雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

二度目のロンドン64 袖振り合うも他生の縁

2025-01-26 14:10:27 | Weblog
ハイドパーク南側にあるエリザベスゲートを出て、少し南にいくと、地下鉄ナイツブリッジ駅があり、ハロッズがすぐそばにある。その間を埋めるかのように続くスロン・ストリートとその路地裏には高級ブランドショップから小さなパブやショップまでが密に軒を連ねる。のどやかさの漂うノッティングヒルとは違った景色が広がっていた。
写真は、その路地裏にあるパブにて。

【隣人との軽やかなコミュニケーション】
当ブログの二度目のロンドン58でも少し触れましたが(https://blog.goo.ne.jp/madoka1994/e/f73a914a8cbbc90c644cefb69035104b)ビクトリア公園から148番バスで帰宅しようとしたときのこと。なぜか、途中で道が片側封鎖の憂き目にあい、あらぬ方向で降ろされてしまいました。そして別のバスに集団で乗り換えました。

いつものことなのか慌てる客は一人もおらず。後ろの席のコロンビア出身のおばさんとジャマイカ出身のおじさんの世間話が聞こえてきて楽しい時間を過ごせました。

内容は「どこ出身なの?」という会話なのですが
(別のバスに乗ったときも、乗り合わせた隣同士で「Where are you from?」とやっていたので、そういうお国柄なのか?)
その会話の弾み方がすごい。
ファミリーヒストリーをお互いに話しはじめ、最後には意気投合。まるでセッションのようなリズムでした。

音楽ってこうやって生まれるのかもしれないな、などと思いつつ、数日後に行ったノッティングヒルズのポートベロー道路沿いに繰り広げられるフェステバル北側の最終地。音楽会場に、なんと、あのバスでお目にかかったジャマイカのおじさんがいたのです。ほんもののミュージシャンで、たゆたうようなレゲエを披露していました。

音楽の生まれる街! ちょっと雰囲気的には吉祥寺などの中央線界隈の匂いがします。



 そこからバスで南下。ケンジントン宮殿脇のヴィクトリア時代の風情の薫るブティック通りを横目でみて、ハロッズ周辺の入り組んだ路地裏に行きました。

パブが立ち並ぶ一角でフライドポテトとコロッケと牛肉のワイン煮と黒ビールを注文。シェアハウス近くのいつものパブより、値段も高く、メニューも張り込んだわりには、ぼやけた味で、ビールで流し込む感じとなりました。

でも場所がいいのか、雰囲気がいいのかお客さんでほぼ満席です。店内も古くからのパブのしつらえが残っていて雰囲気は重厚。犬連れで散歩中に立ち寄った方も複数いました。

ワンちゃんかわいいな、と、目を細めていたら、隣に座って食事をされていた常連らしきおばさまが、私に向かって軽やかに

「エンジョイ!」

と声をかけて立ち去っていきました。

びっくりしました。
一陣の風が通り過ぎていくようなさわやかさ。こういう心遣いは、沁みます。

見ず知らずのお隣さんに気軽に声をかけるフレンドリーさとあたたかな気遣い。島国にたくさんの民族の攻防があったからこそ生まれた文化なのでしょうか? いや、昔の日本もそうだった? 
 ともかく、ごく普通の人々のこういうなにげないふるまいに気品を感じました。
(つづく)
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二度目のロンドン63 ウェストエンドでミュージカル

2025-01-19 12:29:49 | Weblog

平日午後2時半にミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」を見に行きました。日本ではミュージカルの舞台は数回、見た程度で、どちらかというと歌舞伎などが好きなのですが、やはり本場のものは本場で見てみたい。

ウエストエンドの片隅、チャリングクロス駅のほど近く、すぐ横にはテムズ河が流れ、歩行者専用のハンガーフォード橋がかかるいかにもロンドン、という場所にありました。プレイハウス劇場(THE PLAYHOUSE)です。

ここでは初演より演出を替えての再演をかけることが多いらしく、現在は映画にもなった「キャバレー」が上演されています。これが特別なのではなく、ウェストエンドでかかっている舞台は「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」「マンマ・ミーア」など一度は映画でもみたものがほとんど。シェイクスピア劇も何度も何度も再演され、黒澤明監督が演出すると「マクベス」が「蜘蛛巣城」という、戦国時代の武将の話になるように、演出の妙を楽しむのも舞台のだいご味なのでしょう。

有名ミュージカルなら英語がわからなくても、筋が追える安心感があります。といっても、わかっているのは家人で、私の知識はユダヤ人一家のなにかの話、昔、森繁久彌さんが長らく演じていたミュージカル、という程度。
開場とともに入ると二階席の、滑り落ちそうな階段上の席でした。始まる前から客席は薄暗く、足元がおぼつかなかったのですが、開演前のピリピリとした緊張は伝わってきました。

いざはじまると、姉妹たちと頑固で愛情あふれる父、やさしくしっかり者の母、と土台がしっかりしていたので、英語はほどほどでもすっと世界に入っていくことができました。

かつて日本のミュージカルで感じた気恥ずかしさや、無理な発声がなく、動作も自然で納得できました。小さな劇場とはいえ、かなり舞台からは遠かったのですが、没入感があったのは、役者と演出の妙でしょうか?

ただ、私と同じように観光客らしき人が、元々は私の後方の席だったのに、途中から私の前の空いている席に移動してきて、とても見ずらくなってしまったのは残念。日本でも、こういうことはたまにありそうですが、落ち着きのなさがすごすぎた!

舞台はガーディアン紙で最高の5つ星の評価だったそう。舞台もほのかな明かりで私ごのみ(目にやさしい)。劇場はというと値段がちょっとお高くなるアッパー席はガラガラ。一方でお値段お安めの席はほぼ満席。つまり私の前に来た人は、安い席から高い席に、勝手に移動した、というわけです。

あと演者の声をマイク越しではなく、地声で聞けたらなおうれしい。小さい劇場でも、難しいのでしょうか?
帰りはテムズ河沿いに歩いてビクトリア公園へ。ロンドンは緑深い公園がそこら中にあって、散歩したくなるのです。

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二度目のロンドン62  まぼろしのワゴン

2025-01-12 14:32:50 | Weblog
ソーホー地区にある「辻利茶舗」。日本の抹茶は世界でも人気。そのさきがけの店ともいえる。2016年4月に同地に開業し、2019年時点でも賑わっていた。現在は、ロンドンに2店舗ある。
 ちなみに「辻利」はもともと京都の宇治の創業だが、全国にのれんわけが進み、それぞれが別会社として経営されている。こちらの店舗は北九州市小倉市の抹茶専門店。上海、シンガポール、カナダ、インドネシアなど和カフェをベースに世界展開を図っている。
参考:https://www.tsujiri.co.uk/location
   https://kokura.keizai.biz/headline/1555

【言葉いらずで好きなものを】
 1990年8月末に降り立ったロンドンで
 添乗員さんが

「ロンドンでおいしいもの、ってここよ」

といって、連れて行ってくれたのが、ソーホーにある飲茶(ヤムチャ)の店でした。
 薄暗がりの広々とした店内にたくさんの円卓が並び、ほぼ満席。我々もその一角を占め、頻繁に店内を中国人ウエートレスの運ぶステンレスのワゴンがまわっています。テーブルの近くにきたときに、ちらりと見ては、気に入ったお皿を指さすだけで、どんどん食べたいものが食べられる。しかもアツアツ、ホカホカ。
 気分は爆上がりでした。

 はじめての自腹の海外で、大学生だった私は、ヨーロッパの、首都のロンドンで中華料理、という取り合わせに目を白黒させ、そのおいしさとエキゾチックな雰囲気に酔い知れました。添乗員さんにひたすら感謝した、50日にも及ぶヨーロッパ旅行最後の日の晩餐でした。

それから四半世紀ぶりにソーホー地区を再訪しました。

土曜の夕方のチャイナタウンは、もうすごい人です。さまざまな人種が入り乱れるなか、当時のうすーい記憶を頼りに店を探したのですが、やはりわからず。唯一ワゴンサービスをしている、という「新世界大酒家New World Chinese Restaurant」は、つい最近、閉場した、と張り紙があり、工事中(現在、ウェブで調べると、やはり閉店していました。)

 そこで、ワゴンサービスはないけれど、2018年にミシュランガイドに掲載され、トリップアドバイザーなどのステッカーが誇らしげに貼ってある「Beijing Dumpling」(意味:北京・小麦粉の皮で包んだもの)で蒸し物などを食べました。かなりの賑わいで小籠包などが飛ぶように売れていました。

ワゴンサービスは、横浜中華街では健在ですが、「回転ずし」ですら回転せずにタッチパネルで注文が主流の現在では、もはや古き良き、なのでしょう。コロナ禍も経て、少しでも人の手を経ないマナーおよびフードロスの観点からも消えゆく伝統なのかもしれません。
                        (つづく)

※年が明けまして、はじめての更新です。今年もよろしくおねがいします。
私の周りでも、ここ数十年、まったく平熱だった人までもがインフルエンザなど、呼吸器系疾患にかかっています。どうぞ、お気をつけてお過ごしください。かかってしまった方は、医療機関にかかると治りが早いように思います。お大事にされてください。(医療なしでがんばると、たいへんです。)


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