(全文は「石油文化」ホームページに掲載)
インドネシア中央統計局が発表した2005年の貿易収支によれば、石油・ガス分野の輸出額は、原油価格の高騰により前年比23%増の192億ドルであった。しかし国内の石油消費拡大で輸入額も48%増の174億ドルに達している。この結果、かつては外貨獲得の柱であった石油・ガスだが、昨年の黒字は前年比52%減の19億ドル弱に留まっている。石油だけを取れば同国の生産は低迷しており、2004年からは既に純輸入国に転落しているのである。
この状況に呼応するかのように、昨年2月、インドネシアがOPEC脱退を表明、と言うジャカルタ発のAFPニュースが世界に流れ、同国のエネルギー相は残留するか否かを検討中である、と述べた。
OPEC(石油輸出国機構)とは文字通り「石油」を「輸出」する「国家」の「カルテル機構」である。その意味では石油の純輸入国となったインドネシアは、OPECメンバーとしての資格を問われると同時に、国内でもOPECに留まることの是非が問題視されるのは当然の帰結であろう。
その後、インドネシアとOPEC事務局の間で脱退或いはオブザーバーへの地位の変更等について協議が行われたが、5月に石油相はOPEC残留を表明、また7月には引き続き正式メンバーとして残留することが決まり一件落着した。
しかし同国エネルギー省の高官は、石油製品も含めた場合2004年後半には既に純輸入国になっていると説明しており、原油ベースでも同年の生産量109万バーレル/日(以下B/D)に対して輸出量は41万B/D(いずれもOPEC公式統計)にとどまっており、新規油田開発或いは国内需要抑制等の政策がとられなければ原油輸出国としての地位を取り戻すことは難しい。
本稿ではOPEC内でインドネシアが置かれている状況を同国の石油生産状況と関連付けて分析するとともに、今後の問題の行方を探ってみたい。
(以下「石油文化」ホームページ参照)