たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

大型活字本で読む葉室麟「蜩ノ記」

2018-10-05 20:18:02 | 本・読書

大型活字で読む時代小説。
葉室麟シリーズ4作目は「蜩ノ記」
これまでに葉室作品は「冬姫」「川あかり」「蛍草」「潮鳴り」
の読みレポを書きました。

今回の「蜩ノ記」は「小説NON」(祥伝社)に、
2010年11月号から2011年8月号まで連載され、
第146回直木賞受賞作です。
葉室さんの代表作品ですね。
作品を読む前に映画でも見た作品です。



舞台は豊後(大分県の南部)・羽根藩(うねはん)。
七年前に藩主の側室と不義密通の疑いで、
僻村の向山村に幽閉されている戸田秋谷・
(映画では役所広司)が主人公です。
秋谷は10年後の切腹と家譜の編纂を命じられている。



その戸田秋谷の監視を命じられているのは、
城内で刃傷事件を起こしたが家老らの温情で、
切腹を免れた檀野庄三郎(映画では岡田准一)。

庄三郎は秋谷の切腹の期日まで、
病床の妻・織江(映画では原田美枝子)、
娘の薫(映画では堀北真希)、
息子の郁太郎(映画では吉田晴登)らと寝食を共にする。



切腹の時が近づく日々、潔い秋谷の姿。
家譜編纂に正確を記し、誠実を尽くす日々。
息子の郁太郎が農民の子らたちとの交わす正義の絆。
運命を静謐に過ごす戸田家の人たち。

庄三郎は、武士としての生き方に感慨を覚え、
秋谷に課せられている罪状に疑念を持つようになる。
秋谷の家族を守りたいと思うようになる。



映画は、四季折々の美しい風景の中で、武士の矜持が凛として描かれる。
少々長い映画でしたが、
後半の雪原中での壮絶な殺陣シーンは圧巻でした。

庄三郎を演じた岡田准一が上映中の「散り椿」の、
瓜生新兵衛として再び葉室作品に帰ってきた。



映画「散り椿」は後日、フォローします。