水車馬を囲む 小藪や 烏瓜 正岡子規
地と水と人をわかちて秋日澄む 飯田蛇笏
草々の呼びかわしつつ枯れてゆく 相生垣瓜人
晩秋から初冬へ。大気が澄みわたり、
遠くにあった里山や木々が近づく。
夏の間、葉や枝に絡み付いて伸びた蔓草。
繁茂していた藪垣も、葉が散り果てて、
覆い隠していた姿が透けてくる。
真夏の宵に、糸状に裂けた白い妖しい花。
夜の蛾を誘い受粉した、カラスウリの花。
この季節になると、赤い実となって姿を現す。
やがて霜が降り、赤い実も色が抜け灰色に変わる。
秋が終わり冬の訪れである。
タニシには、最も自然の気配が身にしみて、
たそがれを感じるときだ。