雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

二度目のロンドン61 紅茶天国

2024-12-22 15:47:52 | Weblog
写真はロンドンのトワイニング店、かと長らく思っていたが、この記事を書くにあたって調べると「TWG」という別の紅茶店だった。

【紅茶天国】
イギリス、といえば紅茶の国。『不思議の国のアリス』でもしょっちゅうティーパーティーが開かれています。そもそもイギリスが中国に戦争をしかけたアヘン戦争のきっかけは「紅茶」でした。
そのような歴史をもつ国なので、ロンドンには世界的に名の通った紅茶専門店が集中しています。

ロンドンにはじめて行ったときには、ツアーの添乗員さんに、たしかフォートナム&メイスン(Fortnum & Mason )に導かれ、古風な出窓のある空間でさくさくアツアツのスコーンにたっぷりとクリームとジャムをお供に、アフタヌーンティーを楽しみました。ホイップクリームが苦手な私がするすると食べられることに驚いたものです。

さて、今回。ナショナルギャラリー前のトラファルガー広場近くには立派なガラス張りの紅茶専門店「TWG」がありました。トワイニング(TWININNGS)の本店なのかしら? 周囲に漂う高雅な香りに導かれ、高級ブティックのように敷居の高そうな、ピシッとした黒めの服装の従業員の目線に怖気づかないように足を踏み入れると、まるで紅茶博物館。
 世界各地の紅茶が、天井までそびえたっています。茶葉が見えるようにビーカーに入っていたり、おしゃれなお茶缶に入っていたり、はたまた日本でもおなじみのお歳暮にそのまま使えそうな色とりどりのティーバックで箱付めされていたり。

セイロンティーもあれば雲南ティーもありました。

しかも雲南ではなじみがあっても、中国規模となるとちゃんとしたお茶専門店でしかお目にかかれない、雲南ティーの茶葉を固めて直径25センチほどの円盤状や四角い盾のように固めた「雲南七子餅茶」までありました。立派な額には入ってはいましたが、ちゃんと売り物として。(これは正確にはプーアル茶です。それほど幅広い品ぞろえなのです)

ただ値段はお高めで、手が出ませんでした。そしてトワイニングと長らく思っていたお店。今回、この記事を書くにあたり、改めて調べると、トワイニング本店はテムズ河方面にあり、この店はシンガポールの「TWG」という別会社でした。ロンドンのこの店舗は2018年5月にオープンしたもので、2008年創業のシンガポールの紅茶専門店です。
(参考 https://ameblo.jp/sucre163/entry-12376179895.html。
高島屋でも販売されていました。)

ともかくロンドンでは紅茶専門店が各所にあるのでその後も、見つけると入っては買っていました。有名店の個包装タイプのティーパックは、なぜかクイーンズウェイ周辺のスーパーマーケットではお目にかかれず。多くは茶葉をスプーンで量って入れるタイプでした。日本では緑茶やほうじ茶を急須で入れている私にとっては、たしかに紅茶をポットで入れる方が普及しているのは、納得です。

【ミルクティーならハロッズ】
私の好みはミルクティー。そして面倒くさがりのためティーパックが好き。さらに貧乏性なのか一つのティーパックで一日中、入れ続けてしまう。

そんな私が一番、気に入ったのはハロッズ(Harrods)でした。

 数種類、購入したのですが、いずれも何杯入れても味わいにぶれがでず、ふくらみのある香りが続きます。とくにハロッズ定番のイングリッシュブレックファスト(№14)は、ミルクティーとして最高の味で、大事に大事に日本に帰ってからも飲んでいました。

そして日本でも探し求めました。すぐに手に入ると簡単に考えていたのです。でもトワイニングやフォートナム&メイスンは日本でも売っているのに日本ではたとえ、紅茶の品揃えのいい高級食料品店で探したとしてもハロッズはみつからないのです。Amazonなどでは、イギリスから直接、買う並行輸入品はあるものの、やっぱり送料などを考えると・・。

今、日本で入手できないので、最後のハロッズ№14の個包装1つを宝物として密閉容器に保存したままです。飲みたいけど、もったいなくて飲めない。お気に入りが見つかるというのは、ある意味、煩悩です。

                          (つづく)

※今年も早いもので年末となりました。一年間、お読みくださり、ありがとうございました。激動、激変の時代に気持ちが浮き立ちそうになりますが、そういうときこそ、ゆったりとした時のはざまや身近に目をこらしたいものです。
みなさまにとって、よいお年をお迎えください。
 来年は1月12日の更新の予定です。

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二度目のロンドン60 たっぷりゆったりナショナルギャラリー②

2024-12-15 11:16:06 | Weblog
写真はナショナルギャラリーの前のトラファルガー広場にそびえ立つネルソン像を上部にいただくネルソン記念柱。

【ひそやかなるフェルメール】
静かで小さく暗い部屋に、フェルメールの絵画が2点、置かれていました(16号室)。《ヴァージナル前に座る若い女性》と《ヴァージナル前に立つ女》でした。日本でフェルメール作品を見るには、たいてい人の頭の向こうを仰ぎみる感じなので実に贅沢な空間です。その人気のなさに軽い驚きすらありました(国立西洋美術館のフェルメール作品は真贋論争があるので、ひとまず除外。)

 この部屋が小さく、しかも迷路の袋小路のような場所にあるので、気付きにくいからかもしれません。もしかすると、そおっと見てほしい、という、ナショナルギャラリーの意図が反映されているのかもしれません。

ほかにも充実したオランダ絵画には目を見張りました。オランダで各所めぐって、ようやく見られたいろいろな時代、傾向の絵が一同にぎゅっと集まっている感じです。レンブラントは本国よりレベルが上の作品かも、とおもうほどの迫真の絵の数々。実際にそうかといわれるとわかりませんが、展示されているだけでも18作品以上。たたみかけるような展示枚数に圧倒されるのです。

【エキセントリックな筆致が迫る】
またヤン・ヴァン・アイク、ルーベンスなどなど。
ゴッホの絵はオランダ絵画の間ではなく43号室にありました。「ファン・ゴッホの椅子」「ひまわり」など、荒々しいタッチをじっくり鑑賞できます。
 ガラスでおおわれている、ということもないので、絵に没入できるのです。筆のタッチが直接、迫ってくる感じ。ゴッホの椅子の絵や森の力強いタッチ、カニの荒々しさなどみていると、私が高校の美術の時間に描いていたタッチに似ている、なんて錯覚も。少し、落ち着かず普通ではない、エキセントリックな感じ。とにかく間近に感じられて、想像がふくらみます。

 質、量ともにすごいコレクション。効率よく見て回るガイド情報もネットにあふれていますが、気の向くままに散歩して、虚心坦懐にみてまわるのも楽しい美術館です。

外に出ると、雨はすっかりやんでいて、青空にネルソン提督の下の噴水周りや日本橋三越のライオン像のモデルとなったライオン像に憩う人々でにぎわっていました。
          (つづく)
※次回はナショナルギャラリー周辺です。
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二度目のロンドン59 たっぷりゆったりナショナルギャラリー①

2024-12-08 11:46:20 | Weblog
ナショナルギャラリーにて。美術の教科書に出てくる名画と、その解説板がずらりと並んでいた。

【行かなきゃ損のコレクション】
ロンドンは一年中、雨が多いとあって、どしゃぶりの中、トラファルガー広場に降り立つと、すでにカラフルな雨具の人でいっぱいでした。まるで雨などないかのように雨具なしで歩く人もいるのは、ロンドンっ子あるある?

広場の中心にそびえ立つネルソン提督の記念碑から東が高い丘、西が下町と街の色合いがくっきりと分かれている印象です。その東側にあるすり鉢状に広がりを見せる急な階段を登ったところがナショナルギャラリー(国立美術館)。ギャラリーは東側の富裕層が住むウェストエンドのヘリにあたっているのです。

開館時間の10時ぴったりに荷物検査を済ませると、広びろとした天井に明るい照明があたるなか、整然と絵画が並ぶ展示空間が始まりました。

これだけ名画だらけの有名な美術館(2300点以上。分館含めると3000点)なのに、大英博物館と同じく入場無料。寄付を受け付ける箱が入口各所に置かれているだけの奥ゆかしさ。チケットを払うゲートがまったくない。あらためてイギリスの寄付文化に敬意を表したくなります。ロンドンのあらゆる場所で感じるこの文化。ロンドンオリンピックがボランティア主体で成功したのは、このお国柄のおかげだと、納得です。

コレクションは1800年代前半から1930年代までに寄贈、もしくは買い集めたものが多くを占めています。

イタリアのルネサンス期の宗教画が多く、ミケランジェロの描きかけの素描、レオナルド・ダヴィンチの油彩や素描も当たり前のように壁にかかっています。

部屋をまたぐと時代は飛んで、モネの「スイレンの池」(41号室)。この池に橋が描かれた風景画の前ではカメラを構える人が順番まちをしていました。さほど大きくもなく、派手さもない一枚なのですが、こってりした人物がどこにもいない、繊細な色調の、やさしくふんわりとした絵画に、欧米の人も惹かれるのだなあ、と実感。私もお気に入りの一枚となりました。いまは、スマホの待ち受け画面となっています。

絵画は部屋ごとに年代別に並んでいるのですが、名品ぞろいすぎて、一つの絵に没入してしまい、次の絵画にうつると、テーマが全然違っていて、気持ちがあちこちに飛んでしまうという気持ちのハレーションがおきてしまい、なかなかたいへんでした。
                            (つづく)
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二度目のロンドン58 ポートベローのサマーフェス(ノッティングヒルのフリーマーケット)2

2024-12-01 11:57:32 | Weblog
写真は、アックラム・ビレッジ・マーケットのパエリア。6枚の大きなパエリア鍋に、少しずつ具材の異なったパエリアがぐつぐつと煮込まれていた。プロパンのガスボンベまで鮮やかな赤色をしていて、祭りと一体化していた。

【国際ストリートフード】
 ポートベロー通りをさらに進むと、南欧や中東やアフリカからの人たちによる屋台市が出現しました。トマトベースでぐつぐつ煮込み中のパエリアから、中東系の各種サラダ、ビーガン料理、アフリカ系のにぎやかな色のついた木製の小物などなど。

「アックラム・ビレッジ・マーケット(Acklam Village Market) インターナショナル・ストリート・フード」(国際屋台めし)と銘打たれていて、飛び入り参加も可能なライブパフォーマンスも繰り広げられています。

まるで日本の昔なつかしい神社のお祭りのような既視感。大人たちにまじって中学生くらいの子たちが、近所の祭りの縁日を楽しんでいる様子でわきあいあいと買い食いに興じていました。

さきほどのフリマとはずいぶんと雰囲気は違いますが、同じ通りなのです。ぎゅっと詰まった感じも、ロンドンの一面なのでしょう。

 そういえば、このあたりのバスに乗ると、アフリカ系の方々をよく見ました。同じアフリカ系の人とたまたま隣りに座ったという二人の会話が、抑揚ある発音とリズムとうねりがあって何かの歌のよう。

「どこからきたの?」
「今日も渋滞しているね」
 というなんてことない会話なのですが、BBC放送で流れるイギリス英語とはだいぶ違っていました。ミュージシャンなのかもしれません。

 ロンドンは、どの地域でも高級住宅街と公共住宅エリアが道一本隔てて近接した街づくりとなっているそうなので、お祭りも重層的なのかもしれません。いまや日本も国際的になっているので、神社の屋台もそうなっていくのかもしれません。

ちなみに、この国際屋台村の先にも、古着などのマーケットは続いていました。ポートベローマーケットはロンドン最大、というのはこの距離もあるのでしょう。

【ポートベローマーケットの歴史】
 ポートベローのマーケットは、1865年から続いていて、すでに160年の歴史があるそう。 ちょうどポートベロー通りがノッティングヒルとパディントンの大規模新興住宅地開発地区を結ぶ通りとして、農村から変貌をしていき、1864年に通りの北端に鉄道が通り、ラドブロークグローブ駅が開業した同年、ポートベロー農場が修道女たちに売却されました。
そのようにして出来上がった通りで、イの一番に始まったのがポートベローマーケットなんですね。
参考:Portobello Road - Wikipedia

※現在の状況をネットで見ると、土曜日は「アートマーケット」として、若者が描く絵画も含めた骨董市を開いているようです。日曜日に現在、行われているかは確認してからお出かけください。
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