経済成長で石油輸入の急増している中国が、石油獲得のためなりふり構わぬ資源外交を展開している。そしてそこではイラン核疑惑問題のケースに見られるように安全保障理事会の常任理事国としての地位を最大限に利用している。かつて日本には米国の傘の下で軍事的な負担無しで経済成長を謳歌したという「安保タダ乗り」論があったが、安保理常任理事国という特権的な地位を享受し、国際政治の舞台で自国の資源外交を展開している中国は、「安保理タダ乗り」と言っては言いすぎであろうか。しかも中国の国連分担金が日本の10分の1以下であることを考えれば、腹立たしい気持ちにすらなる。
筆者は中東現地のインターネット英字新聞をモニタリングしてブログで紹介しているが(「アラビア半島定点観測」)、その中に中国に関する以下のような記事が散見される。
・ 中国、UAEとエネルギー関係強化の覚書を締結(2005/6/15 Khaleej Times, UAE)
・ Sinopec、Aramco, Exxonと中国々内での製油所合弁事業に調印(2005/7/10 Gulf Times, Qatar)
・ 中国、クウェートと50億ドルのエネルギー関連契約(2005/12/7 Khaleej Times, UAE)
・ CNOOC、ナイジェリアの油田を23億ドルで買収(2006/1/11 Gulf Times, Qatar)
・ アブダッラー・サウジ国王、中国訪問(2006/1/21 Arab News, Saudi Arabia)
・ Sinopec、イランとヤダバラン油田開発契約(2006/2/19 Arab Times, Kuwait)
・ 胡主席、サウジ訪問、石油分野での協力など5つの協定締結(2006/4/22 Arab News, Saudi Arabia)
(注)胡主席はこの後、ナイジェリアも訪問している。
・ 中国、米英仏による国連の対イラン制裁決議に反対(世界各紙)
例えば中国とイランの関係を見ると、中国はイランの油田開発に手を染め、その一方で国連ではイラン寄りの姿勢を明確にしている。米国は日本のアザデガン油田開発に釘を刺し、またイランとの間で天然ガスのパイプラインを敷設しようとするインドに対しては核協力を実行、インドとイランの関係に楔を打ち込もうとしている。しかし中国は安保理常任理事国の立場を利用して公然と米国に対抗し、自国の利益誘導を画策している。
サウジアラビアとの関係についても同じことが言える。中国は1月にサウジ国王を招き、4月には胡主席がサウジアラビアを訪問した。わずか3ヶ月の間に首脳が相互訪問することなど国際外交上は例を見ないことである。ここでも中国は石油備蓄などエネルギー協力の覚書を締結したが、その裏でイスラエル和平問題についてアラブ寄りの姿勢をとることを約束したのは間違いないであろう。「中国安保理タダ乗り論」の所以である。
中国は昨年消費量の40%に相当する9.3億バレルの石油を輸入している。また中国の石油消費効率は先進7カ国の4分の1以下であり、「石油のがぶ飲み」体質と言う問題を抱えている。しかし中国は国内の景気を維持するためには、輸出ドライブを止めるわけにはいかず、当面は「産業の米」である石油の輸入を増大するしかないようである。これは日本のかつての高度成長時代と同様の現象である。
かつての周恩来時代の中国は、アジア・アフリカ連帯の旗印のもと、米ソ二大陣営に対抗し、貧しいアジア・アフリカの国々から支持を得ていた。しかし現在の中国はどうであろう。貧しい国々を置き去りにし、自国の経済的繁栄と国際的地位の向上だけに目を奪われているようにしか見えないのである。
筆者は中東現地のインターネット英字新聞をモニタリングしてブログで紹介しているが(「アラビア半島定点観測」)、その中に中国に関する以下のような記事が散見される。
・ 中国、UAEとエネルギー関係強化の覚書を締結(2005/6/15 Khaleej Times, UAE)
・ Sinopec、Aramco, Exxonと中国々内での製油所合弁事業に調印(2005/7/10 Gulf Times, Qatar)
・ 中国、クウェートと50億ドルのエネルギー関連契約(2005/12/7 Khaleej Times, UAE)
・ CNOOC、ナイジェリアの油田を23億ドルで買収(2006/1/11 Gulf Times, Qatar)
・ アブダッラー・サウジ国王、中国訪問(2006/1/21 Arab News, Saudi Arabia)
・ Sinopec、イランとヤダバラン油田開発契約(2006/2/19 Arab Times, Kuwait)
・ 胡主席、サウジ訪問、石油分野での協力など5つの協定締結(2006/4/22 Arab News, Saudi Arabia)
(注)胡主席はこの後、ナイジェリアも訪問している。
・ 中国、米英仏による国連の対イラン制裁決議に反対(世界各紙)
例えば中国とイランの関係を見ると、中国はイランの油田開発に手を染め、その一方で国連ではイラン寄りの姿勢を明確にしている。米国は日本のアザデガン油田開発に釘を刺し、またイランとの間で天然ガスのパイプラインを敷設しようとするインドに対しては核協力を実行、インドとイランの関係に楔を打ち込もうとしている。しかし中国は安保理常任理事国の立場を利用して公然と米国に対抗し、自国の利益誘導を画策している。
サウジアラビアとの関係についても同じことが言える。中国は1月にサウジ国王を招き、4月には胡主席がサウジアラビアを訪問した。わずか3ヶ月の間に首脳が相互訪問することなど国際外交上は例を見ないことである。ここでも中国は石油備蓄などエネルギー協力の覚書を締結したが、その裏でイスラエル和平問題についてアラブ寄りの姿勢をとることを約束したのは間違いないであろう。「中国安保理タダ乗り論」の所以である。
中国は昨年消費量の40%に相当する9.3億バレルの石油を輸入している。また中国の石油消費効率は先進7カ国の4分の1以下であり、「石油のがぶ飲み」体質と言う問題を抱えている。しかし中国は国内の景気を維持するためには、輸出ドライブを止めるわけにはいかず、当面は「産業の米」である石油の輸入を増大するしかないようである。これは日本のかつての高度成長時代と同様の現象である。
かつての周恩来時代の中国は、アジア・アフリカ連帯の旗印のもと、米ソ二大陣営に対抗し、貧しいアジア・アフリカの国々から支持を得ていた。しかし現在の中国はどうであろう。貧しい国々を置き去りにし、自国の経済的繁栄と国際的地位の向上だけに目を奪われているようにしか見えないのである。