石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月11日)

2008-07-11 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・OPEC、2008 World Oil Outlookを発表

・OPEC議長:需要見通しは低く、加盟国は石油増産投資をしない

・イラク、近く2件の製油所建設契約の見込み

・エジプト、シリア向けの天然ガス輸出開始

 

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BPエネルギー統計レポート2008年版解説シリーズ:石油篇(1)

2008-07-10 | その他

(注)HP「中東と石油」「BP統計レポート:石油篇(2008年版)」の全文を一括してご覧いただけます。

BPが毎年恒例の「BP Statistical Report of World Energy 2008」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。

石油篇(1):世界の石油の埋蔵量

 2007年末の世界の石油確認可採埋蔵量(以下単に「埋蔵量」と言う)は1兆2,379億バレル(*)であり、可採年数(R/P)は41.6年である。可採年数とは埋蔵量を同年の生産量で割った数値であるが、これは現在の生産水準をあと何年続けられるかを示している。
(*)バレルは石油で使われる単位で、1バレル=159リットル

 埋蔵量を地域別に見ると、中東地域が全世界の埋蔵量の61%を占めている。これに次ぐのがヨーロッパ・ユーラシア地域の12%、アフリカ、中南米地域各9%、北米6%であり、最も少ないのがアジア・大洋州地域の3%である(グラフ「地域別石油埋蔵量(2007年末)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-2-91%20Proved%20Oil%20Reserve%20by%20Regions.gif参照)。このように世界の石油埋蔵量は圧倒的に中東地域が多い。

 次に国別に見ると、世界で最も石油埋蔵量が多いのはサウジアラビアの2,642億バレルであり、これは世界全体の21%を占めている。第二位はイラン(1,384億バレル、11%)、第三位イラク(1,150億バレル、9%)と続き、以下ベスト・テンにはクウェイト、UAE、ベネズエラ、ロシア、リビア、カザフスタン、ナイジェリアの各国が挙げられる。この順位は昨年と全く同じである。これら10カ国の世界シェアの合計は81%に達する。このように石油は一部の国に偏在しているのである。(詳細は表「国別可採埋蔵量ベスト20(2007年末)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-2-91%20Proved%20Oil%20Reserves%20by%20Countries.htm参照)

 因みにOPECを構成する12カ国の合計埋蔵量は9,347億バレル、世界全体の76%を占めている。次回石油篇(2)「生産量」で触れるが、OPECの生産量シェアは43%であり、埋蔵量シェアよりかなり低い。このためごく最近までは石油市場におけるOPECの発言力は強く無かった。しかし昨今将来の石油資源の枯渇が問題視され(いわゆる「ピーク・オイル論」*)、また石油価格が急騰したことにより、世界の埋蔵量の4分の3を有するOPEC諸国の存在感が高まっている。現在、先進消費国はOPECに対して強く増産を迫っている状況である。

(*)ピーク・オイル論:埋蔵量のほぼ半分を生産したときがその油田の生産のピークである、と言う理論。米国のHubbertが1956年に発表し、実際に1970年代を境に米国内の石油生産は減少に転じた。但し油田の埋蔵量には不明な点が多いため、Hubbertモデルに疑問を呈する専門家も少なくない。

 上図は1980年から昨年末までの各年末の可採埋蔵量と可採年数を示したものである(拡大図http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-2-94-Oil-Proved-Reserve.gif)。可採埋蔵量は1980年に6,672億バレルであったものが、80年代には急激に増加し1989年末には1兆バレルを超えた。90年代はほぼ横這いであったが、1998年から再び増勢となり2003年には1兆2千億バレルに達し、その後2006年に頭打ちとなり、2007年は前年より若干減少している。

可採年数については1980年の29年から1988年には43年にまで伸びた後、同年以降少しずつ低下していった。そして2002年に再び可採年数は43年まで回復したが、ここ数年は41~42年程度で推移している(*)。

(*)可採埋蔵量と可採年数の関係について
各年末の埋蔵量は、年末埋蔵量=前年末埋蔵量 + 新規追加埋蔵量 - 生産量、で表される。
従って新規追加埋蔵量がその年の生産量を上回れば、同年末の埋蔵量は前年より伸び、その逆であれば埋蔵量は前年を下回ることになる。上図で2004年から2006年まで埋蔵量が若干増えていながら可採年数が横這いであることは、新規追加埋蔵量が生産量を若干上回った一方、生産量(=消費量)は年々増大していることを示している。

1980年代に埋蔵量が急増したのは、1970年代の二度のオイル・ショックによる価格上昇で石油の経済価値が高まったことにより、全世界で石油資源の探査活動が活発化し、その成果が1980年代に表れたと考えられる。そして石油価格の上昇により世界景気が後退し石油の消費量が減退した結果、可採年数は埋蔵量増加の伸びを上回るペースで長くなっている。

現在石油価格は130ドル台にあり、2000年から5倍以上、過去1年間だけでも2倍に急騰している。これを上記の1980年代の状況に照らし合わせると、今回も探鉱活動が活発になりいずれ埋蔵量増加という結果になるとする考えもある(但し探鉱活動と実際の埋蔵量追加にはタイムラグがあるため結果が表れるのは数年先になる)。しかし今回の場合探鉱活動が必ずしも活発になっていないと指摘されており今後の石油供給に懸念がある。6月22日のジェッダにおける産消対話及び7月始めの洞爺湖G8サミットで産油国に石油増産のための投資を促す意思表示がなされているが、その実効性は確約されていない。

 (石油篇第1回完)

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月8日)

2008-07-08 | 今週のエネルギー関連新聞発表
・米商品先物取引委員会、原油投機対策のためドバイ先物市場に取引規制を要請
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「アラブの大富豪」発売中

2008-07-04 | その他

全国紙、雑誌に紹介されました。

・日経ビジネス(4/28-5/5合併号) 「著者に聞く」
・讀賣新聞(4/8夕刊) 「経済図書室」
・日刊工業新聞(4/7) 著者登場
・「財界」(4/22号) ZAIKAI LIBRARY
・週刊文春(3/27号) 文春図書館 今週の必読
・週刊現代(3/22号) 現代ライブラリー 著者インタビュー
・産経新聞(2/24) 新書紹介コーナー

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月4日)

2008-07-04 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・マドリッド世界石油会議、OPECと消費国対立のまま閉幕、原油価格遂に146ドルに。

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月3日)

2008-07-03 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・OPEC議長、米国のOPEC「いじめ」を非難

・Brent原油145.75ドル、New York原油144.57ドル、共に市場最高値更新

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月2日)

2008-07-02 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・ニューヨーク原油143.67ドルの最高値、終値も140ドル突破

・IEA中期見通し:2013年には需給がタイトに

・石油価格は他エネルギーより割安:クウェイト紙インタビューに答えるサウジ国王

・イラク、国際石油会社との技術サービス契約締結不調に終わる。鉱区入札は引き続き推進

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月1日)

2008-07-01 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・イラクが8箇所の油・ガス田を外国企業に解放、35社が資格審査通過。

 

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