報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” ショートストーリー

2016-06-14 19:27:40 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 私の名前は私立探偵、愛原学。
 東京都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今回は大きな仕事が舞い込んできた。
 クライアントは、さる有名な財閥の御曹司。
 そこの総帥たる名誉会長が大往生し、莫大な遺産が遺族らに渡るということは既にマスコミやインターネットで世間に知れ渡っていた。
 そして、中にはそんな遺産を狙う不届き者もいるのもまた事実である。
 そのクライアントの予想は見事に当たり、遺族達に本当の遺産相続者を名乗る者から脅迫状が届いた為、裏でその犯人を見つけて欲しいというものであった。
 もし解決してくれれば、私の個人資産はあっという間に跳ね上がるであろう、と。

 場所は栃木県は那須にある高級別荘地。
 うむうむ。
 まるで、かの金田一探偵を彷彿とさせる展開ではないか。
 そして案の定、まるで小説のように、『人誅見舞人』を名乗る犯人の犯行声明通りに、次々と遺族達が殺されていった。
 だが、私はついに真犯人を突き止めることに成功したのだ!
 私は早速、皆を洋館風の別荘の大食堂に集めた。

「謎が全て解けました。真犯人『人誅見舞人』は、この中にいることが判明しました」
 驚愕の顔を浮かべる遺族やその関係者達。
「まず、一連の犯行についての背景ですが、【以下略】。そういったことから、これは単なる遺産目的の犯行では無かったのです。そして、いかにも遺産に目が眩んでいる遺族としてこの中に紛れ込んでいる、全くの別人。それが、真犯人です」
「だ、誰なんだ、それは!?」
「勿体ぶらずに、早く言いたまえ!」
「ぼ、ぼぼ、ボクは犯人じゃないぞ!こ、ここだって……お、伯父さんに無理やり連れて来られたんだ……」
「橋本……いや、姜!オマエだろ!?これだから朝鮮人をうちの屋敷で働かせるのは嫌だって言ったんだ!ったく!通名なんぞ使いおってからに!生粋の日本人の橋本さんに謝れ!」
「またヘイトですか!いい加減にしてください!」
「ヘイトじゃない!事実だ!そうだろ!?愛原さん!」
「ええ。ですので、更にもっと事実を話してもらえませんか?……厳田虎雄さん」
「な、なにっ!?今、何と言った!?」
「真犯人『人誅見舞人』は、あなただと言ったんですよ。厳田さん?」
「何だと!?この私のどこが犯人だというのだ!?」
「まず、第一の犯行のトリックですが、【以下略】。続いての事件については、【以下略】。更に【以下略】。というわけで、犯人はあなたしかいないんですよ。どうですか?」
「ふ……ふふふふふふ……ふはははははははは!そこまでバレては仕方が無いな!」
 真犯人は頭に被っていたマスクを取った。
 だが、その下はまるで“名探偵コナン”や“金田一少年の事件簿”みたいな、暴かれる前の真犯人のように真っ黒だ。
 ところが、だ。
 一同全員がマスクを取って、同じような姿になったではないか!
「この事件の犯人は最初からいなかったのだよ、愛原君?」
「言うなれば、全員が真犯人ニダ!」
「こ、ここ、この事件自体が……た、探偵さんを誘き出す為の……わ、罠だったんだな……」
「キミは我々『真犯人団』の手に掛かって、あえない最期を遂げるのだ」
 壁に追い詰められた私!
 そ、そんな!私以外、全員真犯人だなんて、バカな!?
「せっかくこの小説、連載開始が内定したのにねぇ……」
「我々の手によって、打ち切りだお♪」
「謝罪と賠償を求めるニダ!そしたら、許してやるニダ!」
 わーっ!誰か!助けてくれーッ!!

[6月14日午後のまだ明るい時間帯 天候:晴 東京メトロ新木場駅]

「うう……ん……。真犯人に殺されるなんて……ムニャムニャ……。うう……来週から『スーパー人間革命』が始まるだと……!」
「お客さん!終点ですよ!起きてください!お客さん!」

〔新木場、新木場。終点です。JR線、りんかい線はお乗り換えです。1番線の電車は、回送電車です。……〕
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不良信徒の登山日記 0613

2016-06-13 22:43:23 | リアル旅行記
 東京圏内では大雨降る中、大石寺へ登山参詣に行ってきた。
 東京駅までは通勤経路が同じばかりか、乗る電車まで通勤時と同じなので、東京駅までは登山に行くという感じがしないのは困りものだ。
 2月1日の初登山では、東京駅に着いてから、いつもの通勤ルートである都営バス乗り場に向かうというボケをかましたが、さすがに今回はそんなボケはしなかった。
 私はその都営バスは早い時間帯に乗っているのだが、8時くらいになると、都営バス乗り場に乗客が全て待つことができず、車道にまであふれるほど混むらしい。
 さすがは都営バスは日本で2番目に稼ぐ一般路線バス会社だ(日本一稼ぐ一般路線バス会社は神奈川中央交通らしい)。
 おっと、都営バスの話ではなかったな。
 私が大石寺まで乗ったのは、富士急静岡バスの“やきそばエクスプレス”1号である。
 早速この時点で、既にアジア系外国人の姿とその言語が聞こえて来る。

 
(足柄サービスエリアで撮影。往路のバスはこれ。日野自動車セレガR)

 かつてはJRバス関東で運転されていた便だが、今では全て富士急静岡バスに統一されてしまった。
 JRバスでは座席にコンセントを設置したり、車内にWi-Fiを導入したり、“楽座シート”といって、座席の幅やシートピッチを拡大した車両がどんどん増車されている中、富士急ではどうしてもそれらが無く、格差を感じてしまう。
 このブログとリンクさせて頂いている“バスターミナルなブログ”にも、その旨の愚痴コメントを書いて、向こうの管理人さんに慰めて頂いたがw
 それでもまあ、韓国ヒュンダイのユニバースよりはマシであるが。
 いけないね。“バスターミナルなブログ”の管理人さんより、私は好き嫌いの激しい人間のようだ。

 バスは定刻通りに発車。
 大雨の中、バスならではの大型ワイパーブレードを規則正しく動かしながら、朝ラッシュの東京駅周辺から霞ケ関へ向かう。
 “Gynoid Multitype Cindy”で、主人公の敷島孝夫が『霞ケ関回り』と称して、シンディを中央省庁に売り込む営業活動をしていた描写があるが、その霞ヶ関の風景は何度もバスで通っている時に取材している。
 経済産業省前の反原発テントに、『無駄なパフォーマンスご苦労さんw』とファッキンポーズするのが恒例だが、さすがにもう飽きたw
 どうも、原発と原爆をごっちゃにする某河童さんみたいな人がいるみたいだねぇ……。
 原発と同じかそれ以上の電力を発電できる、新しいタイプの発電所ができればそれに移行して原発は廃止でいいけど、それまでの間は暫定的に僅かでもいいから、多少は稼働させても良いと思うのが私の意見なんだがね。

 さて、霞ヶ関から高速に乗る。
 新幹線だけでは楽しめない車窓を楽しめるのが高速バスのメリットなのだが、いかんせんこの雨では……。
 首都高では渋滞に巻き込まれることは無かったが、東名では緊急作業(恐らく落下物の回収を行っていたと思われる)や雨による速度規制の影響で、20分ほどの遅延が発生した。

 
(足柄サービスエリア休憩時に撮影したバスの、フロント部分の行き先表示を拡大したもの)

 尚、足柄サービスエリアで乗っているバスの撮影をした所、2月1日の初登山で乗ったものと全く同じバスに乗ったはずなのだが、行き先表示が違うことに気づいた。
 今日乗った方はゴシック体で、何か地味だ。

 
(こちらは2月1日に乗った方。よく見ると、こちらは行き先表示が明朝体で、何やらマークも入っている。ナンバーを見てもらえれば分かるが、今日乗ったものと同じである)

 富士宮市内に入ると、今度は一般道の混雑に巻き込まれる。
 で、到着時刻は11時21分。
 定刻より30分の遅延である。
 布教講演はもう始まっちゃってるし、場所も塔中坊とあっては参加する気になれず(遠い上、報恩坊さん以外の所に行く気にはなれない)、登山事務所でワッペンを受け取ると、その足でそのまま売店(仲見世)に行く。
 いつもの店“なかみせ”で、昼食。
 食べログではないので、写真はアップしない。
 カレーライスも美味いのだが、豚汁定食は鉄板だ。
 登山日記で食べログも掲載される、パラパラ茜のオバハンにもコキ下ろされた某武闘派女性信徒さんが訪れないのは、恐らく、この店の量が控え目だからだな。
 私にはちょうど良い量なのだが、もっと食べたい人には物足りないかもしれない。
 だけど、素朴で美味いと思う。
 顕正会の芙蓉茶寮に十分太刀打ちできると、改めて太鼓判を押したい。

 それにしても、平日は外人信徒が本当に多い。
 昔は僅かな日本人信徒しかおらず、静かな御山の雰囲気が良かったのだが、どうしてこうなった!?
 件の某武闘派女性信徒さんは好意的に受け止めておられ(ブログでも一緒に外人信徒と記念撮影をしておられ、それを見る限りにおいては大変微笑ましい)、もちろん、海外弘通の観点からすればそれで良いのだが、どうも私の性格が悪いのかね?
「本当にこれでいいのか?」
 と、首を傾げてしまう。
 御開扉の時の猊下様の御説法が既に、【お察しください】。
 いや、もうバラそう。
 確か、いつもは、
「遠ごん各地より、深信の登山並びに海外よりの登山……」
 と、仰っておられたと思うが、今日は、
「海外よりの登山を始め、遠ごん各地より深信の登山……」
 と、順番が変わっていたぞ!
 いや、順番の後先はどうでもいいだろうと思うだろうが、いやいやいや!それってつまり、猊下様がそれだけ外人信徒の数の多さを印象に残しておられたということであるぞ。
 猊下様がついに、
「大石寺の登山者は、日本人より外国人の方が多いのは明らかである」
 と、暗に認められたと見たのは私だけか?
 奉安堂の中に入って座った時も、私の隣は外国人だったからね。
 ただ、珍しくアジア系ではなかった。
 アメリカ人か?ゴッツい白人の男2人だ。
 まるで、私の小説に登場したキースとクエントみたいな2人組だったな。
 当然ながらこの2人は英語で会話しているのだが、変に中国語とかよりも、英語の方が何と言っているのか分かるという……。

 定期的に御登山していると、色々な宗内の事情とかが見えて来るものだよ。

 御開扉が終わった後で、私は恒例のバス見送り。
 バスの乗客もまた外国人だらけだ。
 尚、バスターミナルから三門が拝めるのは知る人ぞ知る。
 私もバスの撮影ばっかりしていては怒られそうだから、他の人達と同じように三門の写真をアップしてみよう。

 

 ……。
 ……はい、そこの顕正会員さん、何かご質問でしょうか?
 ……なになに?管理人さんよ、フザけんじゃねぇって?そんなでっけぇプレハブの工場の写真なんかどうでもいいから、早く三門の写真を出しやがれって?
 いえ、これが大石寺三門の現在の姿です。
 ほんとほんと。
 ……いやいや、顕正会員さん、怒らないで。
 ついに宗門は堕落の極みで、三門をプレハブにしやがったって、大いなる誤解だから!
 今、三門は大規模な改修工事に入っているため、現在はプレハブでスッポリ覆っている状態なのである。
 なので、晴れて御受誡できた元顕の皆様、残念でしたw
 ま、代わりに新しく改修が終わった御影堂でも見ておくんなまし。
 私が御受誡した時は、御影堂こそプレハブでスッポリ覆われていて、最初何の建物だったのか分からなかったんだから。

 
(多くの外国人登山者を東京へと連れて行った高速バス。UDトラックス製)

 
(上記のバスの後ろ姿。高速バスにまでラッピングを施すのが富士急クォリティ)

 外国人達は私が趣味でバスの写真を撮っているのを見て、真似して撮っていたw
 もし御開扉後、バスターミナルで1人バスの写真を撮っている変態野郎がいたら、多分それは私だと思います。
 見送りが終わった後、今度は売店内にある喫茶店“藤のや”でコーヒータイム。
 おっ、ここにいた。キースとクエントw(違う!)
 日本人のオジさんが連れて来たのか。
 そういえばうちの講頭さんもそうだが、英語ペラペラだね。

 六壺の勤行に参加したが、やはり六壺の御本尊は年季が入っている感じだな。
 さすがは日興上人の御本尊だ。
 私は六壺こそ、大石寺の歴史的に見て、そこが大石寺の本堂だと思うんだけどね。
 大石寺建立の時から六壺ってあったらしいし、今でも大坊と隣り合わせで、大石寺の御住職たる猊下様もすぐ来られる立地条件だし。
 蒸し暑い日の時は、なるべく後ろ側の障子の前がオススメw
 池の水の上を通って吹く風が涼しい。
 何度も登山しているのに、こういう所ばっかり目を向ける不良信徒なのでした。

 そうそう。
 御開扉の前に、内事部に寄って来た。
 そこで最近の大白法を頂くことができるのだが、タイミングが悪いと置いていないこともある。
 さすがにタダでは申し訳無いと思い、私は御供養を置いて行くようになったのだが、今回は大白法に小説のネタにできそうな記事があったので、それについ気を取られ、傘まで置き忘れてしまった。
 その足で奉安堂に向かおうと、客殿の前を通った。
 おっと、客殿の御本尊様に手を合わせないとな。
 ま、私の場合は、
「ちわー!今日もよろしくっス!」
 みたいに気軽なのだが。
 そこから10メートルくらい歩いたところで、何か後ろ髪を引かれた感じがした。
 まるで、
「ちょっと待てや。オマエ、何か忘れてないか?」
 と、指摘されているような感じがして、そこで傘と御供養を忘れたことに気づいた。
 急いで戻って、傘を回収し、御供養も置いて来ることができた。
 で、また客殿の方に、
「忘れ物を教えて頂き、ありがとうございます」
 って観念した。
 六壺ではなく、どうして客殿なんだろうと思ったが、恐らく丑寅勤行に来いとかも暗に含まれていたのだろうな。
 登山中、こんなこともありました。

 

 撮影日時は違うが、帰りのバスはこれ。
 ナンバーも全く一緒。
 往復共に旧型車であったが、やっぱり国産が1番だ。
 尚、帰りにあっては定刻通りに東京駅に着けた。
 そこから旅行気分を害さない為、奮発して久しぶりに東北新幹線に乗ってみたのだが、やはりバスよりも新幹線の普通車の方がシートピッチも広い。
 でも、新幹線から見る車窓はあまり楽しめない。
 これだから、バス旅はやめられないんだよなぁ。

 今回も無事に、御登山終わりました。
 次回はまた夏の間にでも、もう1度行きたいと思います。
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本日の雑感 0612

2016-06-12 21:09:56 | 日記
 今日は御講の日である。
 無論、私は欠席である。
 土日は仕事であり、現在の欠員状況からして、とても休みを申請できる状態ではない。
 というわけで、土日休める功徳のある方に全てお任せしたい。

 私が学生時代に溜め込んでいた作品の1つ、“私立探偵 愛原学”3つ続けてお送りさせて頂いた。
 どれもがオリジナル版に、今の私の技量でもってリメイク&アレンジしたものである。
 実は“ユタと愉快な仲間たち”シリーズの主人公、稲生勇太も見習とはいえ魔道師になり、“アンドロイドマスター”シリーズの主人公、敷島孝夫も超人的なパワーを発揮してしまうなど、もはや凡人とは言えない強さになってしまった。
 そこで再び着目したのが、未だ凡人である昔の作品の主人公達である。
 “私立探偵 愛原学”の主人公、愛原学は私の高校時代の同級生から名前を拝借したと先述したが、名前の漢字は変えさせてもらっている。
 が、彼はその後、ホストクラブのホストとして、源氏名にその漢字を使用したという、言わば持ちつ持たれつなのである。
 私の作品では私立探偵、しかしそのモデルはホストだったというオチだ。
 初代だか2代目ブログに、コメントを頂戴したことがある。
 まさか彼も、かつてのあの作品がリメイクされてここで発表されてるとは思うまい。

 このように私の小説、ストーリー構成は自分で考えたり、映画とかアニメを見て、これはと思った展開を参考にしたりしているが、こと登場人物にあっては、様々なキャラクターをモデルにしている。
 さすがに河童さんはあからさま過ぎたが、基本的にモデルさんに内緒である為、それと分からないくらいにアレンジしている。
 試しにお送りした“私立探偵 愛原学”には、既に何人もの実在するモデルさんに登場して頂いたが、河童さん以外ではお分かりになりましたかな?

 昔の作品を引っ張り出してみると、これまたサスペンスというかアクションというか……。
 よくこんなの書いたなーといったものばかりだ。
 『国土交通省鉄道事故調査委員会特別調査室長・増田春彦』とか、それのスターライト作品の『ドラゴンリング』とか。
 『東京中央学園鉄研部』とか、それの続編の『都市伝説追及委員会』とか。
 中二病丸出しで、今自分が読んでも恥ずかしいものばかりだ。
 尚、東京中央学園のモデルは岩倉高校と昭和鉄道高校で、学校の設定と舞台だけ、別作品の『顕正会版人間革命』(主人公、稲生勇太の高校生時代)と『妖狐 威吹』(『顕正会版人間革命』のメインキャラ、威吹邪甲の視点で書かれたスピンオフ)にも登場している。
 こちらは作者がバリバリの顕正会員だった頃に書いたものの為、当然ながら顕正会を物凄く持ち上げており、浅井会長など先生呼ばわり当然で、ということはもちろん宗門は堕落した伏魔殿扱いとなっており、お坊さん達は酒池肉林で信徒から御供養を吸い上げる悪の存在として書かれている。
 ええ、当然お蔵入りで発表できません。
 ま、私が再び顕正会に戻ることがあったら、リメイクして発表するかもしれませんが。
 信濃町のソッカー本部が大爆発するシーンだけでも発表する?
 いやいやいや、んっ?さんと……もうここは見てないと思うけど、高速太郎さんに怒られますw

 あ、そうそう。
 稲生勇太や敷島孝夫は長いこと主人公やってるから、細かい設定とかあるんだけど、愛原学についてはあまり無い。
 ただ、分かっているのは、若くはないが、年寄りでもない。
 結婚しているのかしていないのかも分からない。
 子供は……恐らくいないだろう。
 学校を卒業してからずっと探偵をしているのか、それともそれまで別の仕事をしていて、探偵に転職したのかも分からない。
 リメイクした時に、西村京太郎先生の十津川警部みたいな人物像をイメージしちゃったけど、あの天然ぶりは十津川警部とも違うよなぁ……。
 凡人な一探偵がドタバタ劇を繰り広げるというのも面白い試みだと思うので、もしアイディアができて連載するってことになったら、1つよろしくお願いします。
 但し、名探偵コナンや金田一少年みたいに、実際に事件を解決する描写は……恐らく無いと思います。
 実際に御覧になって頂いて分かるように、多くはクライアントの所へ向かう前や後に起きた事件に巻き込まれるというのがセオリーですので。

 明日は添書登山です。
 ……何だか、思いっ切り雨みたいですが。
 私の信心を表しているようですなぁ。
 
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特別読切!“私立探偵 愛原学” 3

2016-06-11 22:40:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 私の名前は愛原学。
 東京都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は仕事で関東北部の山あいの町へと向かっている。
 いつもなら電車やバスを使うのだが、今日は特別に車を借りることができた。
 さすがに地方では、公共交通機関の便が悪いのは否めない。
 一昔前の中古のライトバンとはいえ、借りられただけでも儲け物か。
 これなら、午後の明るいうちにクライアントの家に着けそうだ。
 クライアントは関東北部のとある集落の自治会長であるが、その家系は件の集落一帯を治めていた豪族で、今でも山を2つも3つも持っている大地主であるという。
 これはまた高額な依頼料が期待できると聞き、引き受けた次第である。
 依頼内容だが、これまた危険な香りがプンプンするもので、自分の財産を狙う輩に命も狙われているから助けてくれというものだ。
 村の駐在所に頼んでも、けんもほろろに断られたらしい。
 そこで、探偵として、命と財産を狙う輩とやらを突き止めてほしいというものだ。
 確たる証拠を持って行けば、警察も動かざるを得ないだろう。

 集落に続く一本道を進む私。
 一応は県道で、道も2車線あるのだが、いかんせん車が私以外に全くと言って良いほどいない。
 まるで、通行止めになった道を特別に許可を得て進んでいるような感じだ。
 ただ、夜になると走り屋は来るらしく、所々にタイヤの痕がある。
 ま、昼間でさえこんな寂しい道だ。
 夜ともなれば、ここは恰好の彼らのステージなのかもしれない。
 さて、ここで私自身にも危機が迫っていた。
 それは何か。
 車の燃料がもうすぐ切れそうなのだ。
 国道からこの県道に入ってから、ずっと燃料切れのランプが点きっ放しである。
 これはどこかで給油しないと、何とか集落には着けても、帰りの足が無くなってしまう。
 これは困った。
 さすがにこんな田舎道に、ガソリンスタンドは……あった!
 進行方向左手に、日石(原作ママ。現、ENEOS)のスタンドがある!
 だが、こんな田舎道で営業しているのだろうか?
 私が減速して、スタンドを覗いてみると、営業していた!
 ヒマそうに40歳くらいの店員と、20歳くらいの若い店員が立っている。
 私が入店すると、一瞬驚いたような顔になったが、すぐに、
「いらっしゃいませ!こちらへどうぞ!」
 若い店員、恐らくバイトの兄ちゃんだろう。
 元気よく挨拶してくれ、私を給油機の前に誘導した。
 私は給油機の前に車を止め、エンジンを切って窓を開けた。
「いらっしゃいませ!」
「いやあ、開いていて助かったよ」
「何名様ですか!?」
「ファミレスか!」
「禁煙席と喫煙席、どちらになさいますか!?」
「ファミレスか!!」
 すると、店長らしき男が慌ててやってきた。
「こらっ!お客さんに何てこと言うんだ!……す、すいません!こいつ、まだ入ったばかりのバイトで、これまでずっとファミレスでバイトしていたものですから……」
 店長は平身低頭だ。
「全く!こういう時は、燃料の種類を聞くの!『レギュラーですか?』って!」
「す、すいません……。レギュラーですか?」
「あ、いや、それが違うんだ」
 そう、このライトバン、見た目はレギュラーガソリンのようだが、実は軽油である。
 確かに燃費は安上がりだが、エンジン音がうるさくてしょうがない。
「レギュラーじゃないんですか?」
「そうなんだ。実は……」
「そうですか。実はボクも、入部以来ずっとベンチなんですよ。早くスタメンになれるよう努力してます!」
「違う!補欠じゃない!そっちのレギュラー(正選手)じゃない!」
 私が突っ込むと、店長も、
「す、すいません!……誰がお前の野球チームなんか興味あるか!お客さんはハイオクだって言ってんだよ!」
「いや、それも違うから……」
 何かこの店、疲れる……。

 何とか軽油を入れてもらっていると、
「窓ふき入りまーす!」
「よろしく」
 ようやく普通の対応に戻ったようだ。
 そして、
「お客様、タイヤの空気圧チェックを無料で行っておりますが、いかがでしょうか?」
 と、件のバイトの兄ちゃんが話し掛けてきた。
「あ、そう?じゃあ、お願いしようかな」
「かしこまりました!空気圧チェック入りまーす!」
 うん。ようやく普通のガソリンスタンドになったようだ。
 私はその間、地図を見ていた。
 いくら1本道とはいえ、この先、何が待ち受けているか分からない。
 ここのガソリンスタンドから集落までは、そう遠くは無いようだが……。
 そんなことを確認していると、またバイトの兄ちゃんがやってきた。
「お客様、左前輪のタイヤの空気圧が減っています。無料で空気を入れさせて頂きますが、いかがでしょうか?」
「そうか。じゃあ、お願い」
「かしこまりました!」
 バイトの兄ちゃんは店の奥に、空気入れを取りに行った。
 その間、私は再び地図に目を落として目的地までの経路を確認する。

 シュコシュコシュコシュコシュコ……。(←空気を入れている音?)

「えーと……。まあ、距離はまだ少しあるけど、この分なら飛ばせば10分か15分くらいで着けそうだ」

 シュコシュコシュコシュコシュコシュコ……。

「あー、何だか途中で道が細くなっている所があるな。こりゃ、冬に来たら大変そうだぞ。冬じゃなくて良かった」

 シュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコ……。

「あれ?でも、何か新しいトンネルができてるっぽい。こっちを通れば、安全に……」

 シュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコ……。

「……って!さっきから何の音!?」
 私が助手席から顔を出すと、
「すいません!今、空気入れてますんで!」
 バイトの兄ちゃんが、自転車の空気入れで空気を入れていた!
「コンプレッサーじゃないのかよ!?」

 そんなこんなで、ようやく給油とタイヤの空気圧調整が終わった。
 請求された料金は軽油だからか、かなり安い。
「お客様、申し訳ありませんが、お支払いは現金のみでお願いしたいのですが……」
 と、店長。
「ああ、大丈夫」
 ま、こんな田舎道のスタンドだからな、しょうがない。
 私は現金で支払い、お釣りをもらった。
「お客様、これから◯×集落まで行かれるんですか?」
 お釣りを受け取る時に、店長がそんなことを聞いて来た。
「ああ。ちょっと仕事の依頼を受けてね、そこの自治会長さんのお宅までね」
「あー、昔は大地主さんだった方ですね。まだあの集落が独自の村だった頃は、ずっと村長さんだったお宅ということもあってか、母屋や蔵に沢山のお宝を眠らせているという話ですよ」
「やっぱりそうなのか。それなら依頼料は期待できそうだな」
 すると店長は一瞬、目を丸くしたが、すぐに元の笑みに戻って、
「あー、そうですね」
「よし。そうと決まったら急ごう!」
「はははは!お客様、あそこの集落の人達は気の長い人達ばかりですから、ゆっくり行かれても大丈夫ですよ」
「そうかな?じゃあ、安全運転の範囲内で」
「それがよろしいかと思います」
「ありがとうございました!」
 私は店長とバイト君に見送られて、スタンドをあとにした。
 一風変わった店だったが、愛想は良かったし、サービスもそれなりに良くて料金も安かったのだから、良しとするか。

「…………」
 バイト店員はライトバンの客を見送った。
 一旦、事務所に引っ込んだ店長が、
「おい。今の客、行ったか?」
「へい、店長。……いや、アニキ」
「ふぅ〜。危ねぇところだったぜ」
「肝心のトラックが渋滞にハマって遅れるってなったもんだから、いいヒマ潰しになったんじゃないスか?」
「ったく、これだから若ェモンは!」
 と、そこへ街の方から1台の2トントラックがやってきた。
「悪い悪い!途中、事故で渋滞しちまってよォ!」
 運転席からガラの悪そうな運転手が降りて来た。
「遅ェぞ!全く!」
「で、ブツは!?」
「トイレにブッ込んでるよ!」
「さっきの客、トイレに行かなくて良かったっスねー」
「ああ。もし行くってなったら、あいつも殺さなきゃいけなくなったからァ……」
 女子トイレの方を開けると、血まみれの死体となった本物の店長とバイト店員が転がっていた。
 男子トイレには、いかにも高そうな掛け軸や骨とう品が山のように積み上がっていた。
 中には金の延べ棒まで!
「早いとこ積み込め!」
「うっス!」
「あの客、到着したら惨劇が待っているのに気づくのが楽しみっスよ。うひひひひ!」
「いいから、オマエも作業手伝え!積み込み終わったらズラかるぞ!」
                                                     終
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特別読切!“私立探偵 愛原学” 2

2016-06-10 20:55:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 私の名前は愛原学。
 東京都内で小さな探偵事務所を開いている。
 今日は仕事で東北の小さな町へやってきた。
 東京駅から新幹線に乗り、それが1時間に1本しか止まらないような駅から、今度は1時間に1本しか出ない在来線に乗り換え、更に1時間ほど電車に揺られた。
 しかし、クライアントの家までは、これで終わりではない。
 最寄りの駅から、更にバスに乗り換えてやっと到着できるような場所であった。
 ところが、だ。
 そのバスというのが、1日に3本しか無いと来る!Σ(・□・;)
 時刻表を見ると、朝に1本、昼に1本、夕方に1本あるらしい。
 昼の便までは、あいにくと1時間以上待たされてしまうようだ。
 それでクライアントは、約束の時間は午後で良いと言っていたのか。
 仕方が無い。
 この町で、バスの時間まで時間を潰すとしよう。
 幸いダイレクトに、私の腹は昼食の時間であることを告げている。
 うむ。私の体内時計は正確だ。
 さて、と……。どこかで、昼食が取れる場所は……と。

 この田舎町、良く言えば静かなのだろう。
 だが、悪く言えば活気が無い。
 はっきり言って、寂れている。
 駅前の商店街は、軒並みシャッター街と化してしまっている。
 辛うじて、コンビニくらいは開いているが。
 長旅で疲れていることだし、どこかゆっくり座って食べたいものだ。
 私は寂れた商店街を歩いた。
 と!商店街の外れに、一見のファストフード店を発見した。
 こんな田舎町にも、ファストフード店はあるものだな。
 だが、チェーン店ではない。
 しかし店の入口には、ハンバーガーやフライドポテトの絵が描かれている看板が立っていた。
 一応営業しているみたいだし、ここに入ってみることにしよう。

「いらっしゃいませー」
 店に入ると、一応そこはベタな法則のファストフード店ではあるようだ。
 だが、外の商店街と同様、店内も活気が無い。
 何というか……チェーン店のそれと比べると、そんなに明るくない。
 それに、お昼時だというのに、私以外に客の姿が見受けられない。
 これでは開店休業状態だ。
 一応、カウンターレジの前には、20歳〜30歳くらいの店員の兄ちゃんが立っているが……。
「こちらでお召し上がりですか?」
「あ、はい」
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「あ、えーと……」
 店の雰囲気はチェーン店のそれと比べると違和感があったが、店員は普通のようだ。
 メニューを見ても、変な物が売っているという感じもしない。
 どうやら、私の思い過ごしであるようだ。
 私はメニューの中から商品を選んだ。
「この、Gセットを1つ。飲み物はホットコーヒーで」
 と、私が注文すると……。
「ええっ!?」
 店員は突然驚きの声を上げ、震える声でキッチンに言った。
「じ、ジ……Gセット……プリーズ……!」
「ちょ、ちょっと待て。ちょい待ち!何をそんなにうろたえてるんだ?」
「な、何言ってんスか、お客さん……?ぼ、ボクは何も……」
 店員は震えながら私の疑惑を否定しようとする。
 だが、態度が明らかにおかしい。
 これは事件の臭いか!?
 と、そこへ!
「ぅぎゃああああああああああっ!!」
 キッチンの奥から、断末魔が聞こえてきた。
「!!!」
 見ると、キッチンの奥から、血だらけの店員が倒れ込んできたではないか!
「どうした!?」
 レジの店員が、その血だらけの店員に駆け寄る。
「じ、じ……Gに、殺られ………た…………」
 ガクッと事切れるキッチンの店員。
「バイトくーん!しっかりしろーっ!!」
 こ、これはマズい!
 もしかして、とんでもない店に迷い込んでしまったのか!?
 いかにプロの探偵と言えど、犯人そのものと格闘するわけにはいかない!
 コナンや金田一だって、警察がいる前で真犯人を暴いているではないか。
 さすがに警察がいない所で、犯人と遭遇するのは、それはイコール死亡フラグを意味する!
 私は急いで、店の外に避難しようとした。
 確か、駅前に駐在所があったはずだ。
 取りあえず、そこへ行こう。
 だが!
「待てや、コラ!!」
 後ろからレジの店員に羽交い絞めにされた。
「わあっ!?な、何なんだ!?」
「アンタのせいで人が死んでんだっ!食ってから帰れ!!」
 朴訥な村の青年団員といった感じの店員だったが、今では鬼のような形相になっている。
 これは素直に従わないと、私もヒドい目に遭わされるかもしれない。
「わ、分かった!分かったよ!ただ、Gセットは危険なのでキャンセル!えーと……そうだ!チーズバーガー!チーズバーガーのSセットだ。これをくれ!」
「かしこまりました。……チーズバーガーは増殖するのとそうでないのとがありますが、どちらになさいますか?」
「いや、しない方に決まってんだろ!何だよ、増殖って!?」
「……ただいま、キャンペーン中ですので、こちらをどうぞ」
 店員はレジの下から、クジ箱を取り出した。
「くじ?」
 よくコンビニなんかでも、何百円以上お買い上げで1枚引けるというのがある。
 それをファストフード店で行うこと自体は、何らおかしいことではない。
 だが、何だろう?『クジ箱はミミックだった!!』的な展開がありそうな気がするのは?
「どうなさいました?」
 店員の目がギラッと光る。
「……手を入れた途端、噛み付かれる可能性はあるか?」
「な、何言ってんスか、お客さん。そんなこと、あるわけじゃないですか……。去年、別のクジ箱に手を入れたお客さんが、そのまま吸い込まれて亜空間に消えたくらいっスよ」
「何だよ、それは!?」
「今度は大丈夫ですって」
「本当だろうな!?」
 私はクジ箱に手を入れてみた。
 噛み付いて来ることも無ければ、吸い込まれることもなかった。
 指先は、確かにクジらしき紙の感触がある。
 私は1枚取って、手を抜いた。
「ほら、お客さん。普通のクジだったでしょ?」
「まあ、な……」
 早速私はクジの表面をコインで削ってみた。
 すると、現れたのは4等賞であった。
「ん?4等?当たりなのか?」
「はい。これはですね、今ならランダムで、セットをもう1つプレゼントというものでして、ここが剥がれるようになってるんスよ」
「そうなのか」
 私はクジの表面を剥がしてみた。
 すると、出て来たのは……。
「ら、ら……ラッキー……!じ、ジ……Gセット……プリーズ!」
「くぉらぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 その後、この店員の兄ちゃんも、血だらけの状態で発見されたという。
 この店で何が行われていたのか、今では知る由も無い。
 クライアントの依頼を解決した後、試しに再び行ってみたら、どういうわけだか自衛隊が出動しており、商店街が全て封鎖されていたという事実だけ確認できたことだ。
 何の事件だか知らんが、そっちからの依頼でなくて、本当に良かったと思う。
                                                         終
コメント (2)
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