石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(195)

2024-08-17 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

エピローグ(7

 

195 増え続ける中東の難民(3/3)

彼らは着の身着のままで地中海を渡ろうともがく貧しいアフリカ難民とは異なり、難民ではあっても無一物ではなかった。難民の定義づけではアフリカ難民は経済難民であり、これに対してシリア難民は政治難民である。そのシリア難民が命の次に大切にしたものがスマートフォンであった。徒歩で西に向かう彼らはスマートフォンで現在の居場所を確認するとともに、先を行く知人友人からどこの国境検問所が難民を受け入れそうか、或いは国境が閉鎖されている場合は無断越境が可能なルートを探る。さらにそれらの情報を自分たちの後を追っている友人や親戚に知らせる一方、すでにヨーロッパに移住している親族と連絡を取り合って落ち着き先を探す。スマートフォンはまさに命綱であった。

 

 しかしヨーロッパ各国の難民の受け入れも限界に近付いたようである。各国の経済負担の限界を超えたというよりもむしろ大量の移民がもたらす市民自身の失業に対する不安感或いはイスラームテロなどに対する政治的社会的恐怖心が蔓延してきた。すでに多くのアフリカ難民がヨーロッパの大都市周辺に定住し、そこで生まれ育った移民二世たちの失業率は高く、彼らのある者はイスラームの過激思想に染まり、自暴自棄に陥り都市での自爆テロに走るようになった。他方、白人たちの不安を掬い取るように極右勢力は移民排斥、イスラーム排斥を主張して国民の支持を集めている。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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今週の各社プレスリリースから(8/11-8/17)

2024-08-17 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/12 Shell

Shell invests in Phase 2 of Surat Gas Project in Australia

https://www.shell.com/news-and-insights/newsroom/news-and-media-releases/2024/shell-invests-in-phase-two-of-surat-gas-project-in-australia.html

 

8/12 Chevron

chevron starts production at anchor with industry-first deepwater technology

https://www.chevron.com/newsroom/2024/q3/chevron-starts-production-at-anchor-with-industry-first-deepwater-technology

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中東とエネルギーのニュース(8月16日)

2024-08-16 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格:Brent $79.95, WTI $77.21

(中東関連ニュース)

・ドーハでのガザ停戦人質解放交渉、15日決着つかず16日にもつれ込む

・ハマスは停戦協議に直接参加せず仲介国が逐次レク

・ガザの死者数4万人突破。負傷者9.2万人、市民の85%が住宅失う

・ヒズボッラー、兵士死者数約400名と公表

・PLO議長、トルコ訪問。エルドガン大統領と会談

・イラク:駐留米軍の撤退時期延期を発表。理由は不明

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(9完)

2024-08-15 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

(原油価格の変化に連動する売上高!)

III. 過去8四半期の売上高と原油価格

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 ここでは2022年7-9月期から今期(2024年4-6月期)までの2年間、8四半期の各社売上高と原油価格の推移を概観する。

 

2022年7-9月期は期中平均のBrent 原油価格が100ドルを超えたこともあり、各社とも売上高は高かった。トップはExxonMobilの1,121億ドルで5社の中では唯一1千億ドルを超えていた。Shellも1千億ドルに今一歩の957億ドルの売上を達成した。他の3社はTotalEnergies 690億ドル、Chevron 635億ドルであり、bpは最も少ない578億ドルである。

 

 原油価格は2022年10-12月期に90ドルを切り、さらに2期続けて下落、2023年4-6月期には78ドルと8四半期の中では最低の水準に落ち込んだ。その後、価格は回復、最近の3四半期は84ドル前後に落ち着いている。

 

各社の売上高は原油価格の変動にほぼ比例しており、トップのExxonMobilの売上高は、1,121億ドル(2022.7-9月期)→954億ドル(2022.10-12月期)→866億ドル(2023.1-3月期)→829億ドル(2023.4-6月期)→954億ドル(2023.7-9月期)→843億ドル(2023.10-12月期)→831億ドル(2024.1-3月期)→931億ドル(2024.4-6月期)と変化している。ExxonMobilの四半期売上高の変化は上記原油価格の変動と極めて近似している。

 

 他社の売上高の推移は以下の通りである。Shellとbpは2022年10-12月の原油価格下落にもかかわらず売上高が増加しているが、これを除けば、各社とも原油価格の変動と符牒を合わせて売上高が上下している。

(単位:億ドル)

              2022年        2023年                      2024年

              7-9月  10-12月 1-3月  4-6月  7-9月  10-12月 1-3月  4-6月

Shell         957→ 1,013→  870→   746→  764→   787→  725→  745

bp            578→  704→  570→  495→  540→  526→  500→  483

TotalEnergies  690→  686→  626→  563→  590→  592→  563→  537

Chevron        635→  545→  488→  472→  545→  489→  466→  496

 

(完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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中東とエネルギーのニュース(8月14日)

2024-08-14 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・Brent原油5日連続値上がり$80超える。WTIは$79.58

・IEA、今年の世界石油需要増97万B/Dを据え置き

・OPEC、今年の石油需要見通し下方修正。10月からの減産緩和方針と齟齬

*レポート「OPEC+の協調減産を分析する」参照。

(中東関連ニュース)

・米国務長官、ガザ停戦会議開催未定で中東訪問延期

・米国防長官、潜水艦派遣命令。太平洋から航行中の空母現地到着急かす

・イスラエル:イラン攻撃切迫めぐり首相と国防相間の亀裂拡大

・イラン:副大統領候補のZarif前外相が指名辞退。新閣僚顔触れに失望か

・リビア議会、トリポリ正統政府と絶縁宣言

・トルコ情報機関、世界的サイバースパイ網摘発

格付け機関Fitch、イスラエル格付けをAプラスからAに格下げ。 *

*資料「世界主要国のソブリン格付け」(S&P、7月現在)参照。

・サウジで日本とコラボの照明アート開催、52,000人来訪

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(8)

2024-08-14 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

II. 五社の業績比較(続き)

(トップはExxonMobil 70億ドル、その他3社は40億ドル前後で並ぶ!)

5.設備投資[1]

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)

 4-6月期設備投資は、ExxonMobilが70億ドルで最も多い。その他4社はTotalEnergies 46億ドル、Shell 44億ドル、Chevron 40億ドル、bp 37億ドルで並んでいる。前期比ではbp及びChevronは減少しているが、その他3社は増加している。

 

(原油・天然ガス共にExxonMobilがトップ!)

6.石油及び天然ガス生産量

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-55.pdf 参照)

(1)原油生産量[2]

 2024年4-6月期の原油生産量が最も多かったのはExxonMobilの2,984千B/Dであり、5社の中でただ一社2百万B/Dを超えており、2位のChevron(1,955千B/D)を100万B/D以上上回っている。その他3社はTotalEnergies(1,477千B/D)、Shell(1,295千B/D)、bp(1,085千B/D)であり、bpはExxonMobilの3分の1にとどまっている。

 

(2)天然ガス生産量[3]

 天然ガスの生産量が最も多いのはExxonMobilの日産82億立方フィートで石油に換算すると1,374千B/Dであった。2位のChevronはExxonMobilをわずかに下回る80億立方フィート(石油換算1,337千B/D )であった。その他の3社は上位2社との格差が大きく、TotalEnergiesは52億立方フィート(石油換算964千B/D )であるが、Shell及びbpはそれぞれ28億立方フィート(石油換算418千B/D )及び23億立方フィート(石油換算396千B/D )であり、トップのExxonMobilの3割前後である。

 

(3)石油・天然ガス合計生産量[4]

 石油と天然ガスの合計生産量が最も多いのはExxonMobilであり石油換算で4,358千B/Dである。同社に次いで2位Chevron(3,292千B/D)、3位TotalEnergies(2,441千B/D)、4位Shell(1,783千B/D)でbpは5社中で最も少ない1,481千B/Dであった。ExxonMobilの生産量を100とした場合、他の4社はChevron 76、TotalEnergies 56、Shell 41、bpは34である。bpの生産量はExxonMobilの3分の1である。

 

 各社の石油と天然ガスの比率を見ると、ExxonMobilは石油68%、天然ガス32%であり、その他の4社はShell(石油73%:天然ガス27%)、bp(石油73%:天然ガス27%)、TotalEnergies(石油61%:天然ガス39%) 、Chevron(石油59%:天然ガス41%)である。5社いずれも石油の比率が天然ガスを上回っているが、石油の比率が最も高いのはShellとbp(共に73%)で、逆に最も低いのはChevron(59%)である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1]  「設備投資」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Capital and Exploration Expenditures

Shell:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow

bp:Capital expenditure

TotalEnergies:12. Net investments

[2] 「原油生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Net production of crude oil, natural gas liquid, bitumen and tsynthetic oil

Shell:Liquid production available for sale

bp:Production (net of royalties), Liquids

TotalEnergies:

Chevron:Net liquid production

[3] 「天然ガス生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Natural gas production available for sale

Shell:Natural gas production available for sale

bp:Production (net of royalities), Natural gas

TotalEnergies:Hydrocarbon production, Gas

Chevron:Net natural gas production, Worldwide

[4] 「石油・天然ガス合計生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:                     

Shell:Total production in barrels of oil equivalent    

bp:Production (net of royalities), Total hydrocarbons             

TotalEnergies:

Chevron:Total net oil-eqivalent production 

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(193)

2024-08-13 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

エピローグ(5

 

193 増え続ける中東の難民(1/3)

国家間の戦争或いは国内で内戦が勃発すると何の罪もない市民に多くの犠牲者が出る。それは戦火に巻き込まれる死者や負傷者という形だけではなく、戦火に追われて住み慣れた土地や家を失い異郷を彷徨う難民になる者も少なくない。

 

第二次大戦後の中東で難民が最初に発生したのはイスラエル独立戦争(第一次中東戦争)であった。彼らはパレスチナ難民と呼ばれ、イスラエル国内のパレスチナ自治区と周辺のヨルダン、レバノンに逃れた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に登録されたパレスチナ難民は450万人に達するとされる。レバノンには十二の難民キャンプがあり45万人が劣悪な環境の中で暮らしている。

 

パレスチナ難民問題が解決しないまま、さらに大規模な難民が発生した。「アラブの春」を契機にシリアで政府軍と反政府軍が衝突、さらに過激なイスラーム原理主義組織が「イスラーム国」(IS)の樹立を宣言するに及んで、シリア、イラクにまたがる紛争地帯で大量の難民が生まれたのである。「難民」を「量」として十把一絡げにしてしまう「大量の難民」という言い方には良心の呵責を感じるがほかに適切な呼び方が無い。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(7)

2024-08-13 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

II. 五社の業績比較(続き)

4.キャッシュフロー[1]

(営業キャッシュフローが100億ドルを超えるExxonMobilとShell!)

(1)営業キャッシュフロー(以下C/F)[2] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56a.pdf参照)

 今期の5社の営業C/Fが最も多かったのはShell(135億ドル)で、これに次ぐのがExxonMobil(106億ドル)であった。100億ドルを超えるのはこの2社だけであり、残る3社はTotalEnergies(90億ドル)、bp(81億ドル)であり、最も少ないChevronの営業C/Fは63億ドルでShellの半分伊かにとどまっている。

 

(各社とも40億ドル前後で並ぶ投資C/F!)

(2)投資C/F[3] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56b.pdf参照)

 投資C/Fによるキャッシュの流出はExxonMobil が最も多い▲49億ドルであり、これに次ぐのがTotalEnergiesの▲46億ドル、Chevron▲40億ドル、bp▲34億ドルであった。Shellは5社中で最も少ない▲33億ドルであった。

 

(最も多いのはExxonMobil▲126億ドル!)

(3)財務C/F[4] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56d.pdf参照)

財務C/Fの収支はExxonMobilが▲126億ドルでこれに次ぐのがShell(▲118億ドル)である。その他の3社は100億ドルを下回っており、TotalEnergiesは▲68億ドル、Chevron▲46億ドルである。bpは各社とは大きな差があり▲13億ドルにとどまった。

 

(Shellが最も多い381億ドルのC/F期末残高!)

(4)C/F期末残高[5] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56e.pdf参照)

 6月末キャッシュフロー残高を比較する。なおChevronは資料に残高が明記されていないためここでは4社を比較する。

 

 残高が最も多いのはShellの381億ドルである。bpの残高も349億ドルでShellと肩を並べ、ExxonMobil及びTotalEnergies のC/F期末残高は265億ドルおよび232億ドルであった。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1] キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。欧米では古くからキャッシュ・フロー会計にもとづくキャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が企業に義務付けられており、日本でも1999年度から上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュ・フロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。

 キャッシュ・フローは(1)営業キャッシュ・フロー(日常的な、生産・営業活動によって稼得する現金と、それに要する現金コストの収支)、(2)投資キャッシュ・フロー(工場新設やビル建設・トラック購入などの設備投資・有価証券投資に要する現金支払いと資産売却による収入)及び(3)財務キャッシュ・フロー(財務活動による現金の収支)の3種類があり、これらの総合収支が会計期間内の現金収支であり、期首(前期末)の現金(及び現金相当物)の残高に期間内の収支を加えたものが当期末の現金(及び現金相当物)となる。(Wikipediaより)

[2] 「営業キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Cash Flow form Operating Activities (U.S. GAAP) / Net cash provided by operating activities (U.S. GAAP)

Shell:Cash flow from operating activities

bp:Net cash provided by operating activities, Condensed group cash flow statement

TotalEnergies:Cash flow from operating activities, TotalEnergies financial statements

Chevron:Net cash provided by Operating Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[3]「投資キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

Shell:Cash flow from investing activities

bp:Net cash used in investing activities

TotalEnergies:Cash flow used in investing activities, TotalEnergie financial statement

Chevron:Net cash Used for Investing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[4]「財務キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

Shell:Cash flow from financing activities

bp:Net cash provided by (used in) financing activities

TotalEnergies:Cash flow from (used in) financing activities, Total financial statement

Chevron:Net cash provided by (Used for) Financing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[5] 「キャッシュフロー期末残高」は各社資料から下記項目を抽出した。なおChevronは資料に明記されていない。

ExxonMobil:Cash and cash equivalent at end of period

Shell:Cash and cash equivalent at end of period

bp:Cash and cash equivalent at the end of the period

TotalEnergies:Cash and cash equivalent at end of period, TotalEnergies financial statement

 

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中東とエネルギーのニュース(8月12日)

2024-08-12 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

 

(中東関連ニュース)

・イラン:19名の閣僚候補名簿国会提出。外相にアラグチ元駐日大使など

・イスラエル、ガザ地区の学校を砲撃、死者100人

・イラン、ロシアに弾道ミサイルFath-360の操作訓練。近く数百基輸出か

・米、攻撃型兵器のサウジ売却を再開

・エジプト-日本、8月末にハイレベルの政策対話開催

・サウジ:投資法を大幅改正、工業所有権保護など透明性高める

・サウジACWA Power社、トルコ子会社の負債整理

・トルコ、メルヘンの世界の熱気球がカッパドキアの上空泳ぐ

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(6)

2024-08-12 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

II. 五社の業績比較

ここでは五社の当期利益、売上高、売上高利益率、キャッシュ・フロー及び設備投資を比較する。

 

(王者の貫禄ExxonMobil、ただ一社見劣りするbp!)

1. 純利益[1](図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)

4-6月期はbpが赤字に転落、他社に見劣りする業績であったが、利益を計上した4社のうちExxonMobil を除く3社も前期比で減益となっている。ExxonMobilだけは前期比及び前年同期比で増益決算であり、王者の貫禄を示している。ExxonMobilの今期の利益は92億ドルであるが、これに次ぐChevronはExxonMobilの半分以下の44億ドルにとどまっている。TotalEnergies及びShellはそれぞれ 38億ドル及び35億ドルである。これら4社に対してbpは西独の製油所の減損処理が響き唯一▲1.3億ドルの赤字であった。

 

各社の前期(1-3月)及び前年同期(2022年4-6月)の利益と比較すると、ExxonMobilは前年同期79億ドル、前期82億ドル、今期92億ドルと増益傾向にある。これに対してChevronは前年同期60億ドル、前期55億ドル、今期44億ドルとExxonMobilとは逆に連続して減益の状況である。TotalEnergies、Shell及びbpはいずれも前期(今年1‐3月期)の利益が最も多い。このうちbpは今期が赤字に転落しており、またShellは前期利益74億ドルから今期利益は35億ドルに半減している。ExxonMobilとその他4社の明暗が分かれ、特にbpは5社の中で見劣りが著しい。

 

(ExxonMobil売上高はbp、Chevronの2倍!)

2.売上高[2] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-51.pdf 参照)

2024年4-6月期のBrent原油平均価格は85ドル/バレルであり、前年同期(78ドル) 、前期(83ドル)と大きな変動はなく、これに伴い各社の売上高も小幅な増減にとどまっている。

 

5社の中で売上高が最も高かったのはExxonMobil(931億ドル)であり、これに次ぐのShell (745億ドル)、TotalEnergies(537億ドル)である。Chevron及びbpの売上はそれぞれ496億ドル及び483億ドルであった。

 

ExxonMobilの売上高を100とした場合、Shell 80、TotalEnergies 58、Chevron 53、bp 52である。前項で触れた通り利益面ではExxonMobil、Chevron、TotalEnergies、Shell、bpの順であり、ExxonMobilは売上及び利益の両面でトップ企業の貫録を示している。

 

(ExxonMobilの利益率9.9%!)

3.売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)

IOC5社の今期売上高利益率はExxonMobilが9.9%と最も高い。これに次ぐのはChevron 8.9%、TotalEnergies7.0%であり、Shellの利益率は5%を切り、bpは▲0.3%である。

 

前期(1-3月期)と比較すると、Chevron、Shell及びTotalEnergiesは10%以上の利益率を示し、ExxonMobilも9.9%と高い利益率を示している。これに対してbpの利益率は4.5%にとどまっている。1年前の前年同期はChevronが12.7%と5社の中で最高の利益率を上げ、ExxonMobil(9.5%)、TotalEnergies(7.3%)がこれに続き、Shellとbpは4%にとどまった。

 

5社の傾向としてはExxonMobil、Chevron及びTotalEnergiesが毎期比較的高い利益率を示しているのに対し、Shellは変動幅が大きく、bpは5社の中で最も低い水準に終始している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1] 「純利益」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)

Shell:Incom/loss attributabel to shareholders

bp:Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders

TotalEnergies:Netincome (TotalEnergies share)

Chevron:Net income

[2] 「売上高」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Total revenues and other income

Shell:Revenue

bp:Total revenue and other income

TotalEnergies:Sales

Chevron:Sales and other operating revenues

 

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