[1月3日15:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 上落合公園]
稲生:「そ、それで……?一体、どういうことなんだ?」
エレーナ:「実は昔……まだマリアンナが見習だった頃、あの屋敷で集会が行われたことがある。もちろん、今建っている場所とは別の場所だったかな」
今は長野県北部の山中だが、稲生が初めてマリアの屋敷を訪れた時は南部にあった。
今はJR大糸線で向かうが、当時は飯田線で向かったと記憶している。
どちらもヘタしたら遭難フラグが簡単に立つような場所だ。
エレーナ:「まだその時はポーリン先生とイリーナ先生のケンカもそれほどでも無かったから、私も代表でお呼ばれしたんだが……」
その時、マリアが全員分の料理を用意したのだという。
当時はまだ人形を操る魔法が完璧ではなかった為。
エレーナ:「稲生氏、例えばカレーを作るとしよう」
稲生:「う、うん」
エレーナ:「カレーは作ったことがあるか?」
稲生:「いや、無いな。自分で作ろうとすると、どうしてもボンカレーになる」
エレーナ:「まあ、それは置いといてだ。作り方は分かる?」
稲生:「一応ね。肉と野菜を炒めて鍋に水を入れ、ある程度煮込んだらカレールーを入れるんだろ?で、そのルーが融け切るまでまた煮込むんだ」
エレーナ:「うん、まあ、だいたいそんなところだろうな。恐らく稲生氏が作る方が、まだフツーに食えるカレーができるだろう」
稲生:「マリアさんはそうして作らなかったの?」
エレーナ:「それが不思議なんだ。あいつも作り方は分かっていて、その通りに作り、材料もこっちの世界にある物だけを使ったはずなのに……」
稲生:「なのに?」
エレーナ:「いざ完成してみたら、この世の物とは思えない物が出来上がっていたんだ」
稲生:「ええっ!?」
エレーナ:「稲生氏、これはウソじゃないぜ?本当の話だ。後でポーリン先生が試食してみたら、『誰だ!?私が研究中の秘薬を完成させたのは!?』って驚いてたよ」
稲生:「カレーを作ってて、魔法の秘薬ができたぁ!?」
エレーナ:「だから本当なんだって!これは悪魔に誓って言えるからな?」
いつの間にかエレーナの背後にいる強欲の悪魔、マモンが大きく頷いた。
彼はキリスト教“7つの大罪の悪魔”の1人であり、エレーナの契約悪魔である。
エレーナ:「その魔法薬は体にいい物なんかじゃない。むしろ、サブウェポンとして使えそうなものだった。そんなもの口にしたら、【お察しください】」
稲生:「ほ、本当に?」
エレーナ:「だから即刻中止させろ。オマエとオマエの両親の無事を確保したければ!」
稲生:「わ、分かった!」
稲生は急いで家に向かった。
リリアンヌ:「え、エレーナ先輩……」
エレーナ:「イリーナ先生は先に出発したとか言ってたな。……逃げたな。弟子、ほっぽり出して」
リリアンヌ:「フヒヒ……」
[同日15:15.天候:晴 同地区 稲生家]
稲生は急いで近所の公園から家に舞い戻った。
すると!
稲生:「うっ!」
玄関から既に、異様な臭いが漂っていた。
稲生:「こ、この世のものとは思えない……」
稲生は口にハンカチを当てながらキッチンを目指した。
まるで火災の時、煙の中を避難するかのようだ。
で、ようやくキッチンに出るドアの前に辿り着く。
するとドアの向こうから……。
マリア:「Fuck!全然、柔らかくならないじゃない!」
とか、
マリア:「Shit!水の量が足りない!追加追加!」
とか、終いには……。
マリア:「Oh、no!何か変だと思ってたら、(料理本)1ページ飛ばしてたんだわ!」
とか聞こえて来た。
稲生:「だーっ!」
さすがに最後のセリフが聞こえて来た時、稲生はズッコケた。
稲生:(さ、最初は、どうせエレーナが『女子会の噂』を僕にタレ込んだだけだと思ってたけど……。どうやら、噂は本当だったっぽいぞ……。どうする?あの一生懸命なマリアさんをヘタに止めたら、僕が殺される。どうしたら、マリアさんの機嫌を損ねず中止させることができる……?と、取りあえず……)
稲生はキッチンの中に入った。
猛烈な臭いの源となっている場所にいるにも関わらず、マリアは全く気にする様子が無い。
マリア:「うーむ……。ここからどうしよう……」
稲生:「あ、あの、マリアさん……。もし良かったら、僕も手伝いますよ?悪戦苦闘されているようですし……ハハハハ……」
するとマリア、稲生をキッと睨みつける。
マリア:「『男子、厨房に入るべからず』でしょ!いいから、勇太は部屋でネットサーフィンでもやってて!!」
そして、凄い剣幕で稲生をキッチンから追い出した。
稲生:「は、はいーっ!(こあいよぉぉ……)」
というかマリア、よくそんな格言を知っているな。
ここは素直に従わなければ、死亡フラグが立ってしまう。
稲生は急いで2Fの自室に避難した。
臭いは2Fまで漂っていたが、稲生はエアコンと空気清浄機をフル稼働させて対応した。
稲生:「しょ、しょうがない。ネットで動画でも観るか……。えーと……何がいいかな?そ、そうだ。“アンドロイドマスター”でも……」
〔狂科学者:「ふははははは!ついに完成したぞ!あのマルチタイプに勝てる新型兵器が!これを稼働させれば、あの人型殺人兵器もスクラップ同然よ!山田君、早速このスーパーロックマンの電源を入れるのだ!」
山田:「はい、博士!」〕
稲生:「魔法と仏法漬けの生活だったからなぁ。たまには、こういうSFものでも観ておかないと……」
〔山田:「博士!準備ができました!」
狂科学者:「よろしい!それではスーパーロックマン、稼働!」〕
狂科学者がガチャンとレバースイッチをONにした。
〔ドカーン!〕
稲生:「ん?」
〔山田:「は、博士!漏電です!」
狂科学者:「このバカモノ!」〕
稲生:「はははははは!」
ドカーン!
稲生:「んんっ!?」
今度は部屋の外から爆発音が聞こえて来た。
稲生:「何だ何だ!?」
家の外からではない。
家の中からだ!
しかも下から!
稲生は急いで部屋の外に出ると、階段を飛び下りるように駆け下りた。
そこで稲生が見た光景とは……!
1:ガス爆発でキッチン全体が吹き飛んだ。
2:鍋が爆発していた。
3:マリアついにブチギレ、イオナズン発動!
4:一発逆転のパルプンテでまさかの自爆!
稲生:「そ、それで……?一体、どういうことなんだ?」
エレーナ:「実は昔……まだマリアンナが見習だった頃、あの屋敷で集会が行われたことがある。もちろん、今建っている場所とは別の場所だったかな」
今は長野県北部の山中だが、稲生が初めてマリアの屋敷を訪れた時は南部にあった。
今はJR大糸線で向かうが、当時は飯田線で向かったと記憶している。
どちらもヘタしたら遭難フラグが簡単に立つような場所だ。
エレーナ:「まだその時はポーリン先生とイリーナ先生のケンカもそれほどでも無かったから、私も代表でお呼ばれしたんだが……」
その時、マリアが全員分の料理を用意したのだという。
当時はまだ人形を操る魔法が完璧ではなかった為。
エレーナ:「稲生氏、例えばカレーを作るとしよう」
稲生:「う、うん」
エレーナ:「カレーは作ったことがあるか?」
稲生:「いや、無いな。自分で作ろうとすると、どうしてもボンカレーになる」
エレーナ:「まあ、それは置いといてだ。作り方は分かる?」
稲生:「一応ね。肉と野菜を炒めて鍋に水を入れ、ある程度煮込んだらカレールーを入れるんだろ?で、そのルーが融け切るまでまた煮込むんだ」
エレーナ:「うん、まあ、だいたいそんなところだろうな。恐らく稲生氏が作る方が、まだフツーに食えるカレーができるだろう」
稲生:「マリアさんはそうして作らなかったの?」
エレーナ:「それが不思議なんだ。あいつも作り方は分かっていて、その通りに作り、材料もこっちの世界にある物だけを使ったはずなのに……」
稲生:「なのに?」
エレーナ:「いざ完成してみたら、この世の物とは思えない物が出来上がっていたんだ」
稲生:「ええっ!?」
エレーナ:「稲生氏、これはウソじゃないぜ?本当の話だ。後でポーリン先生が試食してみたら、『誰だ!?私が研究中の秘薬を完成させたのは!?』って驚いてたよ」
稲生:「カレーを作ってて、魔法の秘薬ができたぁ!?」
エレーナ:「だから本当なんだって!これは悪魔に誓って言えるからな?」
いつの間にかエレーナの背後にいる強欲の悪魔、マモンが大きく頷いた。
彼はキリスト教“7つの大罪の悪魔”の1人であり、エレーナの契約悪魔である。
エレーナ:「その魔法薬は体にいい物なんかじゃない。むしろ、サブウェポンとして使えそうなものだった。そんなもの口にしたら、【お察しください】」
稲生:「ほ、本当に?」
エレーナ:「だから即刻中止させろ。オマエとオマエの両親の無事を確保したければ!」
稲生:「わ、分かった!」
稲生は急いで家に向かった。
リリアンヌ:「え、エレーナ先輩……」
エレーナ:「イリーナ先生は先に出発したとか言ってたな。……逃げたな。弟子、ほっぽり出して」
リリアンヌ:「フヒヒ……」
[同日15:15.天候:晴 同地区 稲生家]
稲生は急いで近所の公園から家に舞い戻った。
すると!
稲生:「うっ!」
玄関から既に、異様な臭いが漂っていた。
稲生:「こ、この世のものとは思えない……」
稲生は口にハンカチを当てながらキッチンを目指した。
まるで火災の時、煙の中を避難するかのようだ。
で、ようやくキッチンに出るドアの前に辿り着く。
するとドアの向こうから……。
マリア:「Fuck!全然、柔らかくならないじゃない!」
とか、
マリア:「Shit!水の量が足りない!追加追加!」
とか、終いには……。
マリア:「Oh、no!何か変だと思ってたら、(料理本)1ページ飛ばしてたんだわ!」
とか聞こえて来た。
稲生:「だーっ!」
さすがに最後のセリフが聞こえて来た時、稲生はズッコケた。
稲生:(さ、最初は、どうせエレーナが『女子会の噂』を僕にタレ込んだだけだと思ってたけど……。どうやら、噂は本当だったっぽいぞ……。どうする?あの一生懸命なマリアさんをヘタに止めたら、僕が殺される。どうしたら、マリアさんの機嫌を損ねず中止させることができる……?と、取りあえず……)
稲生はキッチンの中に入った。
猛烈な臭いの源となっている場所にいるにも関わらず、マリアは全く気にする様子が無い。
マリア:「うーむ……。ここからどうしよう……」
稲生:「あ、あの、マリアさん……。もし良かったら、僕も手伝いますよ?悪戦苦闘されているようですし……ハハハハ……」
するとマリア、稲生をキッと睨みつける。
マリア:「『男子、厨房に入るべからず』でしょ!いいから、勇太は部屋でネットサーフィンでもやってて!!」
そして、凄い剣幕で稲生をキッチンから追い出した。
稲生:「は、はいーっ!(こあいよぉぉ……)」
というかマリア、よくそんな格言を知っているな。
ここは素直に従わなければ、死亡フラグが立ってしまう。
稲生は急いで2Fの自室に避難した。
臭いは2Fまで漂っていたが、稲生はエアコンと空気清浄機をフル稼働させて対応した。
稲生:「しょ、しょうがない。ネットで動画でも観るか……。えーと……何がいいかな?そ、そうだ。“アンドロイドマスター”でも……」
〔狂科学者:「ふははははは!ついに完成したぞ!あのマルチタイプに勝てる新型兵器が!これを稼働させれば、あの人型殺人兵器もスクラップ同然よ!山田君、早速このスーパーロックマンの電源を入れるのだ!」
山田:「はい、博士!」〕
稲生:「魔法と仏法漬けの生活だったからなぁ。たまには、こういうSFものでも観ておかないと……」
〔山田:「博士!準備ができました!」
狂科学者:「よろしい!それではスーパーロックマン、稼働!」〕
狂科学者がガチャンとレバースイッチをONにした。
〔ドカーン!〕
稲生:「ん?」
〔山田:「は、博士!漏電です!」
狂科学者:「このバカモノ!」〕
稲生:「はははははは!」
ドカーン!
稲生:「んんっ!?」
今度は部屋の外から爆発音が聞こえて来た。
稲生:「何だ何だ!?」
家の外からではない。
家の中からだ!
しかも下から!
稲生は急いで部屋の外に出ると、階段を飛び下りるように駆け下りた。
そこで稲生が見た光景とは……!
1:ガス爆発でキッチン全体が吹き飛んだ。
2:鍋が爆発していた。
3:マリアついにブチギレ、イオナズン発動!
4:一発逆転のパルプンテでまさかの自爆!