(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第1章 民族主義と社会主義のうねり(21)
037.英雄ナセル:東西両陣営を手玉に取るアラブの星(2/3)
この時まだ34歳であったナセルは大統領兼首相の座をナギブ将軍に譲ったが、1954年には権力闘争の末に自ら大統領に就任した。実権を掌握したナセルはその後汎アラブ主義を掲げエジプトをアラブの盟主の地位に押し上げる。汎アラブ主義は社会主義とアラブ民族主義が合体したものであり、その起源はシリアで生まれたバース党にある。汎アラブ主義はその性格上、英仏の植民地帝国主義あるいは米国資本主義と敵対する反面、ソ連社会主義に対しては親近感がある。
権力を握り理想に燃えるナセルがまず目指したのがスエズ運河の国有化であった。スエズ運河は19世紀半ばにフランス人のレセップスの手で開通したが、当初から経営への介入を狙っていた英国は放漫財政に苦しむエジプトから運河の株式44%を取得している。その資金源はこれまで同様ユダヤ人のロスチャイルドであった。こうして第二次大戦後までスエズ運河の管理権は英国とフランスが握っていた。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます