石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

上位国は変わらず:世界主要国のソブリン格付け(2021年1月現在) (上)

2021-01-07 | その他
 本レポートは著名な格付け会社Standard & Poors (S&P) の2021年1月現在の世界主要国及びMENA諸国のソブリン格付け を取り上げて各国を横並びに比較するとともに、いくつかの国について過去3年間にわたる半年ごとの格付け変化を検証するものである。

 因みにS&Pの格付けは最上位のAAAから最下位のCまで9つのカテゴリーに分かれている。このうち上位4段階(AAAからBBBまで)は「投資適格」と呼ばれ、下位5段階(BBからCまで)は「投資不適格」又は「投機的」とされている。またAAからCCCまでの各カテゴリーには相対的な強さを示すものとしてプラス+またはマイナス-の記号が加えられている 。なおCCC以下でS&Pが債務不履行と判断した場合はSD(Selective Default:選択的債務不履行)格付けが付与され、さらに格付けを行わない場合はN.R.と表示される。

*過去のレポートは下記ホームページ参照。
http://mylibrary.maeda1.jp/SovereignRating.html 

(日本含む主要国の格付け変動なし!)
1.2021年1月現在の各国の格付け状況
(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)
2021年1月現在の格付けを半年前の2020年7月と比べると最高格付けAAA(トリプルA)のドイツ、シンガポール等の国々を含めAA格付けの韓国、A+格付けの日本、中国など格付け上位の主要な国々に変動はなかった。

G7の国々のうちドイツ及びカナダはAAAの最高格付けであり、米国は1ランク下のAA+、英国及びフランスはさらに1ランク低いAAである。そして日本はAAAより4ランク低いA+に格付けされ、イタリアは投資適格ではあるがBBBにとどまっている。因みに格付け定義ではAAは「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(トリプルA)との差は小さい」とされ、これに対して格付けAは「債務を履行する能力は高いが上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」とされている。そしてBBBの定義は「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」である。

G7以外の国ではアジア諸国のうちシンガポール及びオーストラリアがAAAに格付けされ、またMENA諸国では、アブダビがAAに、カタール、イスラエル及びクウェイトがAA-に格付けされている。サウジアラビアの格付けはA-である。アジア諸国では香港がAA+、韓国はAA、台湾はAA-であり、中国及び日本の格付けA+より高い。

 昨年下半期に格付けが変更された国を見ると、アイルランドはA+からAA-に格上げされており、一方、オマーンはBB-からB+に格下げされている。因みにオマーンは昨年上期にも格下げされ、1年間でBBからB+に2ランク下がっている。格付け外ではアルゼンチンがSD(Selective Default)を脱しCCC;に格付けされている。また昨年上半期にNR(格付けなし)であったレバノンはSDとされている。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



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