2.世界の石油・天然ガスの生産量
(1) 2021年の国別生産量
(断トツ1位の米国、2位、3位で拮抗するサウジとロシア!)
(2-1-1)石油 (表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-T01a.pdf参照)
2021年の世界の石油生産量は8,990万B/Dであり、前年の8,850万B/Dを1.6%上回った。国別では米国が最も多く1,660万B/Dであり、これは全世界の生産量の19%を占め突出している。これに次ぐのがサウジアラビアの1,095万B/D、ロシア1,094万B/Dでほとんど差が無い。生産量が1千万B/Dを超えるのはこの3カ国だけであり、4位カナダ(540万B/D)の2倍以上である。3カ国の世界生産に占める割合は43%に達している。
世界4位のカナダから10位クウェイトまでの各国の順位と生産量は以下のとおりである。
4位カナダ(540万B/D)、5位イラク(410万B/D)、6位中国(400万B/D)、7位UAE(370万B/D)、8位イラン(360万B/D)、9位ブラジル(300万B/D)、10位クウェイト(270万B/D)。
(米国は天然ガスも生産量世界1位!)
(2-1-2)天然ガス (表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-T01b.pdf参照)
2021年の世界の天然ガス生産量は年産4.0兆立法メートル(㎥)であった。前年(2020年)より4.5%多く、石油の伸び率(1.6%)を上回っている。化石燃料の中で炭酸ガス排出量が石油より少ない天然ガスに需要がシフトしていることがわかる。
天然ガスの最大の生産国は米国であり、年産量は9,340億㎥、世界全体の23%を占める。同国は石油生産量も世界1位でありエネルギー生産大国である。2位はロシアの7,020億㎥で、米露2か国だけで世界シェアは4割に達する。3位はイラン、4位中国で5位はLNG輸出大国カタールである。
6位から10位までの生産国を列挙すると、カナダ、オーストラリア、サウジアラビア、ノルウェー及びアルジェリアの各国である。
これら上位10カ国の顔触れを上記の石油と比較すると、米国、ロシア、イラン、中国、カナダ、サウジアラビアの6カ国は両方に顔を出しているが、カタール、オーストラリア、ノルウェー及びアルジェリアの4ア国は石油生産上位10カ国に入っていない(同様に石油生産上位10カ国のうちイラク、UAE、ブラジル及びクウェイトは天然ガス生産上位10カ国に入っていない)。これは各国に存在する油田あるいはガス田の地質構造上の違いによるもので、ごく大まかにいえばカタール、オーストラリアなどはガス単体のいわゆるドライガス田が多く、一方、UAE、クウェイトなどはガスと原油が一緒に生産されるウェットガス田であり、天然ガスは原油の生産水準に左右されるためである。
(米国一国で全世界の2割を生産!)
(2-1-3)石油+天然ガス(表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-T01c.pdf参照)
2021年の天然ガス生産量4兆㎥を原油に換算すると6,960万B/Dとなり、石油と天然ガスを合わせた生産量は1兆5,940万B/Dである。石油と天然ガスの比率は56対44で原油の方が多い。
上述のとおり米国は石油・天然ガス単独の生産量が世界一であり、従って合計生産量も世界一である。天然ガスの生産量9,340億㎥を原油に換算すると1,610万B/Dであり、従って米国の石油・天然ガスの合計生産量は3,270万B/Dとなり、全世界に占めるシェアは21%に達する。米国に次ぐのがロシアである。同国は石油生産量ではサウジアラビアに次いで世界3位であるが、天然ガスは世界2位であり、合計生産量は原油換算2,300万B/Dである。サウジアラビアは石油生産では世界2位であるが、天然ガス生産は世界8位にとどまっている。しかし石油生産量が4位以下の国と大きな格差があるため合計生産量(1,300万B/D)は米露を大きく下回るものの全体では世界3位を維持している。
4位以下の国と石油・天然ガス合計生産量(原油換算)は以下のとおりである。
4位カナダ(840万B/D)、5位イラン(804万B/D)、6位中国(760万B/D)、7位カタール(480万B/D)、8位UAE(465万B/D)、9位イラク(426万B/D)、10位ノルウェー(400万B/D)
(続く)
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