たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

向島百花園 萩のトンネル スカイツリー

2010-10-13 06:51:23 | 散策の詩

仲秋の3連休の一日、たにしの爺は 東京散策に出かけました。
上着が邪魔になるほどの暑さでした。

まず、JR総武横須賀快速線の錦糸町駅で下車、
メトロ半蔵門線に乗り換え一つ目の「押上」まで。
そこはスカイツリーの直下で、秋天に突き建っていました。
(スカイツリーについては別に更新します)

今回は、かねてから訪ねてみたかった「向島百花園」を報告します。
案内のパンフには「江戸の文人趣味漂う、四季の百花咲く園」として、
国指定の名勝・史跡と記されています。
パンフの写真は「ハギのトンネル」です。



入園料150円を払って木製の、それほど大きくない門を入ると、
大きな公園のように思っていましたが、秋の草花の庭の感じです。
入り口から右手の方に歩くと「ハギのトンネル」に入ります。



「ハギのトンネル」は「月見の会」と並んで「百花園」秋の名物イベント。
「ハギを竹の柵にそわせたトンネル状にした園路。初秋を彩るこの園の名物で、全長30メートルの花のトンネルになります」と記されていました。



かなりの人出です。当然、中高年ばかり。
入り口から出口まで人が続いていてシャッターチャンスがありません。
少なくなるまで待機してはカシャ、カシャしました。



ハギは盛りを過ぎていましたが、頭上から細い柄が垂れ下がり、
シロハギも多く、小さな紅白の花が散りばめられた、
万華鏡の中を歩いているような感じです。
行灯も二つ三つ、灯が入る夜間はまた趣が変わるのでしょう。



この「百花園」をラブスポットとして登場させた本があります。
小川糸さんの「喋喋喃喃」―-この本については、すでにこのブログで書いてあります。
「桜の花びらごとに 「喋々喃々」小川糸」

本には次のような場面がありました。
栞さん、日暮里で趣味の和装店を開いている佳人が、男に誘われて月見の会に行く。
仲秋の宵、ラブラブしながら逍遥します。262ページから。
<私と春一郎さんは、まだ完全に暗くなる前に、園内をぐるりと一周することにした。「しおん」「しもつけ」「げんぺいもも」「まゆみ」「さるすべり」など、まるで幼稚園児の名札のように、はっきりと大きな文字で木版に名前が記されている。
「萩のトンネルだって」
……………目の前に、細い竹をアーチ状にして並べ、そこに萩を沿わせて作った狭いトンネルが続いている。…………中は薄暗く、所々に行灯の明かりがぼんやりと浮かび上がっている。紫の小花をつけた萩の花が垂れ落ちて、優艶な雰囲気を出していた。私たちはトンネルを抜け、さらに園内をそぞろ歩いた。
「本当に素敵な場所ですね」私は、春一郎さんと手つないだまま言った。池にかけられた小さな橋を渡るときに、私の方から手をつないだのだ。>………………………………………………………………… 後は本でどうぞ。



盛りの過ぎた花もありましたが、小さな池や橋、細い曲がりくねった道の両脇は、
秋の花園です。歌の付いた行灯が並んでいます。
爺には連れ添う佳人もなく、甘酒1杯300円すすって退園しました。

次回は「ハギのトンネル」以外のことを報告し、その後、スカイツリーの写真にします。