(英語版)
(アラビア語版)
2023年2月
Part III:キメラ(Chimera)
68. 最凶の宿主ヒトへの侵入(3)
ジルゴの目的はパレスチナ人と呼ばれる人種をこの世から抹殺すること、すなわちパレスチナ人の民族浄化である。ジルゴはパレスチナ人女性の卵子を喰い尽くすようにギャラクシーの遺伝子を操作したのである。その結果、パレスチナ人女性の生殖能力は失われた。数世代のうちにパレスチナ人が絶滅することになる。
時あたかもパレスチナ人をカナンの土地から追放しようとする動きが活発になりつつあった。その最も過激な方法こそエスニック・クレンジング(民族浄化)である。ドクタージルゴが遺伝子操作で作り出そうとした方法を容認する風潮がイスラエルの一部に生まれていたのである。
ただ実際にはギャラクシーの遺伝子書き換え作業はドクタージルゴの手に負えなかった。ギャラクシーは人為的な遺伝子の切断及び再接続作業に猛烈に抵抗し、元の状態に戻ろうとした。しかし一度切断された遺伝子情報は完全には元に戻らない。ギャラクシーは突然変異体となった。「キメラ」の誕生である。
ドクタージルゴの手許にはギャラクシーから突然変異したキメラが残された。ジルゴが突然変異を再現することはできない。しかし彼が手にしたキメラを増殖することは可能であった。彼の実験室の試験管の中で世界唯一の民族洗浄ウィルスが繁殖し始めた。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html
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