たくさんの塩を使った塩漬け。水は入れません
らっきょうの漬け込みシーズンですが、我が家では1キロのらっきょうに同じく1キロの塩を使います。
「塩の量がちょっとどころか無茶苦茶だよ」と言われそうですが、これは本漬け前の塩漬けをしているのです。この方法で、1年後、いやそれ以上もカリカリのらっきょうを味わっています。
この漬け方を知ったのは、20年以上も前のことです。
連日のように未明まで仕事をしていた僕ですが、会社からタクシーで帰宅する間、運転席から流れてくるNHKのラジオ深夜便に耳を傾けるのが1番の楽しみでした。
三重県の農家暮らしだという高齢の女性と、アナウンサーの電話のやり取りが聞こえてきます。
「きょうは、らっきょうを塩漬けしました。都会へ出ている子どもや孫が『おばあちゃんのらっきょうは、カリカリしておいしい』と言ってくれるので、いっぱい漬けます」とおばあちゃん。
「どのように漬けられるのですか」とアナウンサーが尋ねます。
「お塩をたくさん使います。らっきょう1キロに対し塩も1キロです。水は入れません」
「お塩をそんなに多くですか」とアナウンサー。ぼくも同じ思いでおばあちゃんの答えを待ちました。
「この後しばらくすれば、らっきょうから出た水があがってきます」
「食べる量や送る量だけを取り出し、塩抜きをして本漬けをします」
「こうすると、1年経ってもカリカリしたおいしいらっきょうを食べることができますよ」
さっそく、家内に伝授。
以来、それまで事前の塩漬け作業は省き、最初から1キロのらっきょうに60~70グラムの塩を入れ、水やみりん、トウガラシなどを入れて漬け込んでいた「柔らからっきょう」は卒業。いつも「カリカリらっきょう」を味わっています。
もちろん、おいしいものには大変な手間がかかります。
本漬け前の塩抜きです。最初から本漬けするのに比べて10倍以上もの塩を使っているのですから、これを除かねばなりません。
大びんに入れ、朝夕ごとに水を替えます。早くて5日間、塩分をできるだけ抜こうとすれば、1週間以上になることも。
わが家では子どもたちに送る分を含め、年に3回ほどに分けて本漬けしますが、その度にらっきょうのにおいが台所はもちろん部屋いっぱいに充満します。

これは去年塩漬けしたのを、最近になって本漬けしたものです