随分前置きが長くなってしまいましたが。
そもそも、なぜビーコンVICSはあまり普及していないのか。
それは、少なくとも始まって数年間はまったく魅力の無いものだったからだ。
設置数も少なく、提供される情報も路側情報板と大差ない。そんなものが簡易図形でナビ画面に表示される程度の機能で、価格が3-4万円では、あまり売れなくでも不思議ではない。
結果として、自動車販売関係者に「ビーコンは要らない」という認識が出来てしまったのだ。
ところが、VICSの3つのメディアの中で光ビーコンだけが渋滞通過時間に関するデータを提供している。渋滞回避機能のあるナビの場合、光ビーコンをつけなけれ十分に機能しない。しかし、なかなかそうした事実は消費者に伝わらない。
ビーコンは不要、という通念はなかなか打ち破ることが出来ないのだ。
光ビーコンの設置を進めている警察庁としては誤算だろう。実際、警察庁は3メディアVICSを普及させようとしているが、消費者にそのメッセージはまるで届いていない。
仮に、高速道路料金支払いシステムと道路管制システムが同じ通信方式を採用していれば、この苦悩は無かったはずだ。
しかし、それを責めるのは酷かもしれない。
交通管制システムの開発時には、赤外線が最適なソリューションだったと思うし、ETCは(あれほどのセキュリティを求めたのは失策だとは思うが)セキュリティを確保する必要があった。
したがって、単純にビーコンとETCの互換性のなさを批判するつもりは無い。ここにいたって交通管制は光、料金収受はDSRCでやっていくしかないのだ。
さて、それでは何が問題なのか。
警察庁としては3万基も設置してしまった光ビーコンを活用しなければならない。
その為に、ビーコンVICS受信機がマーケットからなくなってもらっては困る。
カーメーカーやナビメーカーがビーコンVICSをオプション設定したり、高級車に標準装備したりするのは、これは互恵協力に他ならない。
しかし、消費者にとって魅力あるものでなければ、装着車両は増加しない。
そして、ここからが本当に重要なことなのだが、どうやら走行支援機能の強化でビーコンVICSを拡大しようとしているように思われるが、参宮橋実験のような走行支援ではまったく消費者にとって魅力は無い、ということに早く気が付くべきだ。
だって、ドライバーが受けるメリットは路側情報板となんら変らないからだ。
ビーコンVICSを拡大したければ、ナビとの渋滞予測連携をさらに拡大することと、それを宣伝すること。そしてその精度を上げることだ。
渋滞予測精度に関して言えば、よほど頑張らないかぎりカーメーカーの進めるプローブに対して勝ち目は無いだろう。もし、ここで負けてしまえば本当にビーコンVICSなんて市場から消えてしまう。
ビーコンの今後はなかなか厳しい。
しかし、3万基のセンサーは大きな資産だ。というか、税金で作っちゃったんだから、きっちり有効に活用して欲しいと思う。
明日からまたヨーロッパ。とはいっても3泊ですが。
宿泊先にネット環境があれば、そこからアップしましょう。