石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

EI世界エネルギー統計(旧BP統計)2023年版解説シリーズ(3)生産量2

2023-07-24 | EIエネルギー統計

1.世界の石油・天然ガスの生産量(続き)

(2) 1970~2022年の生産量の推移

(50年間で2倍に増えた石油生産量!)

(1-2-1)石油 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-G02a.pdf参照)

 1970年に4,800万B/Dであった石油の生産量は1980年には6,300万B/Dに増加した。その後も成長軌道を描き、2015年には9千万B/Dを突破、2019年には9,500万B/D弱に達した。2020-21年は新型コロナウィルス禍のため経済活動が低迷、石油需要も大幅に減退したため、生産量は9千万B/D前後まで低下した。2022年の生産量は9,400万B/Dに回復している。

 

(50年間で4倍になった天然ガス生産!)

(1-2-2)天然ガス  (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-G02b.pdf参照)

 1970年の世界の天然ガス生産量は9,800億㎥であった。その後半世紀の間生産量は毎年大きく増加し、2022年には1970年の4倍強の4兆400億㎥に達している。この間、前年比でマイナスになったのは2009年、2020年及び2022年の3回である。

 

 年間生産量が1兆㎥を超えたのは1971年であるが、その後は5~7%の成長を続け20年後の1992年に2兆㎥に達した。その後、増加のスピードは加速し、年産3兆㎥を達成したのは16年後の2008年であった。そして2021年には4兆㎥を超えている。50年間で生産量は4倍強増加している。

 

(天然ガスの比率が26%から43%に!)

(1-2-3)石油+天然ガス(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-G02c.pdf参照)

 石油と天然ガスの1970年の合計生産量は石油換算で6,500万B/D、内訳は石油4,800万B/D、天然ガス1,700万B/Dであり、石油が天然ガスの3倍弱であった。その後、合計生産量はほぼ毎年増加し続け、2022年には石油9,400万B/D、天然ガス7,000万B/D、合計1億6,400万B/Dに達している。50年間の間に2.5倍に増加したことになる。このうち天然ガスの伸びは4.1倍で石油の2.0倍を大きく上回っている。この結果、石油と天然ガスの比率は1970年が石油74%、天然ガス26%であったが、2022年には石油57%、天然ガス43%と天然ガスの比率が大きく上昇している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(29)

2023-07-24 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第1章 民族主義と社会主義のうねり(13)

 

029.イスラエル独立(その3):流入するユダヤ移民に押し出されるパレスチナのアラブ人(2/3)

 パレスチナの土地は元々広くないが決して不毛の砂漠ばかりではなかった。耕作可能な土地はすでに先住民であるアラブ人たちによって耕作されており、耕作に不向きな土地では羊やラクダが放牧されていた。

 

新たなユダヤ人移民がまず必要としたのは農地だった。彼らはそれまで住んでいたヨーロッパのユダヤ人社会の中でも相対的に貧しい階層である。移民とはそもそも貧しいから移住するのであって豊かな者たちは移住などほとんど考えない。さらに言えば海外移住を希望する比較的裕福なユダヤ人たちは、パレスチナではなく米国など豊かな先進国を目指したのである。

 

 彼らはいかにして農地を手に入れたのであろうか。ユダヤ人たちは先住者のアラブ農民を力づくで追い出したのであろうか。イスラエルと言う自分たちの国家がある現在ならいざ知らず、当時のユダヤ人にはそのような力は無い。かれらが取った手段は地主から土地を買い取ることであった。アラブ農民は小作農であり、土地はオスマン・トルコ時代からの不在地主のものである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする