(世界ランクシリーズ その9 2024年版)
1. FDI インバウンド(FDI Inflows, 直接投資流入額)
(世界の投資資金の4分の1を吸い上げる米国!)
(1)2023年のFDI インバウンド(FDI Inflows, 直接投資流入額)
(表http://rank.maeda1.jp/9-T01.pdf 参照)
2023年の世界のFDIインバウンド総額は1兆3,300億ドルであった。流入額が最も多かったのは米国であり、金額ベースでは3,109億ドル、世界全体の23%を占めている。米国1国だけで実に全体の4分の1近い投資資金を吸い上げている。米国に次いで流入額が多いのは中国の1,633億ドル(12%)であり、米国と中国の2カ国で世界のFDIインバウンドの3分の1を占めている。
両国に次ぐ世界第3,4位のFDIインバウンド国(都市)はシンガポール(1,597億ドル)及び香港(1,127億ドル)であり、以上4カ国が1千億ドルを超えている。米国と中国を核とする太平洋経済圏が世界中から投資資金を集めていると言えよう。第5位はブラジルの659億ドルである。
その他主要な国を見ると、ドイツは370億ドル(世界9位)、インドは282億ドル(世界16位)である。日本のFDIインバウンドは214億ドルで世界で21番目に多い。韓国は日本より60億ドル少ない152億ドルの投資資金を集めている。なお英国の2023年のFDIインバウンドは▲892億ドルの巨額のマイナスとなっている。これは外国資金の引き上げが新規の流入額を大幅に上回っていることを示しており、英国経済に対する信頼感が薄れたことがうかがわれる。
中東各国のFDIインバウンドを見ると、UAEの流入額は307億ドルに達している。これはインドを上回り、世界12位である。UAEを構成する首長国の一つであるドバイは金融ハブとして中東の香港あるいはシンガポールのような役割を果たしている。コロナ禍を乗り越え、中東地域の旺盛な投資意欲を受け、ドバイは活況を呈しているようである。
ドバイに次ぐFDIインバウンド国はイスラエル(164億ドル)、サウジアラビア(123億ドル)、トルコ(104億ドル)であるが、イスラエルはハイテク産業が投資のけん引役であり、サウジアラビアは安定した石油収入を餌に、海外から投資資金を呼び寄せ国内経済の多角化を推進している。これら各国に比べイランの投資流入額は14億ドルにとどまっている。欧米先進国による経済制裁の影響が外国からの投資の障害となっていると考えられる。
FDIインバウンドの金額及び世界ランクを前年(2022年)と比較すると、1位から4位までは2年連続で変わらない。但し米国は6%、金額にして214億ドル減少、中国も259億ドル(14%)減少している。日本の2022年流入額は342億ドルであったが、2023年は4割近く減り、世界ランクも14位から21位に落ちている。
中東諸国は2022年比でFDI流入額の減少した国が多い。サウジアラビアは前年比で半減しておりイスラエル、トルコも20%台の減少となっている。これに対してUAEは2022年より80億ドル増加し、サウジアラビアと順位が逆転した。
(続く)
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