卒業した高校同窓会での第1回ミニ文化講演会、絵仲間の作品が並んだ展覧会、友人がメンバーの男声合唱団コンサート・・・。先週末は僕も「文化の秋」を楽しんできました。
【ハイブリッドを学ぶ】
高知学芸高校中部支部同窓会は、進学や就職、結婚、転勤などによって中部地方に暮らすメンバーで今年5月に結成。具体的な活動として企画したのが同窓会員が講師になり、聴講も同窓会員だけというミニ文化講演会です。
テーマは何でも結構。仕事、趣味、日々の暮らし、夢・・・。
同窓会の懇親会などで「おんしゃあ、なにしゆうが(土佐弁=君は何をしているの?)」と近況や職業などを問われたのに対して、少し詳しく長めに答える気分で話してもらったらどうか。聞く方も世界が広がったり、思いを共有したり、私も少し頑張ろうとなれば・・・。飲んで歌ってよりも、同窓会活動らしく知的だし・・・。
もちろん、勤務する会社の仕事をテーマにした場合も、勤務先の不利益になることは話さないのが前提です。
名古屋市内で28日夜催した第1回講演会の講師は、トヨタ自動車のエンジニア、西森久雄さん。高知学芸高卒業後は早大理工学部・大学院へと進んだいわば理系の優等生。僕より30年後の卒業生ですから、いまや最も脂がのったところです。
演題は「トヨタ・ハイブリッドのなかみ~パワーエレクトロニクスの開発」。
すごいでしょ。業界関係者やマスコミ記者も飛びつきたくなる演題に、僕も「いいのかな、こんなテーマで話しても」と心配したほどです。
西森さんは、1997年の誕生から昨年までに累計400万台を生産したプリウスの歴史をたどりながら、HV(ハイブリッド)車の心臓部であるエンジン・動力・制御装置などの進化をプロジェクターを使って説明。「パワーと低燃費、排出ガスの削減、軽量化などを追求してきた。同時に乗る楽しさもです。それはこれからも続くと思います」
「トヨタには大勢の技術者がいて、さまざまな研究開発に取り組んでおり、その力をきちんとまとめていくことを大切にしています}
「私たち技術者もお客さんの声を意識しています」
約1時間。パワー半導体、パワーモジュール、放熱構造、シナジー効果、リチウムイオン、ニッケル水素などといった、僕のような文系には難解な用語が次々飛び出します。でも、西森さんはそうした会員がいるのを察して、できるだけ解りやすく説明。「エンジンをかければ動くもの」といった程度だった愛車への認識も高めてくれました。
「ホンダが、プリウスなどトヨタのHV車を上回る燃費のいい車を出したが・・・」という会場からの質問には「次の4代目プリウスを出す時には抜き返しているでしょう。そうでなければ売れませんから。私も頑張ります」。また「電気自動車の時代になったらHVは・・・」の質問には「電気はもちろんトヨタもやっているが、HVはまだまだ進化すると思います」。
講演会のあと西森さんを囲んで喉を潤す会を近くの店で開きましたが、こうした質問とのやりとりに、西森さんのトヨタの技術者としての自信とやりがいが伝わってきて、楽しくなりました。
ミニ文化講演会は数か月おきに開く計画ですが、この日も講師にエントリーする会員が現れ、期待がふくらみました。
【絵仲間の展覧会】
名古屋・緑区役所で開かれた緑区民美術展へ出かけ、僕の通う水彩画教室の富岡僉治さんの傑作を拝見してきました。
富岡さんは教室でも個性派の代表格。僕を含めてほとんどが透明水彩絵具を使い、デッサンも普通の鉛筆です。でも、富岡さんだけは木炭でデッサンし、アクリルで描きます。僕だと見過ごしてしまうモチーフを、思いきった色調と筆さばきで描く画風には敬服します。
今回の出展作は、メキシコ旅行で目にしたというマヤ人の家屋を描いたもの。富岡さんは「もう少し、大胆さや勢いが出せれば良かったようです」話していましたが、僕は色合い、描き方にも、富岡さんの個性が十分発揮されている、と思いました。
名古屋市博物館では、このブログ(4月10日更新)でも紹介した佐藤英機さんが所属する水彩画「植彩の会」展が開かれていました。
佐藤さんは、定年後間もなくから毎年開く個展が11回にもなり、全国各地を飛び回って描いた作品からは、旅すること、描くことの楽しさが伝わってきます。緑区美展でもこれまでに市長賞を獲得、今回は土偶を描いた絵が賛助作品として出されていました。
植彩の会の展覧会には、豊かな緑で彩色された「緑陰」と、まきわら船の提灯と川面に映える揺らめきが描かれた津島市の「天王祭」の2点。訪れた人たちの足と目を止めていました。
(富岡さん、佐藤さんの作品の写真に、撮影した際の会場の光が入ったりしました。
実際の絵はもっときちんと描かれています)
【男声合唱を楽しむ会】
僕が学ぶカルチャーセンターの絵画教室の仲間には絵だけでなく「マルチアングルな趣味」の持ち主がいっぱいいます。写真、書、音楽、ゴルフ・・・。そのひとり、塚原徹也さんが所属する合唱団「男声合唱を楽しむ会」の第8回サロンコンサートが29日午後、名古屋市の熱田文化小劇場であり、絵仲間と鑑賞してきました。
この合唱団は塚原さんら三菱重工OBたちが、職場の仲間と味わった合唱の楽しさをもう一度と、2003年に創立。2005年の愛知万博・おまつり広場でも成果を披露しました。
三菱重工OB以外の合唱好きも加わり、現在の団員は約50人。月2回の練習、年1回以上の公演活動をしているそうです。
まず、男声合唱組曲の「雨」と「犀川」を披露。年配者中心の合唱団らしく豊かな歌声を会場いっぱいに響かせました。
賛助出演の混声合唱団レ・マーニと愛知万博・ファミリー合同練習会の混声合唱もあり、心地よいハーモニーを聞かせてくれました。
今回のプログラムのメーンである創立10周年記念特別企画は、楽しむ会自ら企画・構成した「男声合唱による歌ものがたり~歌と共に生きる」。
太平洋戦争真っただ中に生まれ、70年を生きてきた男の人生を弦楽5重奏・シェリエ・アンサンブルの演奏とともに歌い上げ、歌うことの楽しさを誇らしげに表現してくれました。
最後は会場のみんなで「もみじ」を合唱。
歌は聞くだけでなく歌うものだな、と思いながら家路につきました。
(合唱団「男声合唱を楽しむ会」のみなさん)
(賛助出演のみなさんも加わって)