ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETC(DSRC)サービスと電子マネーの関係

2005年12月03日 | ITS
昨日も書いたように、スイカをキオスクで使うことと、多機能ETCをガソリンスタンドで使うことはよく似ている。

スイカやEDYなどの電子マネー系カードの今後の普及は既定路線であるかのような論調が多い。
確かにスイカやおサイフケータイの発行枚数を見ると、ある程度の普及はあると思う。また、ドコモやJRの大掛かりな宣伝が普及の助けになるだろう。しかし、誰もが日常的に使うようになるとは思えない。
逆にいえば、これだけ対応する装置が消費者に普及し、かつTVCFまでやっている割には普及が遅すぎるんじゃないか、とも思う。

多機能ETCのハードルはさらに、というか遥かに高い。
読取装置を設置する事業者側にメリットがないし、JR構内キヨスクのように採算を度外視して設置する義理のある事業者もいない。

さらに、今現在のETCは使えない。統一仕様の多機能機種が出るのはまだ2年先だ。

しかし、最大のハードルはおサイフケータイなのだ。そして、このストーリーは将棋でいえばすでに「詰んで」いる。
どういうことが説明しよう。

まず、仮におサイフケータイ決済が一般に普及したとしよう。
2年後には、誰もがおサイフケータイで日常的にキャッシュレス決済をする世の中になったとする。
多くの事業者が、おサイフケータイの読み取り機を設置する。
そういう状況の中で、多機能ETC用でのキャッシュレス決済がおサイフケータイと勝負できるのだろうか?GSにせよ、ドライブスルーにせよ、車載器が自動的に読み取ることと、ケータイをかざすことに消費者の手間にさしたる差があるとは思えない。
消費者にとってコンビニではケータイ、ドライブスルーではETC、と使い分ける必要はまったくない。
そして、すでにおサイフケータイ読取装置に投資した事業者が、さらにETC対応に投資するとも思えない。

次の仮説として、おサイフケータイ決済が普及しないとしよう。
対応機器が消費者に普及しても、それを使ったキャッシュレス決済が普及しないということは、キャッシュレス決済に対する消費者ニーズはたいしたことはない、ということになる。したがって、多機能ETCへのニーズも盛り上がらず、通常のETCよりも割高な多機能ETC車載機器の普及は望めない。