでしょう。

「4ヶ月ぐらいです。作品はもっとありますが、このスペースを何度も見に来て、ガラスの向こうから見てもらうには、このくらいの数と並べ方がいいだろうと」

――作品に味のある絵を描いていますね

「あの人間の絵は、電車の中などでいろんな人を見ていたら、あのようになってしまいました。絵も描きまくっています」

――他の作品を見ることもしますか?

「いえ、他の人の作品は見ません。僕は自分の作品をつくりたいから」

――なるほど。でも僕が以前、超売れっ子になっていた作家に同じ質問をしたら、彼は『見ています。何故なら世の中にはすごい能力のある人がいっぱいる。その人が僕と同じようなことを考えていたら、自分は時代遅れになってしまうから』と答えましたよ。

僕は絵もそうですが、陶芸となると「ど」のつく素人。そんな僕が、このようなやりとりを続けていて驚いたのは、次の質問をした時でした。

――これからは「あいちトリエンナーレ」のような高いレベルの作品展も目指されるわけですか?

「いや、僕が目指しているのは世界です。世界で認めてもらえなければ、陶芸を手がけた意味がないと思っています」

「もちろん、死にものぐるいでやります。これまでも創作がしんどい、なんて思ったことはありません。夢中で楽しいです」

「卒業後は、多治見の陶芸工房でアシスタントとして仕事ができるようになりました。時給制です。一生懸命働いて、勉強します」

「海外? いずれ勉強に出てみたいですね。世界が目標ですから」

目を輝かせ、学校に泊まり込みで創作に打ち込んだ日々を振り返るとともに、これからの大きな夢を語りながら、名刺大の用紙に自分の名前と顔を描いてくれた鈴木さん。頑張ってください。こちらも楽しくなりました。


楽描き風景水彩画「稲沢操車場スケッチ会作品から=貨物機関車とコンテナ積載車」

2014-02-20 12:18:31 | アート・文化


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先日、水彩画教室のスケッチ会で出掛けた愛知県稲沢市の旧国鉄稲沢操車場の作品から、2点を掲載しました。この日は朝から雨。我が国三大操車場の一つで全長6キロ近くもあったという広大な操車場は霞んでしまっていましたが、何本も伸びる線路のあちこちには出番を待つ貨物列車の気動車や貨車が並び、往時を偲ぶことができました。

今回掲載したのは、貨物列車の機関車と、コンテナなどを載せて走る無蓋貨物車です。
赤と青の2両の機関車がにらめっこでもするように並ぶユーモラスな風景。ぽつんと一両だけ雨の中にたたずむ無蓋貨物車は、主役をトラックに譲るまでの華やかな時代に思いを馳せているようでした。
車体にあるプレートには「日本国有鉄道」といった今や懐かしくなった文字がありました。

どちらも使った経験が少ない画用紙に描きました。薄くて黄土色がかった紙ですが、まだ自分のモノに出来ていないせいか、水を少なくして相当濃い色を塗っても乾くと思い通りの色に定着しません。でも、よく使う厚い画用紙(マーメード)とは違った独特の色合いが出た絵になったようです。使い慣れれば面白い作品ができそうです。


楽描き風景水彩画「写真に収めた雪景色を描く」

2014-02-17 10:05:47 | アート・文化

名古屋で雪が降った今月8日と14日、カメラに収めた景色の中から絵にしてみました。僕も暮らしたことのある東北などの雪国からすれば、この程度の雪は雪とは言えないと思われそうですが、名古屋では6、7センチも積もれば交通機能もかなり混乱するのです。

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          ( 松坂屋名古屋店南館前の久屋広場から)

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     (名古屋農業センターの枝垂れ梅)

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          (荒池緑地の溜池に古桜を入れて)


「カメラ手に積雪7センチの名古屋市郊外へ」

2014-02-14 22:25:18 | 日記・エッセイ・コラム

まさに大雪列島ですね。名古屋も14日の積雪は正午ごろ7センチになり鉄道、道路とも混乱。予定していた集いも延期されたので、小降りになるのを待って足元に注意しつつ、雪の風景をカメラに収めてきました。

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これまでは都心や港方面に出かけましたが、今回は郊外にある名古屋市農業センターとその周辺。同センターで2月25日に開幕する「枝垂れ梅まつり」を10日後に控えた梅林に行くと、紅梅・白梅とも雪の中から3~5ミリのつぼみが迎えてくれました。寒波が遠のけばどんどん膨らんでくれるでしょう。

園内には傘をさしたご婦人たちの姿。近くの神社の参道にも足跡がありました。こんな日に訪れる物好きは自分ぐらいだろう、と思っていたのですが・・・。
竹林の通りでは、雪の重みにたわんだ竹のトンネルができたところも。溜池では水面を水鳥が忙しげに飛び交っていました。
週末はこれらの中から1、2枚を絵にできればと思ってます。


楽書き雑記「古希を記念してドイツの小説の翻訳本を出版」

2014-02-11 23:15:24 | 日記・エッセイ・コラム


「私の古希記念として自費出版しました」。高知学芸高校同窓会中部支部の仲間で、このブログの「土佐の生んだ詩人をテーマに講演会」(1月29日更新)でも紹介した森田明さん(名古屋市在住が)が、ドイツ語で書かれた小説の翻訳本を贈ってくれました。東大大学院を出てボン大学へ。ドイツ文化やドイツ文学の研究に打ち込み、名古屋市立大学国際文化学科教授を務めるなど、日独の文化交流に尽力してきた森田さんらしい古希記念ですね。


小説は「ナチと理髪師」。日本語訳の出版は初めてです。

約560ページの末尾にある訳者・蛇足(森田さんのあとがき)によれば、著者エドガー・ヒルゼンラートは、1926年ドイツで東欧出身のユダヤ人の両親のもとで誕生。ヒトラー政権のユダヤ人迫害から逃れてルーマニアへ亡命したものの逮捕されゲットーに。ユダヤ人同士の陰惨な生存闘争を生き抜き、44年にソ連軍に解放されると単身パレスチナへ渡りますが、イスラエル国家の建設を目指すシオニズムに違和感をつのらせてアメリカへ。
ニューヨークでウエイターなどをしながら小説を執筆。75年にドイツへ帰国、ベルリンで創作活動をして、アルフレート・デーブリーン賞など多数受賞しています。

「ナチと理髪師」は、そうした著者の数奇な運命や体験から生まれたといえるでしょう。

主人公はドイツの娼婦の母から生まれた私生児。ナチズムが台頭する中でユダヤ人だと見間違えられるという屈辱から逃れるため、容貌の違うユダヤ人の親友と入れ替わり、理髪師をしながらナチの親衛隊になってユダヤ人大量虐殺にかかわったり、大戦後はパレスチナでイスラエル建国闘争に加わります。
主人公の人生は変節と残虐な行為の繰り返しですが、森田さんは「訳者・蛇足」の中で書いています。
「逆境の中を如才なく生き抜く。これは特殊なケースではなく、極めて人間的な現象ではないか、と暗示しているかのようだ。ヒトラー政権の背後に圧倒的なドイツ国民の憑かれたような支持があったことは、否定しようのない事実。誰が主人公を他人事として済ますことができるでしょう」

「ナチと理髪師」が初めて出版されたのは1971年、ニューヨークの出版社による英語訳でした。以後、イタリア語、フランス語、スウェーデン語などに訳されましたが、本国ドイツで出版されたのは6年後の1977年でした。

「この小説は、付和雷同して大量虐殺を実行したナチ党員を主人公にして、加害者と被害者が入れ替わるという『なりすまし』の可能性を誇張している。ナチ犯罪を一般化し、陳腐化する危険をはらんでいるのではないか」
「ナチの犯罪を倫理や道徳の問題を回避したまま諧謔(かいぎゃく)を弄した手法で扱かっている。ホロコーストという深刻な出来事を茶化し、犠牲者たちを冒涜するものだ」
このような見方や考えから出版社が出すのをためらったのだろう、と森田さんは分析しています。

森田さんはこれまでに「東洋紀行」「第三帝国のユダヤ人迫害」など10冊ほどの翻訳本を出しています。いずれも出版社からの依頼でした。

しかし、今回は様子が違いました。
森田さんは話します。
「初めて出版社に売り込みをしたのですが、断られるやら無視されるやら・・・、自分の無力と出版界の厳しさを知りました。そこで、70歳になったのだから古希の記念に、と自費出版を思い立ちました」
出版後、ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんが、サンデー毎日のコラムで取り上げてくれました。
「池内さんは、僕と同じコースである東京外語大、東京大で学んだ2年先輩。うれしいですね」と森田さん。
出版は文芸社。定価1600円+税です。


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「星星会展 田渕俊夫さんら団体・会派の垣根を越え日本画の未来を追求」

2014-02-08 19:41:13 | アート・文化

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日本画家の下田義寛、竹内浩一、田渕俊夫、牧進の4人の皆さんによる所属会派を乗り越えたグループ展「星星会展」が8日、名古屋の松坂屋美術館で開幕しました。これまで5回全ての作品を一同に並べた展覧会。早速初日に出かけ、作品鑑賞と作家のギャラリートークに目と耳を傾けてきました。
名古屋で3月2日まで開かれたあと京都、広島を巡回する予定です。

4人は70歳を超えた同世代。それぞれの立場や団体・会派で日本画の制作に励んでいますが、日本だけでなく世界の文化意識や絵画環境が大きく変化するいま、垣根を取り払って日本画の伝統に改めて向き合い、新たな未来を追求していこうとグループ展を企画。2005年から隔年で開き5回展で完了させる形で進めてきました。
星星会の名称は故高山辰雄画伯が「小さな星でも切磋琢磨によって大きな星として輝くように」と命名してくれたそうです。

会場には約80点を展示。お互いに毎回、新作を出品し合ってきただけあって、どの作品にも違ったモチーフや彩色・デッサンなどに対する実験的取り組みがうかがわれます。
ギャラリートークをしたのは、無所属の竹内浩一さんと日本美術院代表理事の田渕俊夫さん。作品を前にして、創作に至った動機、書くための技術的考察などを、エピソードを混じえつつ話してくれましした。

竹内さんは、雨が降りしきる池の中を泳ぎ回る20匹近いナマズを描いた「夜さめ(よさめ)」と題する180cm×360cm、4曲1隻の絵を解説。「アトリエの水槽で飼っていた2匹のナマズの動きを毎日見ていて、哀感・ペーソスのある作品に仕上げてみましました」と絵づくりを話しました。
同じ大きさと形状で、京都の池で釣り人と、釣り上げる魚をもらえないかと見つめる1羽のサギを見ていて思いついたという「戯画 釣り名人」と題する作品でも「オヤジはサルに、1羽のサギは4羽にし、私の好きな柳を加えてみました」。

愛知県立芸術大学で教鞭をとっていた田渕さんは「20年間暮らした愛知県は第2の故郷」と自己紹介。「日本画は世界で唯一、全て天然の絵の具を使って描く。色を出す技法はまだまだ開発される。いわば未完の絵の具で、海外から学びに来る人も多い。芸大入学試験の競争倍率でも日本画が高くなっている」と話し、作品解説に。

林立する高層ビルの空に満月が浮かぶ「刻」(116.7cm×90.9cm)について「銀座で会食していてレストランの窓から見た満月に感動して描きました。ビルは定規を使用。細かくて無数の窓の灯りは、最初に全ての窓にマスキングをして、少しずつ剥がして塗り、剥がして塗る作業を繰り返しました」と見事なビル群と灯りの描き方を披露してくれました。
「すべての絵の創作の動機は感動です。あとはどのようにそれを表現するかの工夫と技術。木を書くにも枝を切ったり、同じ枝を伸ばしたり。楽しいですよ。楽しくないと細かな作業なんてできない。感動がなければ絵は描けません」と結びました。

グループ4人のうち残る下田さんと牧さんの作品については、広島県立美術館主任学芸員の永井明生さんが2人から聞いた創作技術などを解説。
水底に大小の石がびっしりと敷き詰められた池に、真鯉が泳ぐ牧さんの作品について「石は1個描いたら乾くまで待って次の石を描いていったそうです」。また、同じく牧さんが描いた桜吹雪に包まれて鶴が愛の交歓する絵は「まず画面いっぱいの桜の花びらを先に描かれたそうです」と話すなど、僕のような素人鑑賞者にとっても興味深い話を聞くことができました。


楽描き風景水彩画「教室展が開幕」

2014-02-04 20:02:06 | アート・文化

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僕が学ぶ朝日カルチャーチャーセンター(名古屋)の水彩画講座・山田彊一教室の教室展「KAZEの会作品展」が、名古屋・栄の名古屋市民ギャラリー7階の第2展示室で4日開幕しました。会期は9日(日)まで。

教室は毎週第2水曜日。年5回ほど東海地方を中心に出かけてスケッチ。作品展を年に一度開催しており、ことしで15回目です。

現在の生徒数は20余人。6、70代が中心ですが、多くの教室では女性が多数派といわれる中で、なぜか男性が7割を占めています。

今回の作品展へは、ひとり合わせて30号以内を原則として各自2、3枚出品。初日も、ご覧くださった方々から「よく描けているよ」の言葉を頂きましたが、さらなる上達のために辛口のご講評もお願いします。
フロアでは、NHK名古屋文化センター「はじめての水彩画教室」の作品展も。期間中は「立春寒波」で気温は低めとの予報ですが、やや厚着でお出かけになりご高覧ください。お待ちしています。


今の主役はロウバイ、次は枝垂れ梅=名古屋農業センター

2014-02-02 17:56:53 | 日記・エッセイ・コラム

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              (
香りが誘うロウバイ)

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                 (次の主役・枝垂れ梅もつぼみがびっしり)                   

2月。早いものですね。最初の日曜日の2日、3月中旬並みの暖かさに誘われて、枝垂れ梅で有名な名古屋市農業センターへ行ってきました。もちろん、枝垂れ梅にはまだ早く、宿根草園の花々もこれからのようでしたが、花木園では40本余のロウバイが黄色い花と香りで迎えてくれました。

蝋梅、臘梅などと書く文字からバラ科の梅と同属に思いがちですが、ロウバイ科ロウバイ属。花弁が蜜蝋のような色であることや、旧暦の12月を意味する臘月に咲くことからこの名前がついたそうですね。強い芳香を放つのも特徴で、僕も他の入園者も例外なく花に鼻を近づけていました。

次の主役である700本もの枝垂れ梅の枝には、白やピンクの蕾がびっしり。「しだれ梅まつり」は2月25日(火)から3月23日(日)までの予定だそうです。