風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

「ルーブル美術館の模写する光景に思う」

2013-11-30 12:16:25 | インポート

 


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ヨーロッパの美術館と日本の美術館の違いは、鑑賞する側と美術館との距離感だ」という言葉をよく耳にします。ヨーロッパの美術館で、作品を前に模写やスケッチをする光景を目にするたびに、僕もそう感じます。先日訪れたパリのルーブル美術館ではその思いを一層強くしました。

巨大な彫像の前で2、30人ほどの児童がスケッチブックを開き、鉛筆を走らせています。その後ろに立ち、スケッチする大人の姿も。児童を引率する先生ではなさそうです。
30号ほどの展示作品の前では、イーゼルのキャンバスに絵筆を走らせるご婦人。年のころは僕と同年配とお見受けしました。近くには一本の筆を口にくわえ、手にした筆を力強くキャンバスに向ける男性。こちらも同年配でしょう。

デジタルカメラで展示作品の一部を撮影し、拡大した再生画面を見ながら絵の具を重ねている人もいます。テラスでは美術専攻の学生らしい若者たちが、思い思いの場所に陣取ってデッサンしています。
 

模写する人の周りには、一般客の人だかりができています。絵筆の動きに見入ったり、うなづいたり。描く人もそれを楽しみ、モチベーションを高めているようです。

こんな状況を一般客が「鑑賞の邪魔だ」と不快感を持っているようには、全く思えません。

 
ルーブル美術館でのこうした光景は、昨日今日始まった訳ではありません。日本の洋画界の巨匠・黒田清輝らも若いころルーブル通いで腕を磨いたと言われています。

もちろん、勝手気ままに模写できるわけではありません。きちんとした申請手続きが必要です。ブログにある体験談などによれば、外国人だと滞在許可書や大使館の証明書などが必要。認められれば曜日などに制限はあっても、入場料なしでかなりの期間、展示作品と向かい合い、絵筆を走らせることができるそうです。

まさに芸術の開放ですね。そこには人種、国籍、性別、年齢などの区別はありません。美術作家を目指す人たちのたちのために、だけでもありません。美術を愛好する全ての人々を平等に招き入れ、育てていこうという文化があるのでしょう。

日本でも、ギャラリートークや子供たちにホンモノの美術と対面する機会を設けるなど、鑑賞者との距離感を無くそうとしている美術館が増えてきたようです。
 
作品の細部を見ようと顔を近づけたり、同行者と「この部分の色が生きているね」などと指差す(触れないように、です)だけで係の人がとんできそうなピリピリ感は緩和して欲しいですね。美術館を出るときの満足感を半減させない努力を期待したいものです。

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楽描き風景水彩画「ダム湖の紅葉」「飯田線を走る朝の列車」

2013-11-26 10:43:09 | アート・文化

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絵画教室のスケッチ会や飯田線秘境駅巡りで描いた作品の中から、新しく2枚(いずれも10号)を掲載しました。

1枚目は、先週出かけた秘境駅巡りで出会った天竜川を包み込むように迫る山々の紅葉とダム湖の彩を描いたものです。時間は、太陽が手前の山陰に隠れる寸前。湖面に架かる吊り橋からとらえました。

もう1枚は、それよりひと月前のスケッチ会で宿泊した愛知県新城市の湯谷温泉で、ホテルを朝早く出て散歩中にやってきた列車です。正直言えば、この頃は木々の色付きがまだまだでしたので、思い切って秋らしい色付けをしてみました。


「晩秋を訪ねて飯田線の特別列車『秘境駅号』に」

2013-11-22 10:49:45 | アート・文化

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愛知・静岡・長野の県境を走るJR飯田線の秘境駅6駅を訪ねる特別列車「秘境駅号」に乗ってきました。飯田線には先日、教室の一泊スケッチで乗りましたが、秘境駅は停車時間が30秒~1分ほどで駅に降り立つことができませんでした。
でも、今度は5分から20分停車。ホームを離れて色付いた晩秋の風景を楽しむことができたのです。

秘境の6駅は千代(ちよ=秘境駅ランキング42位)、金野(きんの=12位)、田本(たもと=4位)、為栗(してぐり=26位)、中井侍(なかいさむらい=25位)、小和田(こわだ=2位)。いずれも、天竜川河畔の岩山にへばりつくように存在する無人駅です。

眼下の天龍川のダム湖や赤や黄色に染め上がった山々、対岸に向けて架かる吊り橋、トンネルとトンネルの間にホームがある駅も。急坂を切り開いてできた茶畑、熟した実で枝もたわわな柿の木など、懐かしい山村風景も迎えてくれました。

今も残る木造駅舎には出札窓口や水場が往時を偲ぶことができました。壁には、いつの頃のものでしょうか、結婚式の写真も。
無人駅といっても、誰かがホームを清掃してくれているのでしょう。竹箒などが置かれていました。

コースの折り返し駅である天竜峡駅周辺の散策も、晩秋の印象を色濃くしてくれました。

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   (写真は、クリックしていただけば大きくなります)










     




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「名古屋市民美術展=教室からも2人の作品が展示」

2013-11-20 09:18:19 | アート・文化

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   「大須七ツ寺スタジオ前」    小野秀史

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   「甦る」   川井 隆


名古屋市民美術展が、中区・栄の市民ギャラリーで開かれています。市内16区でこの秋開かれた区民展の日本画・洋画・書・彫刻・工芸・写真の各部門で市長賞を得た作品。僕の学ぶカルチャーセンターの水彩画教室からも、2人の40号大の傑作が洋画部門に展示されています。24日まで。

小野秀史さん(北区)の「大須七ツ寺スタジオ前」と、川井隆さん(西区)の「甦る」。僕たちの水彩画教室では、3ヶ月おきに市内外に出かけるスケッチ会をしています。
小野さんは、きちんとしたデッサンと巧みな色合いで風景を切り取ります。
川井さんは、スケッチ会ごとに10枚前後の作品を描きあげるという熱意の持ち主です。
今回受賞した作品も、それぞれスケッチ会で出かけた風景を仕上げました。掲載した絵の写真は、僕の技量不足のため実物に比べてよくありません。ぜひ、会場にお出かけになってご覧下さい。


楽描き風景水彩画「トビの乱舞」「ミニ滝」

2013-11-16 11:09:01 | アート・文化

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先日、絵画教室のスケッチ会で出かけた愛知県新城市の湯谷温泉での作品の中から2枚(いずれも10号)を掲載します。

1枚目は「トビの乱舞」。宿泊したホテルの「おもてなしイベント」のひとつです。
朝、従業員が宇蓮川沿いのベランダから投げる肉片を、どこから集まってきたのか100羽ほどのトビが、空中で壮烈な奪い合いを演じます。迫力十分な光景を描いてみました。
もう一枚は、宇連川河畔を散策してしていて見つけました「ミニ滝」。荒々しい岩盤を削りながら流れる姿は小さくても見ごたえがあります。



楽書き雑記「無理せず欲張らず 自由気ままにパリ散歩」

2013-11-12 13:50:49 | 日記・エッセイ・コラム

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                           (ルーブル美術館)
             

 

久々にパリへ行ってきました。これまで2回のパリ詣では団体ツアーで数日立ち寄っただけでしたが、今回は伴侶とだけの実質5日間のパリ滞在。乏しい語学力への不安はあったものの「余裕をもち、無理せず、欲張らない」をモットーに、晩秋のパリを楽しんできました。

費用面での余裕を生み出したのは、旅費・宿泊費の安いシーズンオフを選んだこと。高級レストランやオペラ鑑賞などもパスして、もっぱら美術館や街歩き中心のメニューにしました。

精神的な余裕を持つには語学力をつけるのが一番でしょう。でも、三日坊主では無理なので、下調べと「ノート」作りをしました。
例えばオルセー美術館は3度目でしたが、今回は添乗員さんの引率がないのでガイドブックで調べた作品の展示個所、開館・閉館時刻、休刊日、館内レストランの有無などを「パリ歩きノート」に記録。初めて行く施設は周辺の案内地図を添付。いくつかの美術館を回るのにお得で便利な美術館パスがあるのも知り,パリ初日に手に入れました。

ノートにはパスポートはもちろん、カードや傷害保険などの紛失・盗難、緊急時のパリ市内の連絡先も。まさに自分が添乗員になったつもりでの備えです。

ガイドブックや外務省の海外安全ホームページなどの注意情報を一読したことも、心の余裕になったようです。ノートや地図を広げたとたん、どこからか親切顔で寄ってくる男。署名運動を装って声を掛けてくる若者グループ。どれもマニュアル通りに無視することができました。

宿泊はパリ1区内の比較的安いホテルに。まるごと世界遺産のパリで歴史もあるホテルなので設備も古く、ネットでの評判は芳しくありませんが、僕にとっては本来のパリを味わえました。

それに何よりルーブル美術館まで歩いて2分。国立近代美術館やオルセー美術館、オペラ座、コンコルド広場、ノートルダム大聖堂なども散歩圏という絶好の位置です。4号大ほどのフェルメールの絵から60平方メートルもある絵画に陶酔したり、コンビニ風スーパーでの買い物。スタバでパリジャンやパリジェンヌたちに囲まれてのコーヒータイム・・・。
伴侶の希望だったパサージュ(アーケード街)も徒歩圏に5、6カ所あり、散策できました。

何年か前、早起きしてカルチェラタン地区などを歩き回った時の楽しさを、存分に再現できた5日間。

万歩計は連日1万歩以上、うち2日間は2万歩を超えていました。もっとも伴侶は、タクシーを使わずに地下鉄の2駅や3駅は歩こうとすることには不満だったようで、僕も少し無理をしたかな、と反省しています。

誤算や失敗もありました。

覚悟はしていたのですが、まず日没時間。午後9時を過ぎても明るい夏場に比べ、今は5時を回れば暗くなります。活動時間が限られるので、毎日朝早くからの「出動」となりました。
また今年は、パリも「暖秋」らしく、持参したコートは着用しないまま。楽しみにしていた街路樹の色づき、落葉もまだ十分ではありませんでした。

ホテルの朝食での失敗。緑茶パックをコップに入れ、勢いよく湯を注いだつもりが、実はミルク。「これが抹茶ミルクだ」と飲み干したのですが

・・・。ワインのコルクを持参した道具では開けられなかったこともありました。

パリ名物の地下鉄。利用した経験はあっても都心を離れた街での駅探しにはひと苦労でした。夕方近く、降りしきる雨の中で広げた地図はびしょ濡れになり、通りを示す小さな文字は判読できず迷子に。

目的地周辺の地図はコピーで部分拡大して持っていくべきだった、と反省するとともに日本の地下鉄駅表示に感心したものです。
一方で、フランス語がほとんどできない2人のために、雨に濡れながら懸命に道案内をしてくれた地元の人たちの優しさ。今回の旅の最大の感動でした。
 

余談をもう一つ。
名古屋=パリの往復で初めて利用した旅客機(フィンランド航空=ヘルシンキ経由)を降りる時に気付いたのですが、乗客が離れた席の周辺が大変きれいだったのです。帰りも同じでした。
国際線の利用経験がさほど多くない僕の体験ではデータにはならないかもしれませんが、東京(成田)からの便を含めビジネス・エコノミーを問わず、客席や床に菓子袋や新聞紙、膝かけ、紙コップ、イヤホンなどが散乱していたことが珍しくなかったのです。だから、乗り込んだ時と変わらないほどの今回の状態に驚いたのです。

乗務員が飲み干したコップなどを比較的こまめに集めているようでしたが、そんな姿が客の心に伝わったのでしょうか。でも、コップの回収は他機でも行われていますよね。

ただ、帰りの便で、どの国のグループか分かりませんが一人が紙袋を回して、ゴミを入れるように呼びかけている光景を目にしました。今回の旅での思い出のひとつです。

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(セーヌ河畔の並木の色づきは      (ノートルダム大聖堂を黄葉ごしに)

まだまだのようでした)

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(雨の中でもモンマントルの顔描き広場      (パッサージュ)

は賑わっていました)    

 


            
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(国立近代美術館横の現代アートが並ぶ池)

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       (映画「ポン・ヌフの恋人」の舞台)





























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楽描き風景水彩画「ノリタケのルーツ」

2013-11-04 09:49:53 | アート・文化

  

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洋食器の世界ブランド・ノリタケの発祥地にある「ノリタケの森」(名古屋市西区)は、赤レンガの工場建物跡や6本の煙突がある窯跡など、スケッチの場としても魅力的です。

今回の絵は、単独窯㊤とレンガ組みの窯跡㊦の一部。明治期からの歳月とともに日本の産業近代化への意気込みを、少しでも描き込めないかに気を配りました。




孫のアートⅡ「飛び出す妖怪ーー発想・制作をウォッチ」

2013-11-01 09:35:03 | アート・文化

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これは5歳になる孫が描いた「妖怪」たちの絵です。

僕は、その上手下手に関心を持った訳ではありません。僕では及びそうにない発想の豊かさと描くスピードに驚いたのです。
 
孫がこれらを描いたきっかけは、僕が学ぶ水彩画教室の講師・山田彊一先生が、11月5日から先生の自宅で開く「名古屋力『妖怪篇』出版記念展」の案内チラシを目にしたことからです。
「これ、オモシロー」というと、A4大の紙の束とクレパスを手にしていました。


僕は別の用事をしていたのですが、ほどなく「描いたよ」と持ってきました。

「これロケット妖怪。宇宙の外まで飛んで行くの」「これはカブトムシ妖怪。夜になると動き回るんだ」「このカメラ妖怪に写された人は、みんな妖怪になる」「矢印妖怪は矢印通りに行くと、会社に遅れてしまうんだ」

数えると全部で11枚あります。20分ほどしか経っていないはずなのに。
 「面白いね。もうないの」と仕向け、時計を手にして描く様子を見ることにしました。
速い。手が止まりません。一枚が1分20秒ぐらい。新しい作品にかかるまでの思考時間が10数秒。8枚描いたところで「きゅうけい」といって、作品解説です。

「コンサート妖怪。人を眠らせないの」「この妖怪は部屋を汚しまわる」「でも、この掃除機妖怪が片づけてしまう」「このケータイ妖怪には、油断すると中へ閉じ込められてしまうからね」「この傘妖怪も気をつけないと、骨の先がトゲだから刺されるよ」


解説が終わると、僕が作品を並べてこのような写真を撮ったことに気を良くして、また描き始めました。

 それまで一色の線だけで描いていたのに、色を重ねたり、空間を塗ったり、やや複雑化した作品も出てきました。

「これはね、町中に木を植えてまわるんだ」と緑が入った絵。

半円形を3つ重ねたような絵は「お腹をいっぱいにさせるお茶碗妖怪」
「このロボット妖怪は、ただのロボットじゃないよ。中でこのロボットを操縦しているのもロボット。その操縦するロボットを動かしているのもロボットだよ」
「じゃあロボロボロボット妖怪だね」と僕。
「そうだよ。ロボ、ロボ、ロボット」。小躍りしながら、新しい紙を数枚手にして描き始めました。
 
幼稚園やテレビアニメなどで、こんな速描き遊びみたいなものが流行っているのでしょうか。妖怪というより、漫画「ドラえもん」にありそうな夢の道具も出てきます。
れにしても速い、よく次々と飛び出してくるもんだと思います。絵が得意なママは「こう描いた方が・・・なんてことは言いませんし、手も出しません。気ままに描くことを楽しんでるようですから」と話します。
「何でも素早く描く『スケッチ妖怪』にでもなってみたいものだ」。これは「ばかじい」の発想。乏しいなあ。
 


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山田彊一先生の妖怪展「名古屋百鬼夜行」は、11月5日から12日まで名古屋市東区の妖怪屋敷(自宅)で開かれます。3m×2mの作品など100点を展示するそうです。興味のある方は
山田先生のブログ(
http://artistyamakyo.blog75.fc2.com/
を開かれ、メール、電話などで連絡を取られてはいかがですか。

 
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                        (写真は、左クリックで大きくなります)






 

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