報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「久しぶりの帰宅」

2023-03-13 20:13:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月26日19時15分 天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 夕方のラッシュに重なってしまった為、私達の車は都心部で渋滞にハマってしまった。
 しかも途中で雨が降ってきた為、尚更その渋滞は激しいものだった。
 リサなど疲れて、途中で眠ってしまったほどである。

 善場「お疲れ様でした」

 私達はマンション裏手の駐車場の方に車を止めてもらった。

 愛原「すいません。こんな時間まで……」
 善場「いいえ。さすがにしばらくの間、リサの監視は強化しなければなりませんので、仕方ありません」

 車から荷物も降ろす。

 善場「それでは明日、午前10時に当事務所までお願い致します」
 愛原「分かりました。ありがとうございました」
 善場「それでは、失礼します」

 マンションの中に入る。

 高橋「郵便物も一杯っスね」
 愛原「といっても、広告とかばっかりだろう?」
 高橋「まあ、そうっスね」
 リサ「お腹空いた……」
 愛原「そうだな。今夜はピザでも取ろう」
 リサ「おー、ピザ!」

 急いで部屋に戻る。

 愛原「新しい服は、ちゃんと畳んでおけよ」
 リサ「古い服はどうしよう?」
 愛原「古着屋に売ったりすれば、いくらかにはなるんじゃないか?」
 リサ「読者の皆さん、わたしのJCみたいなJK下着いる?」
 愛原「さりげなく売るんじゃねー!」
 リサ「ブルマも小さくなったから、穿けなさそう。穿けないこともないけど、きっとお尻に食い込んで、ハミパンしまくりだよ。……見たい?」
 愛原「と、年頃の女の子が、そんなはしたないこと言うんじゃありません!」

 私は母方の従姉の伯母が言っていたセリフを思い出し、それの真似をした。

 リサ「えー?先生だけだよぉ?」
 愛原「いいから、まずは着られなくなった服だけ片付けるんだ」
 リサ「はーい……」

 ユニクロでまとめ買いしたこともあり、リサの私服は当面困ることはないだろう。
 秋物や冬物は先に買っておいたのだが、夏物については来年また買えばいいだろう。
 あとは学校関係か。
 その前に……。

 愛原「ピザは何にする?」

 私は自分のスマホで、注文することにした。

 リサ「ミートピザ」
 愛原「やっぱり肉系か。高橋は?」
 高橋「先生と同じので、オナシャス」
 愛原「っつても、俺の場合、マルガリータだぞ?」
 高橋「マジっすか?」
 愛原「まあ、いいや。Lサイズ2枚頼めばいいな。ちょうど半額クーポンあるからいいや」

 リサは鬼だからガッツリ食うし、高橋も若いから結構食う。
 Mサイズでは足りないだろう。
 私みたいなオッサンは、Lサイズの半分でいい。
 がっつりした肉系を1枚、サッパリしたマルガリータを1枚にした。

 愛原「これでよし。注文完了」
 高橋「どのくらいで来ます?」
 愛原「30~40分くらいだって」
 高橋「じゃあちょっと、今のうちに出掛けてきます」
 愛原「どこへ?」
 高橋「コンビニっス。まあ、100円ローソンっスね。明日の朝飯の食材、ほとんど賞味期限切れになってますんで」
 愛原「マジで?」
 高橋「マジです。明日は、何にします?」
 愛原「簡単なものでいいよ。ベーコンエッグにトーストとか」
 高橋「分かりました。……あ、今度はBLTサンドで誤魔化したりはしませんので」
 愛原「ああ、そう」
 高橋「そういうのでしたら、100円ローソンで全部調達できますね。行ってきます」
 愛原「行ってらっしゃい」

 高橋が出掛けてピザが来るまでの間、リサは制服に着替えてみた。

 リサ「うう……やっぱりキツい」
 愛原「やっぱダメか」

 高等部のブレザーはダブルのボタンなのだが、リサの今のサイズではボタンが留められないでいた。
 また、スカートにあっても、アジャスター付きであるものの、それを全開にしても、ホックが留められないほどだった。
 元々が高等部用であっても、1番サイズの小さいものを購入していたのである。
 それが平均的な体型になったのだから、サイズが合うわけがなかった。

 愛原「一式、買い直しか……」

 確か、店によっては、子供の成長が想定外で、リサのように着られなくなって買い直す場合、下取り制度とかが無かっただろうか。
 さすがに消耗品扱いの体操服は無理だとしても、制服にはそういうのがあったような気がする。
 そして、新品が買えない家庭のコとかに安く払い下げたり、そうではなく、予備にもう1着欲しいというコに売ったりすることもあるそうだ。

 リサ「自分で言うのも何だけど、わたしの体、とんでもないね」
 愛原「その自覚があるだけマシってもんさ」
 リサ「ほんと!?」
 愛原「……あ、いや。最近の特級BOWは、自覚があっても、その力を故意に悪用したりするヤツとかが出てきたみたいだけど……」

 アメリカはルイジアナ州のルーカス・ベイカーとか、ルーマニアの片田舎の4貴族やマザー・ミランダとか。

 リサ「わたしは悪用しないよ」

 リサの場合、『寄生虫』をやや悪用していたフシはあったが、まあ、そのおかげで東京中央学園では一部ながらもブルマが復活したし、表立ったイジメは無くなったらしい。
 ただ、今はその『寄生虫』もいなくなり、代わりに電撃使いとなったリサは、今後その能力をどうするのか……。

 愛原「だと、いいんだがな」

 リサは久しぶりに帰ってきてホッとしたのか、第1形態に戻った。
 それまで1本だけだった角が、頭の両側に2本生えるようになる。
 耳が長く尖るのは、以前と一緒。
 そして牙も生えるが、他の歯もギザギザしているように見える。
 爪も長く、尖る。
 爪が長いと、スマホを操作しづらいようだ。
 リサは制服から、また元の私服に着替えた。
 先に高橋が帰ってきて、その後でピザが来た。
 私はピザだけで飲み物は買っていなかったが、高橋が気を利かせて、コンビニで飲み物を買ってきてくれた。

 高橋「リサはオレンジジュースだろ?」
 リサ「うん」
 高橋「先生、ビールは冷蔵庫の中です」
 愛原「ああ。さすがに缶入りだから、これは賞味期限が切れることはなかったな」
 高橋「当然です」
 リサ「ん?」
 愛原「どうした?」
 リサ「んー……」

 ピザを一口食べたリサだったが、何故か首を傾げた。
 変な味がするのだろうか?
 リサはオマケで付いていたタバスコの袋を開けると、それを掛けて食べた。

 リサ「ん!美味しい!」

 どうやら、味が物足りなかったようだ。
 しかし、今までそんなものは掛けずに食べていたリサだが、体が成長したことで、少し大人の味(辛味)に興味を持つようになったのだろうか。
 彼女の成長を喜ぶやら、寂しいやら……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「退所後の動き」

2023-03-12 20:13:01 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月26日14時00分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センターC棟→守衛所]

 地下研究施設の食堂で最後の昼食を取った後は、退所となった。
 リサに持って来た着替えはどれもサイズが合わず、辛うじて伸縮性のある白いTシャツはヘソ出し状態になり、これまた何とか伸縮性があるおかげでギリギリ穿ける黒い短パンを穿いていた。
 Tシャツの上に羽織るグレーのパーカーも、前のファスナーができないという状態であり、靴のサイズも合わない有様だった。

 愛原「うわ……、こりゃ一式全部買い直しか……」
 善場「費用は、こちらに請求して頂ければ大丈夫ですので……」
 愛原「は、はあ……」
 善場「やはり1つの場所で全ての物が揃えられる、ショッピングモールに立ち寄った方が良さそうですね」
 愛原「リサ、もう少し頑張れよ?」
 リサ「うん。大丈夫」

 リサの身長は、変異前は147cmであった。
 それが今は157cmになっている。
 だいたい、日本人の16~17歳くらいの少女の平均身長ほどだという。
 体重にあっては、50キロほど。
 これもまた、この年頃の女の子の平均体重ほどだという。
 尚、今の善場主任とだいたい体型が同じである。
 だが、胸のサイズは教えてはくれなかった。
 とはいうものの、それまでのブラのサイズが着けられないほどに合わなくなるほど大きくなったのは否めない。

 善場「最寄りのショッピングモールへ向かいます」
 愛原「よろしくお願いします」
 善場「この近くで東京方面ですと……」
 愛原「まあ、常識的に考えて、八王子近辺といったところですか」
 善場「そうですね。高尾駅近くにショッピングモールがございまして、そちらが最寄りのようです」
 愛原「分かりました」

 退構手続きを終え、私達は守衛達の敬礼に見送られてセンターをあとにした。
 車は黒のセレナである。
 運転は主任の部下の黒スーツにサングラスの人が行い、主任は助手席に座った。
 私達はリアシートに座る。
 真ん中に座る私に、隣に座るリサが引っ付いてくる。
 しかしながら、電気が伝わってくる感じはしない。
 上手く制御できているのだろうか。

[同日14時45分 天候:晴 東京都八王子市東浅川町 イーアス高尾]

 車は甲州街道(国道20号線)に出ると、東進する。
 そして、中央自動車道の相模湖インターから高速に入ると、また東に進んだ。
 中央道は八王子ジャンクションで降り、圏央道に移る。
 そして、圏央道の高尾山インターで降りると、国道20号線のバイパス、浅川トンネルに入る。
 そこを通り抜けて、今度は都道47号線に入って北上する。
 住宅街を抜けて、京王高尾線の高架橋の下を潜って右折すると、ショッピングモールが見えてきた。
 平日ということもあり、駐車場は空いていた。

 部下「この辺でいいですか?」
 善場「いいわ。ありがとう」

 車は空いている駐車スペースに止まった。

 善場「私も付き合います。一緒に行きましょう」
 愛原「どうも、すいません」

 主任の部下だけ、車の中で待っていることにした。
 私達は車を降りると、モール内に入って行った。

 善場「まずは靴を買いに行きましょう」
 愛原「はい」

 リサの服から靴から、全て一から買い直そうとすると、また費用が高くなりそうな気がする。
 まあ、まだ主任がいてくれるからいいが……。

 善場「まずは1足ずつ買っておきます」
 愛原「1足……ずつ?」
 善場「所長はお忘れですか?リサに必要は靴は、このプライベート用だけではないということを」
 愛原「あ……!」

 通学用の革靴や上履き、体育館シューズに至るまで買い直さないといけない。
 上履きや体育館シューズは、学校の購買で買えるからいいが、革靴は……。

 善場「幸い、ここには靴屋さんもあるので、揃えられるでしょう」
 愛原「そうですね」

 靴のサイズについてだが、計ってみると、2~3センチは大きくなっているのが分かった。
 これでは確かに、今の靴ではキツいだろう。
 逆に、今までよく履けていたものだ。
 幸いこのモールにはABCマートがあり、そこで靴は買い揃えられそうだった。

 リサ「おー!歩きやすい!」

 リサはピョンピョンと軽くジャンプした。
 それだけで、1メートルはジャンプしている。
 助走無しで数メートルジャンプできるという身体能力は、変異後も残っているようである。
 そして気づいたのだが、胸が揺れているところも見えた。
 これが平均的な体型だというのは分かるが、それまでがロリ体型だったものだから、何だかグラマーになったような気になる。

 善場「取りあえず、ここでは1足ずつです。まだ足りないようでしたら、後日、愛原所長に購入してもらってください」
 リサ「はーい!」

 通学用のローファーについては開けずに、箱に入ったまま持ち帰ることにする。

 善場「次は服ですね」
 愛原「ユニクロもあるようです。ここで揃えませんか?」
 リサ「いつもユニクロだもんね」
 善場「そうなんですか?」
 愛原「まあ、下着は別の所で買っているようですが……」
 リサ「『魔王軍』のメンバーとね」
 善場「まあ、あくまでも今回は、急場しのぎですから、しょうがないですね。そのサイズの合わなくなった服や下着を着けているわけにはいきませんから」
 愛原「そうですとも」

[同日17時00分 天候:晴 同モール]

 ユニクロで服や下着を選んだり、ケータイショップで新しいスマホを買い直している間に時間は過ぎてしまい、何とか終わる頃には夕方になってしまっていた。

 善場「案外、時間が掛かってしまいましたね……」
 愛原「す、すいません……」
 善場「いえいえ。予定を変更しましょう。このまま、所長方のマンションまでお送りします。今日これからお話しするはずだった内容は、明日に延期ということで」
 愛原「分かりました」
 善場「明日も明日で、新たに購入する物がありますから、それもお付き合いしますね」
 愛原「えーと……何でしたっけ?」
 リサ「先生、わたしの制服だよ。あと、体操服とか。絶対、サイズ合わなくなってるよ」
 愛原「あ……!」
 善場「それも注文してから、お話ししましょう」
 愛原「す、すいません」

 私達は車に戻った。

 善場「予定変更。行先を菊川のマンションにして」
 部下「はっ、了解しました」

 車はヘッドライトを点けて、駐車場を出た。
 10月も下旬に入り、段々と日が短くなっている。

 部下「八王子インターから、中央道に入ろうと思います」
 善場「そうして」
 愛原「すると、明日は学校制服の取扱店に行かないとダメか……」
 リサ「まあ、体操服なら購買でも買えるんだけどね」
 愛原「ああ、なるほど」
 リサ「でも、ブルマは売ってないだろうなぁ……。また、ネットで買うしかないか」
 愛原「サイズをちゃんと確認してから買うんだぞ」
 リサ「分かってるよ」

 リサは新しいスマホを操作した。
 自分のアカウントでLINEをログインすると、未読のメッセージが山ほどあったという。

 リサ「何か、わたし、死んだ噂が出てるよ!?フザけてる!」
 高橋「ヒャハハハハ!」
 愛原「え、そうなの?ちゃんと学校には『病気だ』って説明しているし、何なら栗原蓮華さんにも、そういう連絡はしてるんだがね」
 リサ「死亡説流したヤツ、わたしの電気流す!」

 リサの体がバチバチと発光する。

 愛原「おい、リサ!」
 リサ「……おっと!」

 幸い発光しただけで、放電や漏電することはなかった。
 どうやら、興奮状態によっても、そういった現象は起きるようである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「少しずつ緩和される隔離」

2023-03-12 16:22:44 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月25日13時00分 天候:不明 神奈川県相模原市緑某所 国家公務員特別研修センター地下研究施設・食堂]

 リサ「やった!先生と一緒!」

 面会後、昼食はリサと一緒に取れるようになった。
 それでも、リサはゴムのウェットスーツを着せられたままだ。
 手にはゴム手袋である。

 愛原「それ、何だか暑苦しいな」
 リサ「そうなの。蒸れて嫌になる」
 善場「漏電の恐れは無いと判断されれば、今日中には脱げると思いますよ」
 リサ「そうかぁ……」

 一緒に食事をしてみて分かったが、やはりリサの体は成長している。
 今なら高校生と言われても、そんな気がする感じだった。
 それまでは高橋が言っていたように、中学生にしか見えない状態だったのだが。

[同日16時00分 天候:不明 同施設・カンファレンスルーム]

 研究員「今現在、Gウィルスは活性状態にあります。と言いましても、これまで通りの状態に戻ったというだけでありますが。『アイコール』投与の際にGウィルスの力が一時的に弱まり、その間に成長ホルモンが分泌され、身体の成長に繋がったものと思われます。ですが、『アイコール』だけでそのような効果があるのか、はたまた彼女が保有している特異菌も影響していたのか、それはまだ不明です。確実に言えるのは、『アイコール』が何がしかの作用を及ぼし、それがGウィルスの一時的な不活性化に繋がったということです」
 愛原「今現在は通常の状態ということは、再びリサの成長は止まったということになりますか?」
 研究員「その公算は大きいかと」

 すると、今の体型に合わせたサイズの服を買ってあげればいいわけだな。
 それでも、やっと高校生に見えるくらいの体型に成長できたのだから良かったではないか。

 研究員「それでは次に、彼女の放電体質に対する調査結果ですが……」

[同日18時00分 天候:不明 同施設・食堂]

 再びリサと一緒に食事。

 愛原「って、おおっ!?」

 リサは今度はウェットスーツは着ておらず、紺色のワンピース型の検査着を着ていた。
 しかし、先日の戦闘データ採取の時と同じような測定器を何個も取り付けられている。

 リサ「ウェットスーツは脱いでいいんだけど、今度はどれだけの自然放電なのか知りたいから、これを付けるんだって。動きにくいったら、もう……」

 見た感じ、特にリサは放電している感じはない。
 火花が飛び散っている感じもないし。
 もちろん、鉄道の架線や高圧電線を見ても電気なんか見えないのと同じことだがな。
 リサが放てる電気の強さは、最大1500ボルトとのことだ。
 尚、電流を放つと腹が減るらしい。
 また、体内の寄生虫は殆ど死滅し、新たに復活することもない。
 また元の悪食に戻って、虫を食べなければの話だが。

 愛原「大変だな。でもまあ、それももうすぐだ。このまま何も無ければ、明日には退所できるぞ」
 リサ「うん。明日かぁ……。じゃあ、学校に行けるのは明後日かな……」
 善場「いえ。今週中は自宅待機してもらいます」
 リサ「えっ?」
 善場「日常生活に支障が無いかどうかを確認してからです。もし学校で漏電なんか起きたら、大変な事態になります」
 愛原「直流1500ボルトか……。電車が走れるな」
 高橋「凄いっスね」
 リサ「ちぇっ。コジマやヨドバシにも連絡できていない……」
 善場「ここを退所できたら、連絡してもいいですよ」
 リサ「スマホが壊れたの」
 愛原「服と一緒に、スマホも買い直さなきゃならんか……」
 善場「退所の後、うちの事務所まで来て頂きます」
 愛原「えっ?」
 善場「車で向かいますが、途中のショッピングモールに立ち寄りましょう。そこで服や新しいスマホを調達しましょう」
 リサ「! おー!」
 愛原「ありがとうございます」

[同日21時00分 天候:雨 同センターC棟]

 消灯時間になった為、私達はリサと別れ、再び地上へと戻って来た。

 愛原「久しぶりの地上だ。……雨降ってるんだ。地下にいたら、分からなかった」
 高橋「そうっスね」
 善場「何も無ければ、明日の午後には退所できるでしょう。明日まで、よろしくお願いします」
 愛原「分かりました。それでは、失礼します」

 善場主任はA棟に向かって行った。
 主任はA棟に泊まっているのだろうか。

 高橋「先生。シャワーに行きますか?」
 愛原「そうだな。味気ないシャワーだけの生活も、今夜で終わりか」
 高橋「長かったっスねぇ……」
 愛原「他の顧客の仕事も受けられなかったし、やっと業務再開できるな」

 もっとも、デイライトさんから報酬は頂いているのだが。

 愛原「その前に、洗濯に行くか」
 高橋「ああ、そうっスね」

 A棟とC棟にはコインランドリーがある。
 そこで、今まで着た服などを洗濯しようと思った。
 リサのヤツ、ショーツしか洗い物を寄こしてこなかったのは、ブラはサイズが合わなくなって着れなくなったからだろうか。
 服は検査着などを支給されているので。

 愛原「ここは本当、現金がモノを言うな」
 高橋「キャッシュレスとは、ほど遠いっスね」

[10月26日07時00分 天候:晴 同センターC棟313号室→A棟食堂]

 昨夜は緊急のアラームが鳴るわけでもなく、連絡も何も無かった。
 少なくとも、昨夜は何も無かったというわけだ。

 愛原「ここでの生活も、もうすぐおさらばになりそうだな」
 高橋「長かったっスねぇ……」
 愛原「顔洗ったら、食堂に行くぞ」
 高橋「ういっス。リネンは確か、外に出しておけば良かったんでしたっけ?」
 愛原「そうだな」

 このセンターでのルール。
 最終日の朝は、ベッドのリネンを全て剥がして、廊下に出しておくというもの。

 愛原「あとは荷物をまとめて、食堂に持って行く……と」
 高橋「了解っス」

 つまり、もうこの部屋に来ることはないということだ。

 愛原「おはようございます」

 A棟に行くと、善場主任が待っていた。

 善場「おはようございます」
 愛原「昨夜は何も無かったようですね?」
 善場「そのようです。朝食を取りましたら、また地下へ行きましょう」
 愛原「今日は何をするんですか?」
 善場「それまでの研究・調査結果のまとめと、今後の方針、そして注意事項の確認などですね」
 愛原「分かりました」

 私達は荷物を持って、食堂に向かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「リサの体の変化」

2023-03-12 11:26:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月24日19時00分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区 国家公務員特別研修センターC棟→A棟]

 エレベーターでC棟に戻って来た私達。

〔ドアが閉まります〕

 夕食を取る為にA棟の食堂に向かうのだが、BSAA達が何やら騒がしかった。
 リサは暴走していないどころか、むしろあの電撃が役に立つということが分かりそうなのに、どうしたのやら……。

 善場「どうやらリサに危険が無いようなので、北米支部は引き上げるようです」
 愛原「そうなんですか」
 善場「リサがここを出るまで、日本地区本部は残りますけどね」
 愛原「なるほど……」

 通りで、建物裏が騒がしいと思った。
 建物の裏手はグラウンドになっており、緊急時にはヘリポートや臨時の駐車場、あるいはキャンプ場になるという。
 今はBSAAが駐留場所として使用しているわけだ。

 愛原「おおっ!」

 私達がA棟の中に入ろうとした時、BSAAのヘリコプターが飛び立って行った。
 ボディにアメリカの国旗がペイントされているので、北米支部だと分かる。
 北米支部というと、アメリカの他にカナダも含まれているようだが、カナダに地区本部があるのかどうかは分からない。
 とにかく、ヘリが3機飛び立って行ったが、どれもがアメリカの国旗を着けていた。
 恐らく、出向元である米軍基地に帰るのだろう。
 この近くだと、横田基地とか厚木基地だろうか。
 BSAAは専属の隊員もいるが、多くは自国の軍隊からの出向である。
 その為、日本地区本部は自衛隊からの出向者で賄われている。
 北米支部のアドバイザーであるクリス・レッドフィールド氏などは、元はアメリカ空軍の出身で、その後は退役してラクーン市警察の特殊部隊に配属され、その後、結成されたBSAAの立ち上げ組にいる。

 高橋「これで、少しは静かになりますかね」
 善場「何しろ彼ら、食堂でパーティーとかやってましたからね」
 愛原「昨夜なんか、グラウンドでキャンプファイヤーやってませんでした?」
 高橋「自由な軍隊だぜ、全く」

 私達は静かになったA棟に入り、そのまま食堂に向かった。
 今夜はカツ煮定食である。

 愛原「リサの検査や実験は、あとどのくらいで終わるのでしょうか?」
 善場「そうですね。あまり学校を休むわけにはいきませんし、今週末には桧枝岐村での調査も控えています。リサに暴走の危険性が無いのであれば、そろそろ引き上げたいところですね」
 愛原「ですよねぇ……」
 高橋「でもよ、今は高圧電流を放つ化け物だぜ?まかり間違って、漏電でもしたらどうするよ?」
 愛原「それは危ないな」

 それで研究所内では、ゴムのウェットスーツを着せられていたりしていたのだが、いつまでもあんなもの着ているわけにはいかないだろう。
 リサ的には、段々制御のコツを掴んできたと言っているが……。

[同日21:00.天候:晴 同センターC棟]

 夕食を終えて、私と高橋はC棟に戻った。
 今ではリサに対しては、普通の電話なら自由にしても良いことになった。
 リサのスマホは、浜町で変化した時に壊れてしまったらしい。
 私はロビーにある内線電話で、リサのいる部屋に掛けた。

 リサ「……あ。もう消灯時間だって」
 愛原「じゃあ、また明日な。また明日、面会に行くから」
 リサ「分かった。……おやすみ」
 愛原「ああ、おやすみ」

 私は電話を切った。

 高橋「先生、シャワー行きますか?」
 愛原「ああ。こう毎日、シャワーだけだと、味気ないな」
 高橋「こっちにアメリカ人どもが泊まれば良かったんですよ」
 愛原「まあまあ」

 私と高橋は一旦部屋に戻って、洗面道具を手にシャワー室へと向かった。

 愛原「リサがここを出られたら、また温泉にでも行くか」
 高橋「いいっスね!?やまなみ温泉っスか?それとも、京王高尾温泉?」
 愛原「どうしようかなぁ……」

[10月25日10時00分 天候:晴 同センター地下施設カンファレンスルーム→面会室]

 善場「今日、一通り実験と検査を行いまして、特段変化が無い限り、明日には退所できそうとのことです」
 愛原「おおっ、やった!」
 高橋「俺達も出られますね!」
 愛原「事故処理については、どうですか?」
 善場「それは忘れてくださいと、申し上げたはずですが?それとも、記憶操作の実験で、もう1週間ほど滞在されますか?」
 愛原「い、いえ、結構です!失礼致しました!」
 善場「気になるのが、リサの体の変化なのです」
 愛原「また何か変化が?」
 高橋「今度は角が3本になったとか?」
 善場「いえ。いわゆる、『第0形態』になることは、できるようになったようです」
 愛原「おおっ!」

 鬼の姿から人間の姿に化けれるようになったか!
 だったらもう、今すぐ退所してもいいのではないかと思ったが……。

 善場「体重が増加したようですね……」
 高橋「こんな所に閉じ込められて、食っちゃ寝してたら、太るんじゃねーの?」
 善場「それが、身長も伸びているのです。これの原因について、今日はメインで調査したいようですね。もちろん、電撃のことについても同時進行で」
 愛原「ええっ?」

 その後、私達は面会室に移動した。

 リサ「先生!」
 愛原「リサ」

 向こう側から入って来たリサは、確かに少し身長が伸びて、体つきも大人っぽくなったような気がした。
 元々が年齢不相応のロリ……もとい、小柄な体型だった。
 今月17歳になったばかりの高校2年生のはずが、未だに13~14歳ほどの中学2年生と称しても全く違和感が無いほどに。
 これが今や、年相応に近くなりつつあるといった感じだった。
 そもそも、どうしてそんなことになっていたのかというと、偏にGウィルスの影響である。
 Gウィルスは感染者の遺伝子を変化させる為、故意に投与すると化け物になる(例、ウィリアム・バーキン博士)。
 例えワクチンを打ったとしても、残ったウィルスが形を変えて感染者の遺伝子に残り、多くは成長ホルモンに影響を与える為に、体の成長が阻害されるのだという。
 その為、今ではアメリカ政府のエージェントであるシェリー・バーキン氏も、大人のアメリカ人女性にしては小柄な体型だというし、善場主任もそうである。
 もちろん、リサとて例外ではなかった。
 それが、急激に体が成長したというのは……。

 愛原「確かに、背が伸びたな?」
 リサ「そうなの。服とかがもう小さくなっちゃって……」
 愛原「……そりゃマズいな」

 ゴムのウェットスーツは、元々大人用だからキツくはないようだが……。

 善場「ここを出る時には、新しい服を調達した方が宜しいみたいですね」

 善場主任は小さく溜め息をついたのと同時に、今まで見せたこともないような、何とも言えない表情を見せていた。
 体の小ささは善場主任にとっても、何がしかのコンプレックスだったようだ。
 もしもリサの体の成長の原因が分かれば、善場主任もそれを改善できるかもしれないのだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「リサの研究は続く」

2023-03-11 20:54:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月24日15時00分 天候:不明 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター地下研究施設]

 いくらメタリックで明るい照明とはいえ、ずっと地下にこもっていると、何だか感覚が狂うような感じになる。
 研究員達は好きでここにいるんだろうが、確かにリサは何日もここに閉じ込められて、大変だろうなぁ。
 そう思っていると、新たな実験が行われるとの情報が入った。
 それはこの施設の更に下層部分にある空間だった。

 善場「この下には、闘技場のような空間があります。BOWの運動能力や戦闘力を確認する為なのですが、リサの電撃がどれくらいの物なのかの実験です」
 愛原「ええっ?」
 善場「まだ脱走していないハンターがいますので、リサと戦わせます」
 愛原「危険じゃないですか?また脱走したりしたら……」

 下級BOWたるハンターが、特級BOWのリサに勝てるわけがないから、リサの命の心配はしていない。
 それまでもリサは、持ち前の戦闘力でハンターを屠ったことがある。

 善場「もちろん、BSAAの協力は欠かせません。BSAAに警備してもらい、万が一のことがあったら、すぐに対処できるようにしておきます」

 2階席のような部分にBSAAの狙撃兵を何名か配置しておき、万が一リサが負けたり、ハンターが脱走しようとしたら、すぐにそれで射殺するようにするのだという。
 リサはそれでは死なないが、ハンターなら死ぬ。
 奇しくも、準備中のリサとはモニタ越しでまた会話することができた。
 リサの体には、様々な測定器が付けられている。
 これでは戦いにくいのではないかと思うが、ハンターの方も片足には鉄球が取り付けられており、これでだいぶ動きが遅くなるのだそうだ。
 今回の目的は、リサの電撃による戦闘データの確保にあり、ハンターとの勝敗ではない。

 愛原「リサ、頑張れよ!」
 リサ「要するに、わたしの電撃でハンターを倒せばいいんだね?」
 愛原「そういうことだ」

 リサが先に闘技場に入る。
 彼女は検査着ではなく、私が差し入れしたTシャツに黒い短パンを穿いていた。
 そこに腕やら頭やら足やらに、測定器が取り付けられている。
 そして、反対側の大きな鉄扉が開き、そこからハンターαとγが現れた。
 γは両生類を改造して造ったハンターである為、爬虫類から造ったαやβのように、鱗は無いのだが、蛙のような大きな口を開け、それで獲物を丸呑みしてしまうのが特徴だ。
 1度丸呑みされると、2度と出て来れられない。
 αやβは首狩りという即死攻撃を行うが、γはそれと比べれば動きが鈍いということもあり、そのような攻撃は繰り出さない。
 その代わり、丸呑み攻撃が即死攻撃の代わりと言える。

 高橋「ヒュー!1対2か!昔を思い出すぜ!」
 愛原「高橋、うるさい」

 私達はカンファレンスルームのモニタで、闘技場の様子を見ていた。

 高橋「レディー……ファイッ!」
 愛原「だから……」

 まずは動きの素早いハンターαがリサに飛び掛かった。

 リサ「わたしをナメるな!」

 リサは右手を前に突き出して、掌から電撃を放った。
 すぐにαが感電して、仰向けに倒れ、ビクンビクン震えている。
 γは口を大きく開け、リサを丸呑みにしようとした。
 γは他のハンターと比べれば、圧倒的に耐久力が強い。
 だが、口を大きく開けた際、その中が弱点となる。

 リサ「よっと!」

 リサはサッと後ろに下がり、またもや電撃を放つ。
 γに電流がまとわりつくように、火花が飛び散るが、あまり感電している感じが無い。

 リサ「口の中に当てなきゃダメか……」

 またもやγが口を大きく開けて、リサに向かってきた。

 リサ「今度は両手!」

 リサは右手と左手、両方突き出して、両手から電撃を加える。
 口の周りに感電したことで、さっきよりはダメージを受けたγだったが、それでも倒れない。

 ハンターα「ガァァッ!」

 そうしているうちに、αが復活してしまった。

 リサ「おっと!」

 リサ、何を思ったか、あえてγに接近し、γの横に立った。

 ハンターγ「???」

 何と、γのヤツ、リサが真横にいることに気づいていないようだった。

 善場「γは他のハンターと比べて視力が弱いそうです。視野も狭いので、真横に立たれると見えないようです」

 だったら後ろに立てば良いと思うだろうが、何故かγはリサの方を振り向くことはなかった。
 リサとは反対側を向いたり、後ろを向いたりはするのだが、例えばリサが右脇に立つと、何故かγは右を向こうとしない。
 何かの習性なのだろうか?

 ハンターα「ガァァッ!」

 もっとも、それはγだけのこと。
 αには、そんな小細工通用しない。
 γは種類違いの仲間だと思うのだが、リサを攻撃したいのに、γが邪魔なので、ついにγを攻撃してしまった。

 ハンターγ「ギャァァッ!」
 ハンターα「ガァァァッ!」

 ハンター同士の同士討ちが始まる。
 リサはこれを狙っていたのか?
 そして、γが大きな口を開いて、αに食らいついた。
 γもそうだが、αも巨体である為、なかなか丸呑みできない。

 リサ「今だ!」

 リサはαの腕にしがみ付き、全身から電流を放った。

 ハンターα「ギャアアアアッ!!」

 まずはαが感電し、そのαを丸呑みしようとしていたγの口の中にも電流が流れ込んできて、γもついに感電した。

 リサ「しばらくこれで動けないでしょ」

 リサのヤツ、捨て身の攻撃をしたように見えたが、自身は全く感電していない。
 まあ、電気ウナギが自分の放電で感電するわけがないのと同じか。

 リサ「ねー?これで終わり!?」
 研究員「えー、確認します」

 研究員、ハンター2匹の生体反応を見る。

 研究員「2匹とも心肺停止の状態により、戦闘続行は不可能と判断!よっと、リサの勝利!」

 ハンター2匹の体からは、煙が立ち上っている。

 愛原「す、凄いな、あいつ!」
 高橋「人間発電機っスね。……あ、人間じゃねーかw」
 善場「フム。これはイケるかも……」

 善場主任も、興奮を隠しきれないでいた。
 カメラで見る限りでは、リサの自我は特に失われていないようだ。
 どうしてあんなことができるようになったのかまでは知らないが、悪用さえしなければ、別に大丈夫なんじゃないか?
 あとは、漏電とかに気をつけるとか……。

 控室に戻ったリサを私が労ってやると、リサは照れ笑いを浮かべていた。
 後に特異菌とGウィルスが絡み合ったところに、『アイコール』の成分が混じり、何らかの変異を起こした故での能力ではないかと結論付けられた。
 何らかとは何か、というのは引き続き研究課題となると……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする