10年前は、旧鶴岡市文化会館でゲネプロが中断されて、電源を確保していたホールのTVで押し寄せてくる津波の映像を見ていた。
現実ではない映画のような画面を見て、泣き出す団員も。
一人でもお客様が来れば、演奏会を開催すべきと言う当時の事務局と演奏会を中止して家族の元に帰りたい団員とで議論した。
長い議論の末、結局、演奏会は中止。停電中の月山道で帰宅。
停電している自宅で、暖房もなく、ダンボールで部屋に囲いを作り、ワンコ二匹と暖を取り合って過ごした。
ロウソクの灯りで、冷たいご飯を食べた。
電気が通り、家に明かりがついた時のほっとした気持ちは忘れない。
その数日後には、旧県民会館で演奏会を開催した。
音楽が奏でられると、泣いているお客様もたくさん見受けられた。
その時、私は、音楽って人生に必要なものなんだと初めて実感できた。
自分で音楽を奏でても、小さい頃から音楽がまわりにあるのが当たり前過ぎて、本当に皆に必要なものなのか?疑問を持つ事もあったが、音楽の力を信じる大切な経験が出来た。
今に至る。