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僕の卒業した高知学芸高校の中部支部同窓会では、名古屋で毎年開く総会後の懇親会で、会員の1人が40分前後の「特別講義」をすることになっています。
テーマは自由。仕事や趣味、習いごと、子育て、ボランティア活動、夢や希望、悩んでいること・・・。何だっていいのです。
世代は違ってもそれぞれの日常や思いを知り合うことで一体感も深まる、との考えからです。
17日午後開かれた総会での講師は、高知学芸高校から岐阜大学医学部へ進み、岐阜市民病院、岐阜赤十字病院などを経て、現在は岐阜県郡上市の県西部地域医療センター国保白鳥病院で外科医を努める味元宏道さん(63)。
「地域医療の現場から」と題して、郡上市が他の地方自治体と共通する人口減少と少子化、そして高齢化の現状や自分の役割や思いなどを話してくれました。
それによると、郡上市の人口は2000年当初に比べて7000人減って約42000人に、出生数は410人から280人に。
高齢化率は27%だったのが34%にアップ。つまり3人に1人が高齢者なのです。全世帯のうち高齢者夫婦だけの世帯は14%、高齢者だけの1人暮らしは11%にもなっています。
このような地域の現状に対して国や県は、医療だけでなく疾病予防のための健康づくりや在宅ケア、リハビリテーション、福祉介護サービスの全てを抱合抱合する包括的地域医療をかかげています。
この結果、白鳥病院では婦人科の分娩の取り扱いを郡上市民病院に集約。病床数も減らしました。
その一方で、高齢者らの寝たきりを防ぐための高齢者筋力増強システムやリハビリテーション用プールなどを整備しており、この取り組みは全国から視察に訪れる医療関係者が多いそうです。
今後も、国民医療費や社会保障給付費は増大。一方で病床の削減や病院同士の合併、病院機能の分化が進み、病院から診療所や介護保険施設への移行が増えるでしょう。
介護支援専門員でもある味元さんは、「こうした循環的な包括医療は当然のことだろう。私自身も、予防対策や健康寿命を延ばす取り組みをさらに勉強したい」などと話し、これまで医師人生の心構えとしてきた座右の銘を2つ挙げて締めくくりました。
1つは、学芸時代に過ごした学校寮の舎監から教えられた①利他②報恩③感謝。
もう1つは「医は仁術なり」という格言。
「学生時代はあまり考えもしなかったが、医師を続ける中でこの言葉の大切さを知りました」と付け加えました。