ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETCのコアバリュー

2005年08月23日 | ITS
繰り返しになるが、結局ETCは料金所ノンストップ通過装置だ。
あたりまえの事のように聞こえるかもしれないが、それ以上の役割に対する過度な期待が存在している。

消費者としてのETCのコアバリューは、渋滞している料金所を待つことなく通過できる、ということにつきる。
財布を出さなくても良い、窓を開けなくても良い、料金ブースへ幅寄せしなくても良いという付帯効果もあるが、そのメリットの重みでいったら99%は「待たなくても良い」からだろう。
社会的なバリューは、それによる渋滞解消、モビリティー向上と排出ガス低減だ。

ところが、「料金所だけの利用では普及に限界がある、給油所やドライブスルーで利用出来るようにすれば普及が拡大する」という議論が本気でなされているのだ。
いうまでもなく、給油所やドライブスルーではDSRC決済であろうが無かろうが待ち時間は変わらない。単にキャッシュレス決済になるだけである。今でもカードが使える訳だから、より正確に言えば「カードを渡す手間がなくなる」だけなのだ。

利用価値の99%が達成されている以上、それ以上の付加価値に対してお金をとるのは至難の業だ。

この状況はナビゲーションとテレマティクスの関係にも似ている。
ナビゲーションのコアバリューは自車位置、経路誘導だ。それらがローカル環境で提供されている以上、それ以上の付加価値・情報に対して通信料、コンテンツ料を払う消費者が多くいると思う方がおかしい。
G-BOOKやカーウイングスが苦戦しているのは当然の事なのだ。

いずれにしても、ETCに関していえば給油所決済などのDSRCサービス機能は+αの付加価値であり、それ自身を「直接消費者から料金を取る」ビジネスモデルとして成立させることは殆ど不可能だ。

では、「販売促進」型のビジネスモデルならありうるのか?