*さを鹿の妻呼ぶ山の丘辺なる 早田は刈らじ霜はふるとも(万葉集巻一○・二二二○)
(雌雄の鹿が啼き交わす里山の近くの稲は刈り取らないでおこう。たとえ霜が降っても。の意)
ここ湧水田の周りには雪はないけど、冬の田圃は霜枯れている。
たにしもどぜうもオケラも泥土の中。藁の下にもなにやらじっとしている。
里山の新年は静寂そのもの。鎮守の森に人影なく。凧揚げ、こま回しの音もなく。
たにしが霜田でみた初夢はおぼろ。瑞風が渉っていった。
小泉首相の「正鵠を射た」新春記者会見。
海の向こうから声高のカウンター風が来そうだ。
「靖国やめて」関係修復しても、次は「教科書」がカード。
さらに次に……、そして遂に……、
たにしは土中深くアブクを噴いた。