(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(5)
第二章 三つの飛行ルート (1/5)
ナタンズを爆撃するため三つの飛行ルートが検討された。一つはシリア及びイラクの上空を通過するルート。二つ目は地中海上空からトルコを通過しイランに侵入するルート。そして三つめはサウジアラビアとイラクの国境線沿いに飛行するルートである。
ただいずれのルートにしてもシリア、イラク、トルコあるいはサウジアラビアのいずれかの国の領空を侵犯することに変わりはない。最初と最後のケースではレバノン又はヨルダンの領空も侵犯することになるが、イスラエルにとってこの2カ国は無視できる相手である。
いずれの第三国の領空も侵さずにイランに至るルートが最も安全なのであるが、そのためには公海上空を通るしかない。このためにはアラビア半島沿いに紅海を南下、マンダブ海峡からアデン湾、アラビア海、オマーン湾を経由してホルムズ海峡を抜けペルシャ湾からイランに侵入する大回りコースしかない。しかしこのルートは戦闘機の航続距離を考えると問題外であった。航空母艦さえあれば、と嘆く軍の幹部もいた。空母があればアラビア海から燃料補給なしで出撃できるからである。
(続く)
荒葉一也
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