風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

落書き雑記「垂れ梅は蕾でも、デザイン壁画は開花=名古屋市農業センター」

2015-02-28 12:32:08 | 日記・エッセイ・コラム

        
           早咲き種のしだれ梅は少し花を付けていますが        

                   
                               全体ではこんな状況です

やっと春らしい週末となった2月28日、700本の枝垂れ梅のある名古屋市農業センターに足を運びました。恒例の「しだれ梅まつり」はすでに始まっていますが、早咲き種の数本以外は蕾のまま。それでも待ちかねていたように家族連れらが訪れ「見ごろは次の、いやその次の週末かな」などと言いながら、ふくらんだ蕾にカメラを向けていました。

でも、名古屋市立工芸高校デザイン科の2年生たちが、農業センター内の農業指導館の外壁で取り組んでいたデザイン壁画は予定通り完成。殺風景だった壁が鮮やかに彩られました。
センターの設立50周年記念事業のひとつ。正面玄関を挟んで25メートルほどの外壁へ、生徒たちが自分たちの図案をもとにペンキで描きました。
枝垂れ梅をはじめ乳牛、名古屋コーチン、ナス、ニンジン、トマトなど、センターで育てている家畜や野菜を楽しくデザインしています。

生徒たちの成果です

    

           

   








 


楽書き雑記「愛知県立芸術大学の平成26年度卒業・修了展」

2015-02-24 18:24:39 | アート・文化

 

       

             

   

愛知県立芸術大学美術学部の卒業制作展と美術研究科の修了展が、名古屋・栄の愛知県美術館で開催されています。3月1日(日)まで。
次代を切り拓く画家や彫刻家、陶芸家、デザイナー、教育者を夢見て励んだ成果の数々。作品からは個性豊かな発想と表現力で取り組んだ意気込みが、僕のような制作のイロハも分からない素人鑑賞者にも伝わってきました。

院展の入選者が東京芸大を上回るなど、その実力が注目されている日本画。すでに院展や各種の展覧会で入選・入賞を重ねている美術研究科修了生の平田望さん、川島優さんらの作品が並んでいます。
文化財修復研究所が設けられて一層力の入る模写の作品も。それぞれに添えられた制作過程や原画から学んだ説明を読みながら、文化財保存技術を率いてくれる彼らに期待が深まりました。

油画や版画のコーナーには、斬新な着想と技法で挑んだ作品がずらり。
油彩だけでなく、テンペラやアクリル、ペンキ、墨汁、インク、そしてこれらを何種類も駆使して仕立てた作品も。
楕円形のパネルや2枚の大型キャンバスでの表現などにも、卒展にかけた熱い思いを感じました。

彫刻の部門も発泡スチロールやダンボール、革、レンズ、布地など素材はさまざまだし、作品の形容も多種多様に並びます。
彫刻と聞けば素材は大理石やブロンズ、木材、石膏、作品も仏像や裸体像、いろんなモニュメントなどしか浮かばない僕は、無知を恥じるとともに表現の多様性を改めて知りました。

多種多様といえば、デザイン部門はさらに広いと感じました。面白かったのはテーブルに置かれた何通もの封筒でした。
宛名欄には「〇〇〇〇〇〇○あなた様」とあり、〇〇は「粘着力にイラつく」とか「貼るカイロが恥ずかしい」「治療嫌いで弱虫な」「小さな発見をしたい」「メガネが選べない」などとなっています。
展覧会を見に来た誰でも、手にとって封筒を開くと制作者が作った「解決策」や「アドバイス」を表現した写真などが出てくる仕組みです。
楽しくなりました。これも人を楽しませるアートですね。

この他にも、和洋菓子屋のデザインとか、エボラ出血熱に備えた細菌防護服のデザインなどといった作品も出品されています。

陶磁部門は瀬戸、常滑、美濃地方など一大生産地が地元にあるという立地条件もあって、作品もなかなかのレベル。展覧会を見にやってきた人たちの中には、そうした作家らもいて熱心に見入っていました。

日本画に限らず、どのコーナーも日展を含めてレベルの高い公募展に出品しても、十分に通用する完成度の高い作品があると、素人ながら思いました。
それに、何より若々しく大胆な発想が見るものを楽しくしてくれます。
こじんまりすることなく、アーティストやデザイナーへの道を歩んで欲しいものだと拍手を送る気持ちです。


※カメラを向けた何点かを掲載します。カメラを向けるとなると、どうしても「絵になる」ものになりがちです。
当然ながら、絵になるとか、絵にしにくいとかは、作品の評価とは関係ありません。また、写真にすると色などが違ってきます。本物はもっと素晴らしい作品です。


      

 

 

    

          
                 
       
   
       
          
        

                      

 

 


楽描き水彩画「教室展に出品『ばんこの登り窯』と『秀吉の晩年』

2015-02-21 15:35:48 | 催し

名古屋・栄の市民ギャラリーで3月3日から8日まで開く水彩画教室展「KAZEの会作品展」に、僕が出品する2点の水彩画です。手持ちの作品のレベルの低さに、我ながらあきれました。

        

迷った末に選んだ1枚目は20号の「ばんこの登り窯」です。
昨年、教室では春に愛知県の常滑焼、秋には三重県の萬古焼の窯に出かけ、その他に自分でも陶器の村には出かけています。だから「ばんこ」としながらも、いろんな焼成窯を思い出しながら描きました。

窯の魅力はやはり、イモムシのような形や勢いよく火炎が吹き出した痕跡、使い古したレンガと土の色やデコボコ感、それに焼成の歴史を物語る風格でしょうか。
どの角度から描いても面白く、先にこのブログにも焼成室の1つを正面から見た作品を掲載しましたが、こちらは斜めから描きました。


            

2作目は」「秀吉の晩年」(10号)です。

ひょうたんは言わずと知れた秀吉の馬印。夏が終わって枯葉の目立つ棚に大小2個のひょうたんがぶら下がっている風景が、足軽から天下人に上り詰めた秀吉の最後と重なりました。
このひょうたんも、一度ブログに掲載しましたが、十分表現できてなかったので手直しして出すことにしたのです。

大きなひょうたんが秀吉、小さいのは秀頼。周りに垂れる枯れた葉は秀吉軍として戦陣に散った武将や、盟友関係だったのに離反していった戦国大名たち。
大きなひょうたんの色には、秀吉が好んだとされる黄金色を選び、くすんだ色にしました。栄枯盛衰ですね。

 


楽描き水彩画「3月3日から教室展『第16回KAZEの会作品展』

2015-02-19 20:17:55 | アート・文化

           
         
                 

僕の通う朝日カルチャーセンター名古屋にある風景水彩画教室の教室展「第16回KAZEの会作品展」が、名古屋・栄の名古屋市民ギャラリー7階第2展示室で3月3日から8日までの日程で開かれます。

現在の生徒数は22人。年に5回ほど、東海地方を中心にスケッチに出かけ、作品展を年に1度開いています。出品するのは、ひとり3点まで、合わせて30号以内です。

案内ハガキの絵は富岡僉治さんの作品。富岡さんは教室きっての個性派で、この絵は焼き物のさと・常滑の風景を描いたものです。
日差しもようやく春らしくなりました。お越しをお待ちしています。


楽書き雑記「名古屋造形大学の第22回卒展と大学院の第11回修了展」

2015-02-17 19:41:36 | アート・文化

         

                         

大学や高校の芸術関係の学部・学科で研鑽を積んだ卒業生たちの「卒展」の季節。愛知県美術館や2つの名古屋市民ギャラリーでも、毎週のように学び舎での成果を発表する展示会が開かれています。その一つ、県美術館で開催中の第22回名古屋造形大学の卒展と大学院の第11回修了展(22日まで)を見てきました。

1学部1学科の美術大学といっても、洋画・彫刻・陶芸・漫画・アニメ、さらにグラフィックやインテリア、建築などのデザインまでと幅広く16コースの集大成。だから、県美術館8階にあるギャラリー9室を使って展示されており、会場をひと回りして拝見しました。

しかし、僕はきちんと鑑賞・評価できるような能力は持ち合わせていません。そこで、目がとまった作品のいくつかを写真で掲載しましたが、卒業生たちの豊かな感性と表現力、作品に込めた熱い意欲と夢を感じることができました。

展覧会のオープニングセレモニーで、卒業生のひとりが漫画の世界でプロ作家としてデビューしたことが紹介されましたが、芸術・美術の世界で夢を追い、次の時代を切り拓くアーティストやデザイナーになるのは容易ではないでしょう。

でも、小林亮介学長はこう話します。

「とにかく今の熱い思いを持ち続けてほしい。現実は厳しいが、意思を強く持ち、持続させること」
「5年先、いや20年先でもいい。夢や希望を結実させてくれることを祈っています」

  

  

  

     

  

 

 

 

 

  [


楽描き水彩画・東山動物園の仲間たち「マッチョなおっさん=カンガルー」

2015-02-13 16:31:03 | アート・文化

               

赤ちゃんをお腹の外にある袋の中で育てる有袋類の代表格「カンガルー」。同じ有袋類のコアラと並んで、オーストラリアを代表するスターといってもいいでしょう。

描いたのは、カンガルーの仲間では最大種のアカカンガルー。
袋は「育児のう」といい、赤ちゃんは未熟児の状態で生まれて、この中で6カ月から11カ月間ぐらいお乳を飲んで育ちます。
赤ちゃんの最も小さな時の体長は2・5センチ、体重が1・3グラムほど。これが成長すればアカカンガルーのオスだと、体長は尾の部分を除いて130~160センチ、尾の長さが65~100センチ、体重は80キロにもなるのです。

草原をピョンピョン跳ぶようにして走ります。跳躍力は8~9メートルも。オスは時速約80キロで走れるようです。ちなみに、後ろへ跳ぶことはできないそうです。

オスが闘う様子はキックボクシングみたいと言われますが、ふだんの姿も見れば見るほど「ニンゲン」ですね。それも足腰、腕っ節の筋肉もついた「マッチョなおっさん」と言ったらぴったりかな。
囲いに手を掛け、遠くを見ながら考え事でもしている様子。
腕を枕に横になった姿。
腕をあごにあて足を投げ出して寝転んだ様子。
大相撲の仕切りのようなスタイル。

この絵のように手で脇腹をかく様子は、まさに「おっさん」に見えませんか?
「オス、メスどちらだって、同じ仕草をするよ。おっさんだけじゃない」なんて、野暮なことは・・・。





楽書き雑記「メッセージ込められた夕日の油絵=名古屋市民ギャラリー栄で個展」

2015-02-10 15:51:51 | アート・文化

           

          
                 
  
             

驚きました。敬服しました。
名古屋・栄の市民ギャラリー栄で開かれている個展「夕日の油彩展」を拝見しての率直な感想です。夕日を背景に、70年前の大戦地に思いをはせたり、星条旗や有刺鉄線を描き込んだ、いずれも100号大(162㌢×130・3㌢)の23点。題名をみて、てっきり「幻想的で神秘的な夕日を、多彩でコテコテ塗りしてあるのだろう」程度に思って出かけた自分が恥ずかしくなりました。展覧会は15日(日)まで。

元サラリーマンで、ことし60歳の還暦を迎えた千種区在住の高津伸生さん。
「絵は子どものころから好きでした。しかし、サラリーマンでは思うように描けません。心身とも仕事に疲れたので、定年前に思い切って辞めて、伸び伸び絵が描ける世界に飛び込んだのです」「夕日を選んだのは『もう仕事も終わった。楽しむだけ』ということで・・・」

教室や会派などには所属していません。「上手く描こうとか、こう描かねばならないというのは嫌だから。自分で描きたいように描くのです」
インドネシア、アメリカ、ポルトガル・・・。国内外だけでなく世界のあちこちへ出かけます。その旅も半端じゃないようです。「スペイン北部の巡礼の道へは、毎年のように出かけます。巡礼の宿に泊まって1ヶ月ぐらいかけて歩きます」

旅で出会った夕日をカメラに収め、写真をもとにアレンジして絵にします。
スペインの絵の1枚には、有刺鉄線が入っています。「南米などの国々を植民地化していったスペインの歴史を思ったからです」
サイパン島の夕日には、戦地に残る兵器の残骸と、海に向かって祈る男性の後ろ姿を入れています。
「祈る男性は私です」

「メッセージと言えるような大層なものではありませんが、構図など絵画の基本も勉強していないので、思いついたことを描き込んでいくと、こうなるのです」

今回展示されているのは過去7年間の作品。
「還暦ということで思い切って個展を開いてみました。絵だけでなく、スノボや大型バイクでのツーリング。ハングライダーにも挑戦しています。まだまだこれからです」。まさに還暦が新たなスタート、というわけですね。
  
  

  

  

  






楽書き雑記「名古屋市工芸高校デザイン科の生徒たちが、市農業センターで壁画の制作」

2015-02-07 15:28:18 | アート・文化

                 
              

        

              

名古屋市農業センター内にある農業指導館の外壁を飾るデザイン壁画の制作が進められています。描いているのは、市立工芸高校デザイン科2年生のみなさん。土曜日の7日も、刷毛を手に色とりどりのペンキで色づけしていました。


農業センターが今年、設立50周年になる記念事業として企画。依頼された市工芸高デザイン科の2年生たちが冬休みの宿題として描いた図案30点から2点を選んで制作してもらっています。
正面玄関を挟んだ外壁は縦2~4m余、横は合わせて25mほど。このでかい「カンバス」に名古屋コーチンや乳牛、ナス、ニンジンなどの家畜や野菜、それにセンターご自慢の枝垂れ梅も図案化されています。

「生徒たちも伸び伸びと取り組め、やりがいのある制作作業を楽しんでいるようです」と先生。指導館の中では、生徒たちが描いたデザイン案35点も展示されています。壁画は、枝垂れ梅まつりの最初の週末となる今月28日に公開の予定です。

 

 


楽書き雑記「名古屋市緑化センターで植物画(ボタニカルアート)の展覧会)

2015-02-05 10:12:59 | アート・文化


                   

名古屋市の鶴舞公園の中にある市緑化センターで、植物を細密に描くボタニカルアートの作品展が開かれています。公園内の花はまだほとんどの蕾が固いままですが、野に咲く草花や庭先の花木、小さな果実が繊細に描かれた作品の数々に見入ることができました。


実は僕も、定年後の趣味として最初に興味を持ったのが、このボタニカルアートでした。
植物は見るのも育てるのも関心がある方だし、観察するのも嫌いじゃないので「これなら」と思ったからです。さっそく、描き方の本を買い、自宅の庭の花を描いてみました。

ところが、茎1本、葉1枚、花びら一片を描くことの難しさを痛感。「天眼鏡を手に、ネズミのしっぽの毛のような筆まで使って描くなんて、辛気臭くさい。眼に自信もない」と投げ出したのです。
自分自身に対していろいろと言い訳をしましたが、結局はいつもの3日坊主だったのです。次に選んだ風景水彩画も神経を使い、奥も深いのは同じ。現在も続いているのは「今度こそ3日坊主では終わらせまい」と厳しく自分に言い聞かせた結果でしょう。

第57回「私の植物画展」と題する作品展に並んでいるのは、緑化センターで開いている植物画講習会(講師は鳥居ちゑ子さん)で学んだ卒業生たちの名古屋植物画同好会で寄せられた作品。
全部で80点。1月30日から3月1日までの日程で、前半と後半に分けて展示しています。現在開催中の前半は2月14日まで。15日からは全作品を入れ替えて後半に入るそうです。

冒頭でも触れたように鶴舞公園内の花のシーズンはまだまだですが、ロウバイとマンサクが咲いていたので、カメラに収めてきました。

                     
                                    ロウバイ

              
                                           マンサク








楽書き雑記「福は内、福は内」=名古屋・大須観音の節分会

2015-02-03 14:37:12 | 催し

    

            


「福は内、福は内」

節分の3日。季節の変わり目とはよく言ったもので、名古屋も前日までの冷たい風も止み、春の訪れを感じる好天に恵まれたので、さっそく大須観音の豆まきを見に出かけてきました。

本堂前の特設舞台に、厄除けの豆まきを希望する市民が次々に枡を手に並び「福は内、福は内」の掛け声で豆をまきます。下ではそれを受け止めようと、袋や帽子を掲げた市民がびっしり。どちらも弾けるような笑顔が春の日差しに輝いていました。

ところで、「あれ、この文はおかしい。『鬼は外』がない」と思われた方もおられるのではないですか。
そうです。僕もかつては「福は内、鬼は外」が掛け声の常識だと思っていました。でも、実は掛け声はたくさんあって、大須観音の場合は伊勢神宮から授かった鬼面を宝物にしているので「鬼は外」とは言わない、と知りました。

ちなみにネットなどで調べてみると、全国にはいろいろあるようです。
「福は内、鬼は内」「福は内、鬼も内」「福は内、悪魔外」「福は内、鬼は内、悪魔外」「鬼は内、福は内」
大須観音のように「福は内、福は内」のところも。さらには「福は外、鬼は内」という掛け声もあります。

理由はさまざまです。
「寺に鬼がいて悪者を退治してくれるという言い伝えがある」
「神社が鬼門除けに建立された」
「鬼が町や地域の守り神である」
「町名や地名に鬼の文字が入っている」
「鬼は物事を正しく見る」
「病や災いを退治してくれる神を本尊にしている」
そして「この日は鬼を迎える行事をする」とか「全国から追われた鬼を迎え入れ、改心させる」「悪い鬼を呼んで説教して返す」「鬼は神社に呼んで改心させ、福は外へ出て村々へ」などといった話も紹介されています。

世の中は広くて、文化や風習もさまざまだと改めて思いますね。