大活字で読む本シリーズ今回のレビューは、
痛快サラリーマン劇場でした。
池井戸潤著「ロスジェネの逆襲」です。
そう、あの半沢直樹シリーズの3冊目です。
社会現象にもなった話題のテレビドラマだったようですが、
たにしの爺は、一度も視聴したことがありませんでした。

2月始めに図書館の大活字本のコーナーで見つけました。
本のサイズも大型で文字も22ポイントのゴシック体。
目の治療中の爺にとっては行間も広く、
「視界明瞭」で超具合よく読めます。
読み始めたら止められない。痛快で面白い企業小説。
「企業買収(M&A)」の裏で暗躍する金融証券業界の攻防。
全く畑違いの分野で過ごした爺にとって興味深いものでした。
主人公の半沢直樹は、
東京中央銀行の子会社「東京セントラル証券」に出向して半年。
振興IT企業から、ライバル会社の敵対的買収の依頼を受け、
アドバイザー契約を結ぶが、担当部下らの不手際で、
依頼企業の怒りを買って契約を破棄されてしまう。

その企業と新たなアドバイザー契約をしたのが、なんと、
なんと、半沢の出向元の東京中央銀行の証券事業部だった。
「この借りは必ず返す。やられたら倍返しだ」と、
半沢の心に火が付いた。敵は親会社の証券部だ。
親会社を相手に緻密な戦略を組み立て「大逆転」の勝利。
そんな半沢に待っていたのは、
本社に帰任し「次長」職を命じる辞令だった。

たにしの爺、2月になって、いささか鬱気味でいたが、
勧善懲悪の痛快ストーリーに魅せられ読み終えました。
ストーリーの縦線は次長部課長など役職の役割劇ですが、
中心をなす横線はバルブ期、ロスジェネ世代など、
世代間の優劣、ライバル・競争など葛藤が中心になっている。

憂鬱で「徘徊世代」のたにしの爺、痛快でスカッとするような、
大逆転の非日常的な夢のような日が来ないかと妄想しています。
そんなことあるわけないよな……

「ロスジェネの逆襲」池井戸潤による日本の経済小説。
『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)に連載され、
2012年6月に単行本化、2015年9月に文春文庫。